本規則における用語の定義(各文末尾の数字は関係条文を示す)
<解説 The Job of an umpire より>
1950年の改正前には、様々な定義がルールブックを通じて巻き起こっていました。この改正ではこれらの用語を統合して、ルールを入念に学ぶため参考になるように準備を整えました。実際には、今日の本規則における用語の定義で使われている説明の多くが後の項を理解する上での語源となっています。例えば、オブストラクション、インフィールドフライ、フェア/ファウル、ストライクなどです。
1950年度の公認野球規則には69の用語がリストされています。1992年までには、82の定義が含まれました。用語と定義は1950年に初めてリストされて以来記載されています。
1 ADJUDGED「アジャッジド」〈2.Ol〉— 審判員が、その判断に基づいて下す裁定である。
変遷
・この用語は1950年の定義のリストに含まれていて、審判によって表現され、裁定を合法と認めるものです。
・「アジャッジング」とは審判による正式に威厳を持った公式の見解です。
例 — 観衆による妨害で、審判は妨害がなければ走者は三塁まで達していただろうとアジャッジドし、走者に2つの塁を与えました。
2 APPEAL「アピール」〈2.02〉— 守備側チームが、攻撃側チームの規則に反した行為を指摘して、審判員に対してアウトを主張し、その承認を求める行為である。
変遷
・今日の定義は1950年のルールで使われていた説明と全く同じです。
・上に挙げられた相互参照は、アピールをする過程に関わる多くの偶発事を明確にしています。 手短に言うと、アピールは次の状況で可能です。
(1)走者が進塁や帰塁している最中に、塁を空過したり、触塁を果たさなかった場合
(2)一塁をオーバーランした走者が、ただちに帰塁しない場合
(3)走者が本塁に触れないで、しかも触れ直そうとしない場合
(4)攻撃側が打順を間違えた場合
・本条規定のアピールは、投手が打者へ次の一球を投じるまで、または、たとえ投球しなくてもその前にプレイをしたりプレイを企てるまでに行なわなければなりません。
また、イニングの表または裏が終わったときのアピールは、守備側チームの内野手がダイヤモンドを去るまでに行なわなければなりません。 打順の誤りの場合は監督か守備側チームによって求められます。(アメリカのオリジナルのルールブックでは、アピールは野手によって行われる行為となっています。)
3 BALK「ボーク」〈2.03〉— 塁上に走者がいるときの、投手の反則行為である。その場合には、全走者に各1個の進塁を許す。(6.02a)
変遷
・1950年の定義では、ボークは走者が一人でもいれば、ピッチャーかキャッチャーによる反則行為であると明記していました。 いわゆるキャッチャーズボークとは、 (1)故意四球が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合 (2)捕手が、ホームスチールを試みる走者やスクイズプレイの時の走者がいるときに、打者を妨害した場合。
・50年代の初期には“キャッチャー”は定義からは削除され、定義は今日のものへと展開されました。
・1876年のオリジナルのメジャーリーグコードでは、ボークは以下のように定義されていました。
(1)打者への投球するにおいてのモーションで、何か失敗したとき
(2)不必要な遅延行為
(3)打者への投球する際、どの部分でもラインからはみ出したとき(ピッチャーズボックスは6インチの正方形でした。)
・このオリジナルコードが定義されて以来は、ボークのペナルティは常に、各走者に一つベースを与えるようになっています。
・1876年には“ファウル ボーク”の用語が使われ、打者への投球の際に、ピッチャーの腕を振るときに外へ出ることが反則であることを説明していました。ルール違反に値するのは、垂直が基準であることが説明されていました。(これは今日のソフトボールの解釈に似ています。)
・“ファウル ボーク”が1イニングに3回あれば没収試合となりました。
・1884年までには、ほとんどのルールがピッチャーの腕に関しては触れなくなり、その結果“ファウルボーク”の実現性は消えていきました。
・今日のルール6.02aには13通りのボークを具体的に挙げています。ルール5.02aと6.01gも他の理由でボークとして数えられます。
・6.04(a)(3), 5.04(b)【原注】のように攻撃側のチームの反則行為によって誘発された場合は、取り消されます。
4 BALL「ボール」〈2.04〉— ストライクゾーンを通過しなかった投球、または地面に触れた投球で、いずれも打者が打たなかったものである。
投球が地面に触れた後、ストライクゾーンを通過しても、ボールである。
変遷
・1950年の定義は今日のものと全く同じです。【原注】はその後まもなく加えられました。(5.05a3)
・1887年までは、バッターがどこに投球するかを要求することが可能でした。
・何年もの間にストライクゾーンは変化を遂げ、従ってボールの定義も変わっていきました。
・“ボール”がペナルティとして宣告されることがあります。
(1)塁に走者がいないとき、投手は20秒(現在は12秒)以内に打者に投球しなければならない
(2)投手がマウンドで、投球する手を口または唇につけること
(3)6.02に違反する場合
(4)塁に走者がいないとき、反則投球をした場合
5 BASE「ベース」(塁)〈2.05〉— 走者が得点するために、触れなければならない四つの地点の一つである。通常その地点を表示するために、キャンバスバッグとゴムの平板が用いられる。
6 BASE COACH「ベースコーチ」〈2.06〉— 一塁、または三塁のコーチスボックス内に位置して、打者または走者を指図する、ユニフォームを着用したチームの一員をいう。(5.03)
7 BASE ON BALLS「ベースオンボールス」(四球)〈2.07〉— 打者が打撃中にボール4個を得るか、守備側チームの監督が打者を故意四球とする意思を審判員に示し、一塁へ進むことが許される裁定である。守備側チームの監督が審判員に故意四球の意思を伝えた場合(この場合はボールデッドである)、打者には、ボール4個を得たときと同じように、一塁が与えられる。(5.05b1)
変遷
- 今日の定義は1950年のルールで使われていた説明と全く同じです。
- キャッチャーは故意四球が企図されたときは、5.02(a)と6.02(a)12のように限定された位置に限られます。
- 1876年には“BASE ON BALLS”は9個のボールを得なければなりませんでした。
- 1880年8個のボール、1881年7個のボール、1884年6個のボール、1886年5個のボールを得るというふうな変遷をたどっています。
- 1889年から今日までは“BASE ON BALLS”は4個のボールとなっています。
- 打者は“four ball”を得ることによって、安全に一塁を与えられる権利を得ますが、代走にかわる場合でも、必ず塁へ触れなければなりません。
・審判が打者が一塁に触れる前に、代走を認めた場合でも、5.10にあるようにボールデッドの状態にあるので、この交代は認められます。しかしながら審判はタイムを宣告する前に打者に一塁に触れるようにできる限り要求しなければなりません。当然これは選手が怪我や病気のときは例外です。
8 BATTER「バッター」(打者)〈2.08〉— バッタースボックスに入って攻撃するプレーヤーである。
変遷
・初期の規則ではこの攻撃するプレーヤーを“Striker”「ストライカー」と呼んでいました。
・1876年までには、“Striker”から“Batsman”「バットマン」へと変わってきました。
・今日のコードではまだ若干のルールでこの個人を“Batsman”と呼んでいます。
・1950年の定義は同じものでした。
・1887年までは打者は、各投球どこへ投球するかを要求するという、今以上の権利を与えられていました。
9 BATTER-RUNNER「バッターランナー」(打者走者)〈2.09〉— 打撃を終わった打者がアウトになるまでか、または走者となったことに対するプレイが終了するまでの間を指す術語である。
変遷
この概念は1962年の定義によって導入され、一層攻撃側のプレーヤーの地位を定義することによって、ある特定の規則を明確にするのに役立てました。
10 BATTER’S BOX「バッタースボックス」〈2.10〉— 打者が打撃に際して立つべき場所である。
変遷
- 1876年のルールでは、バッタースボックスは6フィート×3フィートの長方形で、本塁から1フット離れたところに置かれると定義しました。
- このときは、プレートは完全にファウル地域にあり、ファウルラインは12インチのプレートの四角の一点で交差していました。
- 1877年には四角のプレートはフェア地域に置かれ、バッタースボックスはプレートを二分しているラインの真上に置かれました。1885年に、打席は6フィート×4フィートに広がり、プレートから6インチ離れたところになりました。(現在の基準)
11 BATTERY「バッテリー」〈2.11〉— 投手と捕手とをあわせて呼ぶときに用いる。
12 BENCH or DUGOUT「ベンチ」または「ダッグアウト」〈2.12〉— ユニフォームを着たプレーヤー、控えのプレーヤー、その他チームのメンバーが実際に競技にたずさわっていないときに、入っていなければならない施設である。(2.05、5.10k、6.04e)
13 BUNT「バント」〈2.13〉— バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした打球である。
変遷
- 1950年の定義は本質的には同じで、1つだけ例外がありました。 それはバントを“・・・合法的な打球・・・”と定義していました。 1956年には“合法的な”という形容詞が外されました。 バントされたボールが6.05(d)によって規則違反によりアウトになる場合もあります。
- 投球がバントされたかどうかを判定するのは、意図が要因です。
- バットに対する手の位置ではなく、意図がバントをしようとしたかどうかを定義します。
- 守備側をだますために手が離れた状態でスイングした打球をバントと考えるべきではありません。
- バントとは、スイングをしない、意図的にミートする、ゆるくころがす、ことが定義付ける上での概念となります。
- “インフィールドフライ”はバントされた打球には適用しませんが、“故意落球”には適用します。
<第4版解説 バント より>
バントとは、バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした打球である。自分の好む投球を待つために、打者が意識的にファウルするような、いわゆる“カット打法”は、そのときの打者の動作(バットをスイングしたか否か)により、審判員がバントと判断する場合もある。(定義13、5.09(a)(4)、高校野球特別規則8)
ファウルで粘って四球を選ぶ“カット打法”については議論のあるところではあるが、高校野球特別規則8が設けられるきっかけとなったのは、1972年(昭和47年)第54回全国高校野球選手権大会、東洋大姫路対習志野戦で、東洋大姫路の選手の“カット打法”が「もっとスイングしないとバントとみなす」と球審に注意され、このことが日本アマチュア野球規則委員会でも議論され、1973年2月に「バントの定義」について確認された。その後に高校野球特別規則が前記のとおり設けられた。因みに、“カット打法”がバントとみなされたケースは、1992年(平成4年)の第64回選抜高校野球大会決勝、帝京対東海大相模戦で、3回裏東海大相模の先頭打者が3ボール1ストライクからファウルを4本続けたところで球審から三振を宣告された。高校野球特別規則が適用され、スリーバント失敗とみなされたわけである。
この“カット打法”については賛否両論がある。しかし、野球は、本来打つゲーム。意図的にファウルを打つのは、大変な技術ではあるが、野球本来の姿ではない。“カット打法”で投手を疲弊させ体力を奪っていくという行為は、野球文化の違いはあるが、アメリカをはじめ国際野球では、フェアプレイの精神に反すると批判を浴びることは間違いない。
14 CALLED GAME「コールドゲーム」〈2.14〉— どのような理由にせよ、球審が打ち切りを命じた試合である(7.Ol)
15 CATCH「キャッチ」(捕球)〈2.15〉— 野手が、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為であって、帽子、プロテクター、あるいはユニフォームのポケットまたは他の部分で受け止めた場合は、捕球とはならない。
また、ボールに触れると同時、あるいはその直後に、他のプレーヤーや壁と衝突したり、倒れた結果、落球した場合は〝捕球〟ではない。
野手が飛球に触れ、そのボールが攻撃側チームのメンバーまたは審判員に当たった後に、いずれの野手がこれを捕らえても〝捕球〟とはならない。
野手がボールを受け止めた後、これに続く送球動作に移ってからボールを落とした場合は、〝捕球〟と判定される。
要するに、野手がボールを手にした後、ボールを確実につかみ、かつ意識してボールを手放したことが明らかであれば、これを落とした場合でも〝捕球〟と判定される。(5.09al)
【原注】野手がボールを地面に触れる前に捕らえれば、正規の捕球となる。その間、ジャッグルしたり、あるいは他の野手に触れることがあってもさしつかえない。
走者は、最初の野手が飛球に触れた瞬間から、塁を離れてさしつかえない。
野手はフェンス、手すり、ロープなど、グラウンドと観覧席との境界線を越えた上空へ、身体を伸ばして飛球を捕らえることは許される。また野手は、手すりの頂上やファウルグラウンドに置いてあるキャンバスの上に飛び乗って飛球を捕らえることも許される。しかし野手が、フェンス、手すり、ロープなどを越えた上空やスタンドヘ、身体を伸ばして飛球を捕らえようとすることは、危険を承知で行なうプレイだから、たとえ観客にその捕球を妨げられても、観客の妨害行為に対してはなんら規則上の効力は発生しない。
ダッグアウトの縁で飛球を捕らえようとする野手が、中へ落ち込まないように、中にいるプレーヤー(いずれのチームかを問わない)によって身体を支えられながら捕球した場合、正規の捕球となる。
【注】捕手が、身につけているマスク、プロテクターなどに触れてからはね返ったフライボールを地面に取り落とさずに捕らえれば、正規の〝捕球〟となる(ファウルチップについては定義34参照)ただし、手またはミット以外のもの、たとえばプロテクターあるいはマスクを用いて捕らえたものは、正規の捕球とはならない。
変遷
- メジャーリーグの規約の前に、アレキサンダー・ニッカーボッカールールでは、ファウルボールは“グランドに触れる前か、初めのバウンドでキャッチ”すれば、正規の捕球とされていました。フェアボールはグランドに触れる前に捕球されなくてはなりませんでした。
- 1876年のルールでは、ファウルボールはインフライトの状態で捕球するか、ワンバウンドしてから捕球しても正規の捕球とされていました。フェアボールはインフライトの状態で捕球されなくてはなりませんでしたが、ハットやキャップを用いての捕球は認められませんでした。
- 1882年には、体から用具を離して使用した場合のペナルティが設けられました。
- 1883年には今日同様、このルールの本質が確立されました。 この年になると、ファウルボールが一度地面に触れると、キャッチを認めなくなりました。 キャッチは、野手以外の他の物に触れる前にされなくてはなりません。ハットやキャップを用いてのキャッチは、一つの進塁を与えるペナルティとなりました。
- この時代の素手でプレイしている選手には、ただ一瞬捕球していればキャッチとみなされていました。ユニフォームと野球道具の進化によって、正規の捕球を決定づけるガイドラインも厳しくなってきました。(プロテクター、マスク、ポケットつきのユニフォームなど)
- 20世紀初期のグローブの使用が受け入れられてきた時には、一瞬捕球していればという解釈が変わりました。
- 1950年の定義に今日の基礎となる解釈が初めて現れました。
- 1955年までには、今日同様の解釈が加わりました。ルールに【原注】を載せ、定義を明確にしました。 確実につかんでいるか、しっかりと保持しているか、送球動作に移ってからの落球か、十分に持っているかどうか、完全にコントロールされているかどうか、意識してボールを放したかどうかなどを見て決定しなければなりません。
<第3版解説 キャッチ(“Legal Catch”) より>
野手がボールを手にした後、ボールを確実につかみ、かつ意識してボールを手放したことが明らかであれば、これを落とした場合でも“捕球”と判定される。野手がボールを受け止めた後、これに続く送球動作に移ってからボールを落とした場合は、“捕球”と判定される。(定義15、5.09(a)(1))
ボールに触れると同時、あるいはその直後に、他のプレーヤーや壁と衝突したり、倒れた結果、落球した場合は“捕球”ではない。
野手が、グラブを身体にかぶせるようにしてボールを捕らえたときは「キャッチ」とみなし、ボールを両腕と胸とで抱き止めていたり、脇に挟んでいる状態では「キャッチ」とはみなされない。
例:ゴロを捕った三塁手からの一塁送球がバウンドして、一塁手はこれを両腕と胸とで抱きとめ、打者走者より早く一塁に触れた。打者走者が一塁を通過した後、一塁手はボールを取り出し、ボールを所持していることを審判員に主張した。
――― 打者走者はセーフである。ボールを両腕と胸とで抱き止めている状態では、ボールを捕球している(手またはグラブでしっかり受け止め、かつ、それを確実につかんでいる)とは認められない。(5.09(a)(10)[注])
例題:チップしたボールが、最初に捕手のマスク触れてはね返り、捕手はこれを地面に触れる前に、ミットを胸にかぶせるようにして捕らえた。
――― 正規の捕球である。(定義34、5.09(a)(2)[原注])
2021 年に規則5.09(a)(2)【原注】の後段が改正された。チップしたボールが、最初に捕手の身体または用具に触れて、はね返ったものを捕手が地上に落ちる前に捕球した場合、正規の捕球となった。それまでは、「“最初に捕手の手またはミットに触れてから”身体または用具に当たってはね返ったのを・・・」となっていたので、2020 年までの規則のもとでは、例題のケースは正規の捕球とならず、ファウルボールとされていた。
また、OBR の2020 年の改正で同【原注】第2パラグラフ後半の「また、チップしたボールが、最初に捕手の手またはミットに当たっておれば、捕手が身体または用具に手またはミットをかぶせるように捕球することも許される。」という一文が削除された。日本野球規則委員会は、これはチップしたボールと捕球の関係における規則改正により削除されたものと判断し、「身体または用具に手またはミットをかぶせるように捕球することも許される」という解釈は今までのとおりとしている。
なお、この規則5.09(a)(2)【原注】後段の改正に合わせて、定義34 ファウルチップにおいても同様の改正が行われ、これにより同【注】を削除した。
ところで、例題のケースで、はね返ったボールを投手が地面に落ちる前に捕った場合、正規の捕球となるのだろうか。規則5.09(a)(2)【原注】後段では、「“捕手が”地上に落ちる前に捕球した場合」と書かれているので、チップしてはね返ったボール(投球)を投手や内野手が捕ったとしても正規の捕球とはならない。飛球の場合の規則5.09(a)(1)との違いをよく理解していただきたい。
16 CATCHER「キャッチャー」(捕手)〈2.16〉— 本塁の後方に位置する野手である。
17 CATCHER’S BOX「キャッチャースボックス」〈2.17〉— 投手が投球するまで、捕手が位置すべき場所である。
18 CLUB「クラブ」〈2.18〉— プレイングフイールドとこれに付属する施設を用意してチームを形成し、かつリーグに所属するチームであると表明することに責任が持てる人、または人々の団体である。
19 COACH「コーチ」〈2.19〉— コーチはチームのユニフォームを着用した一員であってベースコーチを務めるだけでなく、監督の指示する任務を果たすために、監督によって選ばれた人である。
20 DEAD BALL「デッドボール」〈2.20〉— 規則によって、プレイが一時停止されたために、プレイから外されたボールをいう。(5.06c)
変遷
- 本質は、1876年のオリジナルメジャーリーグコードは、“タイムを宣告して、再びプレイを宣告するまでプレイを中断する”という審判の権威に関係するデッドボールの概念を制定しました。
- 特に初期のルールでのデッドボールは、スイングしないでバットに当たったり、打者に当たったり、審判に当たったり、フェアボールに外部の人間が触れた(観衆の妨害)場合を意味していました。
- 1950年には今日のルールが確立しました。今日、5.09は審判によってボールデッドであると判定される前にルール上、ボールデッドであるという条件を簡潔に要約しています。
- 5.12bは審判が“タイム”を宣告すれば、ボールデッドになることを述べています。
- 5.12はボールデッドの状態から、正式にプレイを再開させる手順を描いています。 5.12はプレイを再開する前に、打者が打席に入り、準備ができているかどうかということが抜けています。
21 DEFENSE or DEFENSIVE「ディフェンスまたはディフェンシィブ」(守備側)〈2.21〉— 競技場内における守備側チームまたはそのプレーヤーをいう。
22 DOUBLE-HEADER「ダブルヘッダー」〈2.22〉— 相次いで行なう2試合をいい、この2試合はあらかじめ日程に組まれた場合もあり、日程を修正して組み入れられる場合もある。(4.08)
23 DOUBLE PLAY「ダブルプレイ」(併殺)〈2.23〉— 守備側プレーヤーが連続した動作で、2人の攻撃側プレーヤーをプットアウトにするプレイであるが、この二つのプットアウトの間に失策が介在したものはダブルプレイとみなされない。(9.11)
(a) フォースダブルプレイは、フォースアウトの連続によるダブルプレイである。
(b) リバースフォースダブルプレイは、その第1アウトがフォースプレイで行なわれ、第2アウトがフォースアウトされるはずの走者に対して行なわれたダブルプレイである。
例— 1アウト走者一塁、打者が一塁手にゴロを打ち、打球をつかんだ一塁手が一塁に触れ(2アウト)、続いて二塁手または遊撃手に送球して走者をアウト(タッグプレイ)にした場合。
例— 0アウト満塁、打者が三塁手にゴロを打ち、打球をつかんだ三塁手が三塁に触れ(1アウト)、続いて捕手に送球して三塁走者をアウト(タッグプレイ)にした場合。
変遷
- 1950年の改定で定義されました。
- ダブルプレイは、フォースプレイ、タッグプレイやアピールプレイなどによって完了されます。
24 DUGOUT「ダッグアウト」〈2.24〉—「ベンチ」の定義参照。
25 FAIR BALL「フェアボール」〈2.25〉— 打者が正規に打ったボールで、次に該当するものをいう。(巻頭図参照)
(a) 本塁一塁間、または本塁三塁間のフェア地域内に止まったもの。
(b) 一塁または三塁を、バウンドしながら外野の方へ越えて行く場合に、フェア地域に触れながら通過するか、またはその上方空間を通過したもの。
(c) 一塁、二塁または三塁に触れたもの。
(d) 最初に落ちた地点が一塁二塁および二塁三塁を結ぶ線上であったか、あるいはその線を越えた外野の方のフェア地域内であったもの。
(e) フェア地域内またはその上方空間で、審判員またはプレーヤーの身体に触れたもの。
(f) インフライトの状態でプレイングフイールドを越えて行く場合に、フェア地域の上方空間を通過したもの。
フェア飛球は、ボールとファウルライン(ファウルボールを含む)との、相互の位置によって判定しなければならない。野手がボールに触れたときに、フェア地域にいたか、ファウル地域にいたかによって判定してはならない。
【原注】飛球が、最初一塁本塁間または三塁本塁間の内野に落ちても、一塁または三塁を通過する前に、プレーヤーまたは審判員に触れないで、ファウル地域へ転じ去った場合は、ファウルボールである。飛球がファウル地域で止まるか、ファウル地域でプレーヤーに触れた場合も、ファウルボールである。
飛球が一塁または三塁ベースに当たるか、あるいは、一塁または三塁を越えた外野のフェア地域に落ちれば、その後ファウル地域にバウンドして出た場合でも、フェアボールである。
審判員が、フェア、ファウルを正確に判定できるように、ファウルボールのフェンスより上に出ている部分に、フェア地域に向かって金網を張り出して取りつけることが望ましい。
【注】打球が地面以外のもの、たとえば打者が捨てたバット、捕手が外したマスクなどに、フェア地域で触れたときは、ボールインプレイである。
【問】打球が三塁についている走者に触れてから、フェア地域に反転した場合は、いかに判定すべきか。また、これがファウル地域に反転した場合はどうか。
【答】ボールが走者と接触した位置によって、フェアかファウルかを判定すべきものであり、フェア地域で触れたときは、フェアボールとなる。したがって、走者はフェアの打球に触れたという理由でアウトになる。(5.09b7参照)
<第3版解説 フェアボール、ファウルボール より>
2013年に巻頭フェアボール第2図および第8図の説明は次のように改正された。
これまで長い間わが国では、フェアボール、ファウルボールの基準をAB両点で判定してきた。A点は一塁ベースの外野寄りの角、B点は三塁ベースの外野寄りの角を指し、打球がバウンドしながらAB両点を過ぎるときに、フェア地域内かその上方空間にあった場合は、その後ファウル地域に出てもフェアボール、ファウル地域内かその上方空間にあった場合は、ファウルボールとされてきた。つまり、一塁線のゴロが一塁ベースの上方をA点の手前で横切れば、それはファウルボールであった。
しかし、規則定義25(b)では、フェアボールは「一塁または三塁を、バウンドしながら外野の方へ越えていく場合に、フェア地域に触れながら通過するか、またはその上方空間を通過したもの」と、そして規則定義32(b)では、ファウルボールは「一塁または三塁を、バウンドしながら外野の方へ越えていく場合に、ファウル地域に触れながら通過するか、あるいはファウル地域上の空間を通過したもの」と定義されている。
条文には、「一塁または三塁を」と書いてあるだけだったため、先達者たちは、一塁または三塁ベースのどこが基準になるのだろうかを研究し、外野寄りのベースの角を基準にすると決め、それが継承されてきた。
しかしながら、AB両点を基準にするのは、国際的にも異なるし、また打球がベースに当たった場合はフェアボールにしていること、および条文を読んでもベースの上方を横切ったものはフェアボールと解釈できることから、こうした矛盾を解決するために、2013年に伝統的なわが国の解釈である“AB両点基準”を“ベース基準”へと大改正に踏み切ったのである。
26 FAIR TERRITORY「フェアテリトリ」(フェア地域)〈2.26〉— 本塁から一塁、本塁から三塁を通って、それぞれ競技場のフェンスの下端まで引いた直線と、その各線に垂直な上方空間との内側の部分を指す。各ファウルラインは、フェア地域に含まれる。
27 FIELDER「フィールダー」(野手)〈2・27〉— 守備側のプレーヤーをいう。
28 FIELDER’S CHOICE「フィールダースチョイス」(野手選択)〈2.28〉— フェアゴロを扱った野手が一塁で打者走者をアウトにする代わりに、先行走者をアウトにしょうと他の塁へ送球する行為をいう。また、(a)安打した打者が、先行走者をアウトにしょうとする野手の他の塁への送球を利して、1個またはそれ以上の塁を余分に奪った場合や、(b)ある走者が、盗塁や失策によらないで、他の走者をアウトにしょうとする野手の他の塁への送球を利して進塁した場合や、(c)盗塁を企てた走者が守備側チームが無関心のためになんら守備行為を示さない間に進塁した場合などにも(9.07g)、これらの打者走者または走者の進塁を記録上の用語として野手選択による進塁という。
29 FLY BALL「フライボール」(飛球)〈2.29〉— 空中高く飛ぶ打球をいう。
30 FORCE PLAY「フォースプレイ」〈2.30〉— 打者が走者となったために、塁上の走者が、規則によって、その塁の占有権を失ったことが原因となって生じるプレイである。(5.09b6)
【注】次の原注に述べられているフォースプレイによるアウト、すなわちフォースアウト(封殺)と得点との関係は、5.08に明示されている。
【原注】フォースプレイを理解するために最も注意を要する点は、最初はフォースの状態であっても、その後のプレイによっては、フォースの状態でなくなるということである。
例— 1アウト満塁、打者一塁に強いゴロを放ったが、一塁手がこれを止めてただちに塁に触れ、打者をアウトにすれば、フォースの状態でなくなるから、二塁に向かって走っている走者は触球されなければアウトにはならない。したがって、一塁走者が二塁で触球アウトになる前に、二塁、三塁にいた走者が本塁を踏んだ場合には、この得点は認められる。しかし、これに反して、ゴロを止めた一塁手がただちに二塁に送球して一塁走者をフォースアウトにした後、さらに一塁への返球で打者もアウトにして3アウトとなった場合には、二塁、三塁の走者が本塁を踏んでいても得点とは認められない。
例— 封殺でない場合。1アウト走者一・三塁のとき、打者は外野に飛球を打ってアウトになり、2アウトとなった。三塁に触れていた走者は、捕球を見て本塁を踏んだ。しかし、一塁の走者は、捕球当時離塁していたので帰塁しょうとしたが、外野手からの返球で一塁でアウトになり、3アウトとなった。この場合は、フォースアウトではないから、一塁走者のアウトより前に、三塁走者が本塁に触れたと審判員が認めれば、その得点は記録される。
変遷
どんな時でも後位の走者か打者走者がアウトになった時は、前位の走者の全てのフォースプレイが取り消されることは重要です。
・走者は投球当時に占有している塁を越えてフォースとは考慮されません。 例えば、二死走者満塁。打者は本塁打を打ちました。三塁走者はホームまで押し出されます。二塁走者はサードまでがフォース、一塁走者はセカンドまでがフォース、打者走者はファーストまでがフォースとなります。 このようなフォースの状態でのアピールは、第三アウトがフォースプレイとなるので全ての得点を無効にします。5.08(a)(2)、5.09d
他のアピールはタイムプレーで5.08(a)、5.09dに定められています。
・間違って、フォースプレイを走者にタッグをしないプレイと思いこんではいけません。 リタッチの義務を怠った走者にアピールする場合などは、フォースプレイではありません。(タッグアップ)
・飛球が捕球され打者走者が退いた場合は、全てのフォースプレイは取り消されます。
31 FORFEITED GAME「フォーフィッテッドゲーム」(没収試合)〈2.31〉— 規則違反のために、球審が試合終了を宣告して、9対0で過失のないチームに勝ちを与える試合である。(7.03)
<第3版解説 没収試合 より>
没収試合とは、規則違反のために、球審が試合終了を宣告して、9対0で過失のないチームに勝ちを与える試合である、と規定されている。(定義31)
そして、規則7.03では、次の場合に、没収試合とする旨の記載がある。
(a) 球審がプレイを宣告してから5分を経過しても競技場に出ないか、出ても試合を行うことを拒否した場合
(b) 試合を長引かせ、または短くするために、明らかに策を用いた場合
(c) 試合の続行を拒否した場合
(d) 一時停止試合を再開するために、球審がプレイを宣告してから、1分以内に競技を再開しなかった場合
(e) 警告にもかかわらず、故意に、または執拗に反則行為をくり返した場合
(f) 試合から除かれたプレーヤーを、適宜な時間内に、退場させなかった場合
(g) ダブルヘッダーの際、第1試合終了後20分以内に、競技場に現れなかった場合
没収試合は、審判員がとるべき最後の手段であって安易に適用される性質のものではないことはいうまでもない。
アマチュア野球では、登録外選手が試合に出場するケースが続出したことから、上記に加え、2007年に日本アマチュア野球規則委員会(当時)の通達により、次の場合も没収試合とした。
(1) 登録外選手が試合に出場した場合
(2) 主催者または各団体が特に定めた場合
ところが、その後も登録外選手の出場あるいはメンバー表の誤記などの単純ミスによる没収試合があったこと、また、2018年の規則改正により 5.10(d)[原注]に「いったん試合から退いたプレーヤーの再出場」に関する規定が追加されたことから、2018年2月にアマチュア野球規則委員会が上記(1)の内容を一部変更する(単純な登録ミスの場合には没収試合とはしない)通達を出した。
処置3:登録外選手が試合に出場、これがプレイ後に判明したときは、大会規定により試合中であれば没収試合とし、試合後であればそのチームの勝利を取り消し、相手チームに勝利を与える。
ただし、上記は、
① 登録外選手が、自チームの所属以外の選手であった場合に適用することとす る。
② 単純なミスの場合(監督とマネージャーの連絡ミスで、登録外選手が自チームの所属選手である場合など)には適用しない。
a) 試合中に判明した場合は、その時点でメンバー表に記載されている選手に交代させ試合を継続する。それ以前の当該選手のプレイはすべて有効とする。
b) 試合後に判明した場合でも、当該選手のプレイはすべて有効とし、処置3は適用されない。
この通達にある「登録」とは、 「試合ごとに試合前に提出されるメンバー表に記載されたこと」を示す。
なお、アマチュア野球では、試合中に登録外選手が判明したときは、実際に出場する前であれば、その選手の出場を差し止め、ベンチから退去させ、チーム自体の没収試合とはしない(たとえば代打などの通告を本部で原簿照合して判明したときなど)。
32 FOUL BALL「ファウルボール」〈2.32〉— 打者が正規に打ったボールで、次に該当するものをいう。(巻頭図参照)
(a) 本塁一塁間または本塁三塁間のファウル地域内に止まったもの。
(b) 一塁または三塁を、バウンドしながら外野の方へ越えて行く場合に、ファウル地域に触れながら通過するか、あるいはファウル地域上の空間を通過したもの。
(c) 一塁または三塁を越えたファウル地域内に、最初に落下したもの。
(d) ファウル地域内またはその上方空間で、審判員またはプレーヤーの身体、あるいは、地面以外のものに触れたもの。
ファウル飛球は、ボールとファウルライン(ファウルボールを含む)との、相互の位置によって判定しなければならない。野手がボールに触れたときに、フェア地域にいたか、ファウル地域にいたかによって判定してはならない。
【原注】野手に触れない打球が、投手板に当たり、リバウンドして本塁一塁間または本塁三塁間のファウル地域に出て止まった場合には、ファウルボールである。
【注1】打者の所持するバットに、打球(バントを含む)がファウル地域で触れたときは(もちろん故意でなく)、ファウルボールである。
また、打者が打ったり、バントしたボールが反転して、まだバッタースボックス内にいる打者の身体およびその所持するバットに触れたときも、打球がバットまたは身体と接触した位置に関係なく、ファウルボールである。
【注2】打球が地面以外のもの、すなわちバックネットやフェンスはもちろん、打者が捨てたバット、捕手が外したマスク、地上に置いてある審判員のほうきなどに、ファウル地域でいったん触れれば、その後転じてフェア地域内に止まってもファウルボールである。
変遷
- 1876年のプロのルールによると、“初めにグランドに触れ、プレーヤーか他のどんな物にでもファウルライン内かファウルライン上のグランドで触れれば、フェアとみなされる。”と明記されていました。 つまり、打球が初めにファウル地域で触れるか、プレーヤーか他のものにファウル地域で触れたものはファウルとみなされました。 これらの解釈は、打球が最初にフェア地域か、ファウル地域に触れたかの判断であり、一塁や三塁に触れる前にどのように転がるかという考慮はされていませんでした。
- 1877年には、これらの解釈を補うために、今日の基本的な解釈に書き直されました。
- 1931年以前には、球場を越える飛球のフェア、ファウルは審判が最後に見た時の打球の位置で判定されていました。
- 1931年にはこれらのガイドラインは改正され、正確な位置を球場で決めることによって、ボールが球場を越える時のフェア、ファウルの判定をするよう指示されました。 この改正は、ルール委員に要求され、やっと打者に公平になりました。
- プレーヤーはフェア地域、ファウル地域にあるどんな打球、送球に対してプレイをしてもかまいません。 加えると、プレーヤーはまだ地面に触れていない、フェンスの向こうの人や他のどんな物にも触れていない場合は、競技場を越えるようなボールに対してプレイを試みてもかまいません。
- 例えば、プレーヤーはフェンスの上からスタンドに手を伸ばしてプレイしてもかまいません。しかし、この場合は自らが危険を冒しているため、観衆による妨害とはなりません。
- 1950年代に各クラブは、ファウルポールのフェンスより上に出ている部分に、フェア地域に向かって金網を張り出して取り付けることがのぞましいという【付記】がオフィシャルルールに掲載されました。そして、今日でもプロ野球場では義務化となり、審判がフェア、ファウルを判定する上で大きなヘルプとなっています。
33 FOUL TERRITORY「ファウルテリトリ」(ファウル地域)〈2.33〉— 本塁から一塁、本塁から三塁を通って、競技場のフェンスの下端まで引いた直線と、その線に垂直な上方空間との外側の部分を指す。(各ファウルラインはファウル地域に含まれない)
34 FOUL TIP「ファウルチップ」〈2.34〉— 打者の打ったボールが、鋭くバットから直接捕手に飛んで、正規に捕球されたもので、捕球されなかったものはファウルチップとならない。ファウルチップはストライクであり、ボールインプレイである。
変遷
- 1896年のルールの定義では、打者の頭より上に上がらないで、ホームプレートの10フィート以内でキャッチャーに捕られたファウルボールをファウルチップとしていました。
- 1897年の改訂版には、今日のルールの基礎が現れ、“鋭くバットから捕手の手に飛んで・・・”という打球がファウルチップとして定義されました。
- 1904年にはルールは、鋭くバットから直接捕手の手にいく打球がファウルチップとして定義されました。この時代にはキャッチャーのグローブに関しては述べられていませんが、これはこの時代にはグローブが使われていなかったからです。
- 1950年の改正では、キャッチャーのどの用具に触れて、はねかえって捕球されたものはファウルチップとは考えないとされました。もしグローブか手に最初に触れ、はねかえって捕球されたものは、キャッチでファウルチップとしました。
35 GROUND BALL「グラウンドボール」〈2.35〉— 地面を転がるか、または地面に低くバウンドしていく打球をいう。
36 HOME TEAM「ホームチーム」〈2.36〉— あるチームが自分の球場で試合を行なう場合、相手チームに対して、そのチームを指して呼ぶ術語である。試合が中立の球場で行なわれる場合には、ホームチームは相互の協定によって指定される。
【注】ホームチームの相手チームをビジティングチームまたはビジターと呼ぶ。
37 ILLEGAL or ILLEGALLY「イリーガルまたはイリガリー」〈2.37〉— 本規則に反することをいう。
38 ILLEGAL PITCH「イリーガルピッチ」(反則投球)〈2.38〉— (1)投手が、投手板に触れないで投げた打者への投球、(2)クィックリターンピッチ、をいう。— 走者が塁にいるときに反則投球をすれば、ボークとなる。
39 INFIELDER「インフィールダー」(内野手)〈2.39〉— 内野に守備位置をとる野手をいう。
40 INFIELD FLY「インフィールドフライ」〈2.40〉— 0アウトまたは1アウトで、走者が一・二塁、一・二・三塁にあるとき、打者が打った飛球(ライナーおよびバントを企てて飛球となったものを除く)で、内野手が普通の守備行為をすれば、捕球できるものをいう。この場合、投手、捕手および外野手が、内野で前記の飛球に対して守備したときは、内野手と同様に扱う。
審判員は、打球が明らかにインフィールドフライになると判断した場合には、走者が次の行動を容易にとれるように、ただちに〝インフィールドフライ〟を宣告しなければならない。また、打球がベースラインの近くに上がった場合には〝インフイールドフライ・イフ・フェア〟を宣告する。
インフィールドフライが宣告されてもボールインプレイであるから、走者は離塁しても進塁してもよいが、その飛球が捕らえられれば、リタッチの義務が生じ、これを果たさなかった場合には、普通のフライの場合と同様、アウトにされるおそれがある。
たとえ、審判員の宣告があっても、打球がファウルボールとなれば、インフィールドフライとはならない。
インフィールドフライと宣告された打球が、最初に(何物にも触れないで)内野に落ちても、ファウルボールとなれば、インフィールドフライとはならない。また、この打球が、最初に(何物にも触れないで)ベースラインの外へ落ちても、結局フェアボールとなれば、インフィールドフライとなる。
【原注】審判員はインフィールドフライの規則を適用するにあたって、内野手が普通の守備行為をすれば捕球できるかどうかを基準とすべきであって、たとえば、芝生やベースラインなどを勝手に境界線として設定すべきではない。たとえ、飛球が外野手によって処理されても、それは内野手によって容易に捕球されるはずだったと審判員が判断すれば、インフィールドフライとすべきである。インフィールドフライはアピールプレイであると考えられるような要素はどこにもない。審判員の判断がすべて優先し、その決定はただちに下されなければならない。
インフィールドフライが宣告されたとき、走者は危険を承知で進塁してもよい。インフィールドフライと宣告された飛球を内野手が故意落球したときは、5.09(a)(12)の規定にもかかわらずボールインプレイである。インフィールドフライの規則が優先する。
インフィールドフライが宣告されたときに妨害が発生した場合、打球がフェアかファウルかが確定するまでボールインプレイの状態は続く。打球がフェアになれば、野手の守備を妨害した走者と、打者がアウトになる。打球がファウルになれば、野手の守備を妨害した走者だけがアウトとなり、その打球が捕球されたとしても、打者は打ち直しとなる。
【注】インフィールドフライは、審判員が宣告して、初めて効力を発する。
変遷
- 1894年に初めてインフィールドフライのオリジナルが、プロ野球のコードに現れました。 “一死だけで、走者が一塁にいる時に、打者が内野手によって捕らえられるフライボールを打った時”打者はアウトとなります。
- このルールは、ダブルプレイを誘発させたり、より早い走者を退かせたりする守備側のチームによるだますような行為を制定したものです。
- ルールが改正された翌年の1895年には、一死で、走者が一・二塁、一・二・三塁にあるときに適用されました。不思議なことに、インフィールドフライルールが、この状況で無死か一死の状態というふうに書き直されたのは1901年まではありませんでした。勿論、これが今日のルールとなっています。
- ルールメーカーは走者一塁だけの時はダブルプレイをとることが実質的には難しいことに気付きました。 しかしながら、二人かそれ以上の走者が塁にいる時は、トリックダブルプレイが可能です。
- 初期には審判は走者に注意を喚起するために、“内野か外野”のいずれかに打たれた時は直に宣告することを要求されていました。
- 今日のプロの審判は、ボールがその頂点に達し、そして内野手が普通にボールを処理することができるようなポジションにきた後に、インフィールドフライを宣告するように訓練されています。
- このルールの趣旨により、外野手でも内野手が普通にプレイするところに位置すれば、内野手と見なします。
- 芝生やペイントされたラインがインフィールドフライの最適な境界線と決定するのに使われるべきではありません。
- インフィールドフライはバントによる打球には適用しません。しかしながら、故意落球6.05(l)にはバントは適用されます。
- “インフィールドフライ”が宣告された時は打者は常にアウトとなり、ボールがキャッチされないならば、走者はタッグアップしなくても、進むことができます。
<第3版解説 インフィールドフライと妨害 より>
(1) インフィールドフライが宣告されたときに妨害が発生した場合、打球がフェアかファウルが確定するまではボールインプレイの状態が続く。打球がフェアになれば、野手の守備を妨害した走者と、インフィールドフライが宣告された打者がアウトになる。打球がファウルになれば、その打球が捕球されても、走者だけが守備妨害でアウトになり、打者は打ち直しとなる。
この規則は、定義40[原注]にわが国では2014年度に追加された。打球がフェアになれば、インフィールドフライでアウトが宣告された打者と、野手の守備を妨害した走者がアウトになる(インフィールドフライが捕球されたかどうかを問わない)。一方、ファウルになった場合、インフィールドフライは成立せず、ファウルボールを捕球しようとした野手を妨害した走者をアウトにし(審判員は、野手が捕球の前に、妨害を宣告しているはずだから、その後ファウルフライを捕球できたかどうかは問わない)、打者はファウルボールだから打ち直しとなる。
インフィールドフライを宣告するタイミングは、「飛球が頂点から落下し始めたとき」と指導している。ということは、高い飛球のときなど、審判員がインフィールドフライを宣告する前に、(故意ではなく)妨害が発生することが考えられる。この場合は、通常の妨害と同様、規則5.09(b)(3)が適用され、妨害発生の瞬間にボールデッドとし、妨害した走者をアウトにして、塁上の他の走者を投球当時の占有塁に戻し、打者走者に一塁を与える。ノーアウト走者一・二塁で、一塁走者が妨害した場合、ワンアウト、走者一・二塁で試合再開となる。
走者が故意に妨害した場合は、規則6.01(a)(6)を適用して、妨害した走者と打者走者とをアウトにする。また、インフィールドフライ・バッターアウトを宣告された打者走者が妨害した場合は、規則6.01(a)(7)を適用して、打者走者と本塁に近い走者とをアウトにする。
例題:インフィールドフライが宣告された。一塁走者は飛球を捕らえようとした二塁手を故意ではないが妨害した。
――― インフィールドフライの場合、ボールインプレイである。したがって、走者は守備妨害でアウト、打者はインフィールドフライでアウトとなる。他の走者は投球当時に占有していた塁に戻る。(定義40[原注])
インフィールドフライのケースではないのに、誤ってインフィールドフライが宣告されたり、または打球がバントフライのときにインフィールドフライと宣告されたような場合、打者がアウトになることはない。両チームは、たとえ間違ってインフィールドフライと宣告されても、その飛球はインフィールドフライではないと理解して行動しないといけない。(誤って)宣告されたインフィールドフライは取り消され、そのままプレイは続く。
インフィールドフライのケースであるにもかかわらず、インフィールドフライと宣告されなかった場合、それはインフィールドフライとはならない。インフィールドフライは審判員が宣告して初めて効力を発するので、そのままプレイは認められる(定義40[注])。ただ野手が落球してダブルプレイが成立した場合は、ダブルプレイ阻止という、このインフィールドフライの意図からしてダブルプレイは認めるべきではなく、その場合は打者走者だけアウトにして走者を投球当時の塁に戻す。
(2) ノーアウト走者一・二塁。投手がボークをおかしながら投球し、その投球を打者が打った。打者は打撃妨害をされながら打ち、インフィールドフライになった。どう処置したらよいか?
――― 打者は打撃妨害で一塁に進み、各走者は押し出されて、走者満塁で再開となる。(6.01(c)、6.02(a)ペナルティ)
41 IN FLIGHT「インフライト」〈2.41〉— 打球、送球、投球が、地面かあるいは野手以外のものにまだ触れていない状態を指す。
42 IN JEOPARDY「インジェパーディ」〈2.42〉— ボールインプレイのとき、攻撃側プレーヤーがアウトにされるおそれのある状態を示す術語である。
43 INNING「イニング」(回)〈2.43〉— 各チームが攻撃と守備とを交互に行なう、試合の一区分である。この間、各チームは守備の際、それぞれ3個のプットアウトを果たす。各チームは1イニングの半分ずつをその攻撃にあてる。
【注】本規則では、ビジティングチーム(先攻チーム)の攻撃する間を表といい、ホームチーム(後攻チーム)の攻撃する間を裏という。
44 INTERFERENCE「インターフェアランス」(妨害)〈2.44〉
(a) 攻撃側の妨害 — 攻撃側プレーヤーがプレイしょうとしている野手を妨げたり、さえぎったり、はばんだり、混乱させる行為である。(6.01aペナルティ参照)
<第3版解説 プレイの介在 より>
例題:得点しようとした走者が本塁でセーフになった後、その後の打者走者のプレイで、打者走者はスリーフットレーンの外側を走ったため妨害でアウトが宣告された。
――― ノーアウトまたはワンアウトの場合、得点は認められ、打者走者にはアウトが宣告される。その理由は、妨害発生前にプレイが介在していたからである。他の走者は、妨害発生の瞬間正規に占有していた塁に戻らなければならない。ツーアウトで、打者走者が一塁に到達する前に妨害でアウトになったときは、走者が本塁に達していたとしても、得点にはならない。(6.01(a)インターフェアに対するペナルティ)
変遷
- 攻撃側の妨害は打者、打者走者、走者、ベースコーチによって起こります。
- オリジナルのルールブックでは、“【原注】 打者走者が一塁に到達しないうちに妨害が発生したときは、すべての走者は投手の投球当時占有していた塁に戻らなければならない。”しかありません。しかしプロ野球の解釈では、“プレイが介在した後に妨害”のケースではこの裁定を無効にします。 以下はプレイが介在した後に妨害が起こるケースの例です。例 走者三塁、打者は三塁手へのゴロを打ち、ホームへと転送されました。三塁走者はセーフとなりました。キャッチャーはそれから打者走者をアウトにするために一塁へ転送しました。その送球はファウルラインの左側のフェア地域を走っていた打者走者に当たりました。これは野手の一塁への送球を妨げとなりました。ルール ホームでのプレイはインターフェアが起こる前なので、得点はカウントします。打者走者は走路を外れて走って送球を妨害しましたのでアウトとなります。
- 上記の例で、三塁走者がホームでアウトとなる場合もあります。よってプレイが介在した後の妨害については、すべての走者は投手の投球当時占有していた塁に戻らなくてもいいわけです。
日本のルールブックでは【注】によってカバーされています。上記の例ではない場合、打者走者が一塁に到達しないうちに妨害が発生したときは、すべての走者は投手の投球当時占有していた塁に戻らなければなりません。
(b) 守備側の妨害 — 投球を打とうとする打者を妨げたり、邪魔をする野手の行為をいう。
変遷
- 守備側の妨害は、他の野手が、打者が打とうとする投球を妨げることがあるかもしれませんが、一般的にキャッチャーの妨害とされています。
- ここで重要なのは、このような妨害が起こった瞬間は、“ボールデッド”と考えないことです。 6.01(c)にあるように、インターフェアランスが起こってプレイが続いた場合、攻撃側の監督は、ある特定の状態を選択できます。
- 6.01gでは同じく、打者が投球を打つことを阻まれる状態が記されています。このプレイはバントで前進してきた一塁手がホームスチールをしようとしている走者にタッグをしようとしたり、スクイズプレイにおいて走者をアウトにしようとするような時に起こります。このような守備側の妨害では“ダブルペナルティ”が課せられます。 日本では“ダブルペナルティ”の適用は、“【注ニ】便宜上設けられたものにすぎないと解釈”としていますのでありません。
(c) 審判員の妨害 — (1)盗塁を阻止しようとしたり、塁上の走者をアウトにしょうとする捕手の送球動作を、球審が邪魔したり、はばんだり、妨げた場合、(2)打球が、野手(投手を除く)を通過する前に、フェア地域で審判員に触れた場合に起こる。
(d) 観衆の妨害 — 観衆が競技場内に入ったり、スタンドから乗り出したり、または競技場内に物を投げ込んで、インプレイのボールを守備しようとしている野手の邪魔をした場合に起こる。
45 LEAGUE「リーグ」〈2.45〉— あらかじめ組まれたスケジュールによって、所属リーグの選手権試合を本規則に従って行なうチームを保有するクラブの集まりである。
46 LEAGUE PRESIDENT「リーグプレジデント」(リーグ会長)〈2.46〉— リーグ会長は本規則の施行の責任者であり、本規則に違反したプレーヤー、コーチ、監督または審判員に制裁金または出場停止を科したり、規則に関連する論争を解決する。
【原注】メジャーリーグでは、本規則のリーグ会長の職務はコミッショナーの指名した者によって遂行される。
【注】我が国のプロ野球では、本規則のリーグ会長の職務はコミッショナーの指名した者によって遂行される。
47 LEGAL or LEGALLY「リーガルまたはリーガリー」〈2.47〉— 本規則に準拠したことをいう。
48 LIVE BALL「ライブボール」〈2.48〉— インプレイのボールをいう。
49 LINE DRIVE「ラインドライブ」(ライナー)〈2.49〉— 打者のバットから鋭く、直線的に、地面に触れないで飛んだ打球である。
50 MANAGER「マネージャー」(監督)〈2.50〉— プレイングフイールドにおける自己のチームの行動に責任を持ち、チームを代表して審判員ならびに相手チームと協議するように、クラブから指定された人である。プレーヤーが監督に指定されることも許される。(4.02)
51 0BSTRUCTION「オブストラクション」(走塁妨害)〈2.51〉— 野手がボールを持たないときか、あるいはボールを処理する行為をしていないときに、走者の走塁を妨げる行為である。(6.01h1・2)
【原注】ここにいう〝野手がボールを処理する行為をしている〟とは、野手がまさに送球を捕ろうとしているか、送球が直接野手に向かってきており、しかも十分近くにきていて、野手がこれを受け止めるにふさわしい位置を占めなければならなくなった状態をいう。これは一に審判員の判断に基づくものである野手がボールを処理しようとして失敗した後は、もはやボールを処理している野手とはみなされない。たとえば、野手がゴロを捕ろうとしてとびついたが捕球できなかった。ボールは通り過ぎていったのにもかかわらずグラウンドに横たわったままでいたので、走者の走塁を遅らせたような場合、その野手は走塁妨害をしたことになる。
52 0FFENSE「オフェンス」(攻撃側)〈2.52〉— 攻撃中のチーム、またはそのプレーヤーをいう。
53 0FFICIAL SCORER「オフィシャルスコアラー」(公式記録員)〈2.53〉— 9.00参照。
54 0RDINARYEFFORT「オーディナリーエフォート」(普通の守備行為)〈2.54〉— 天候やグラウンドの状態を考慮に入れ、あるプレイに対して、各リーグの各守備位置で平均的技量を持つ野手の行なう守備行為をいう。
【原注】この用語は、定義40のほか記録に関する規則でたびたび用いられる。個々の野手に対する客観的基準である。言い換えれば、ある野手が、その野手自身の最善のプレイを行なったとしても、そのリーグの同一守備位置の野手の平均的技量に照らして劣ったものであれば、記録員はその野手に失策を記録する。
55 0UT「アウト」〈2.55〉— 守備側チームが攻撃側となるために、相手チームを退けるのに必要な三つのプットアウトのうちの一つである。
56 0UTFIELDER「アウトフィールダー」(外野手)〈2.56〉— 競技場の内で、本塁から最も遠い、いわゆる外野に守備位置をとる野手である。
57 0VERSLIDE or OVERSLIDING「オーバースライドまたはオーバースライディング」〈2.57〉— 攻撃側プレーヤーが、滑り込みの余勢のために塁から離れて、アウトにされるおそれのある状態におかれる行為をいう。本塁から一塁に進む場合には、ただちに帰ることを条件として、滑り込みの余勢のために塁を離れることは許されている。
58 PENALTY「ペナルティ」〈2.58〉— 反則行為に対して適用される規則をいう。
59 PERSON of player or umpire「パースン・オブ・プレーヤー・オア・アンパイヤー」(プレーヤーまたは審判員の身体)〈2.59〉— その身体、着衣および身につけているものをいう。
60 PITCH「ピッチ」(投球)〈2.60〉— 投手が打者に対して投げたボールをいう。
【原注】あるプレーヤーから他のプレーヤーに送られるボールは、すべて送球である。
61 PITCHER「ピッチャー」(投手)〈2.61〉— 打者に投球するように指定された野手をいう。
62 Pitcher’s PIVOT FOOT「ピッチャース・ピボットフット」(投手の軸足)〈2.62〉—投手が投球の際、投手板に触れている足をいう。
63〝PLAY〟「プレイ」〈2.63〉— 球審が試合を開始するとき、およびボールデッドの状態から競技を再開するときに用いる命令をいう。
64 QUICK RETURN Pitch「クィックリターンピッチ」〈2.64〉— 打者の虚をつくことを意図した投球をいう。これは反則投球である。
65 REGULATION GAME「レギュレーションゲーム」(正式試合)〈2.65〉— 7.Ol参照
66 RETOUCH「リタッチ」〈2.66〉— 走者が、規則によって、帰塁しなければならない塁へ帰る行為をいう。
【注】〝リタッチ〟には、飛球が捕らえられたときに離塁していた走者が、進塁の起点となった塁に帰塁する行為と、飛球が打たれたとき塁にタッチしていて、野手が捕球したのを見て次塁ヘスタートする行為の二つがある。(5.09b5、5.09cl参照)
67 RUN or SCORE「ランまたはスコア」(得点)〈2.67〉— 攻撃側のプレーヤーが打者から走者となって、一塁、二塁、三塁、本塁の順序で各塁に触れた場合に、与えられる得点をいう。(5.08)
68 RUN-DOWN「ランダウン」(挟撃)〈2.68〉— 塁間で走者をアウトにしようとする守備側の行為をいう。
69 RUNNER「ランナー」(走者)〈2.69〉— 塁に向かって進んだり、触れたり、戻ったりする攻撃側プレーヤーをいう。
70〝SAFE〟「セーフ」〈2.70〉— 走者にその得ようとしていた塁を占有する権利を与える、審判員の宣告をいう。
71 SET POSITION「セットポジション」〈2.71〉— 二つの正規な投球姿勢のうちの一つである。
72 SQUEEZE PLAY「スクイズプレイ」〈2.72〉— 三塁に走者がいる場合、バントによって走者を得点させようとするチームプレイを指す術語である。
73 STRIKE「ストライク」〈2.73〉— 次のような、投手の正規な投球で、審判員によって〝ストライク〟と宣告されたものをいう。
(a) 打者が打った(バントの場合も含む)が、投球がバットに当たらなかったもの。
(b) 打者が打たなかった投球のうち、ボールの一部分がストライクゾーンのどの部分でもインフライトの状態で通過したもの。
(c) 0ストライクまたは1ストライクのとき、打者がファウルしたもの。
(d) バントして、ファウルボールとなったもの。
【注】普通のファウルは、2ストライクの後はストライクとして数えられないが、バントのファウルに限って、ボールカウントには関係なく常にストライクとして数えられるから、2ストライク後にバントしたものがファウルボールとなれば、打者は三振となる。ただし、バントがフライとして捕らえられた場合は、フライアウトとなる。
(e) 打者が打った(バントした場合も含む)が、投球がバットには触れないで打者の身体または着衣に触れたもの。
(f) バウンドしない投球がストライクゾーンで打者に触れたもの。
(g) ファウルチップになったもの。
74 STRIKE ZONE「ストライクゾーン」〈2.74〉— 打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、膝頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間をいう。
このストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである。
【注】投球を待つ打者が、いつもと異なった打撃姿勢をとってストライクゾーンを小さく見せるためにかがんだりしても、球審は、これを無視してその打者が投球を打つための姿勢に従って、ストライクゾーンを決定する。
<第4版解説 ストライクゾーン より>
1997年にストライクゾーンの低目の下限が「ひざ頭の上部」から「ひざ頭の下部」に改正になった際、アマチュア野球は、混乱を避ける意味で、アマチュア内規を設けて、「ストライクゾーンの下限に関してだけ、ボールの全部がひざ頭の下部のラインより上方を通過したものとする」とした。
しかし、2009年には、野球の一番の根幹であるストライクゾーンについて規則どおりとする、また審判用具の改良によって(インサイドプロテクターの採用)低目の下限が見やすくなり、低目の判定技術が向上してきていることから、思い切ってこれまでのアマチュア内規を廃止し、規則書どおり低目の下限については「ひざ頭の下部のラインを下限とする」ことにした。(定義74)
75 SUSPENDED GAME「サスペンデッドゲーム」(一時停止試合)〈2.75〉— 後日、その続きを行なうことにして、一時停止された試合をいう。(7.02)
76 TAG「タッグ」(触球)〈2.76〉— 野手が、手またはグラブに確実にボールを保持して、その身体を塁に触れる行為、あるいは確実に保持したボールを走者に触れるか、手またはグラブ(ひもだけの場合は含まない)に確実にボールを保持して、その手またはグラブを走者に触れる行為をいう。
しかし、塁または走者に触れると同時、あるいはその直後に、ボールを落とした場合は〝触球〟ではない。
野手が塁または走者に触れた後、これに続く送球動作に移ってからボールを落とした場合は、〝触球〟と判定される。
要するに、野手が塁または走者に触れた後、ボールを確実につかんでいたことが明らかであれば、これを落とした場合でも〝触球〟と判定される。
本定義では、プレーヤーが身に着けているネックレス、ブレスレットなどの装身具は、プレーヤーの身体の一部とはみなさない。
<第4版解説 タッグ(触球)より>
野手が、手またはグラブに確実にボールを保持して、その身体を塁に触れる行為、あるいは確実に保持したボールを走者に触れるか、手またはグラブに確実にボールを保持して、その手またはグラブ(ひもだけの場合は含まない)を走者に触れる行為をいう。
野手が塁または走者に触れると同時に、あるいはその直後に、ボールを落とせば、それは“触球”とはならない。野手が塁または走者に触れた後、これに続く送球動作に移ってからボールを落とした場合は、“触球”と判定される。たとえば、本塁上で捕手が走者にタッグしたがその直後に捕手のミットからボールが飛び出したり、あるいはタッグした後に、投げ手にボールが確実に移る前にボールを落とした場合には、触球とはならない。
要するに、野手が塁または走者に触れた後、ボールを確実にコントロールしていたことが明らかであれば、これを落とした場合でも“触球”と判定される。(定義76)
また、タッグしようとした野手のグラブのひもが、走者に触れた場合は、タッグしたものとはみなさない。
77 THROW「スロー」(送球)〈2.77〉— ある目標に向かって、手および腕でボールを送る行為をいい、常に投手の打者への投球(ピッチ)と区別される。
78 TIEGAME「タイゲーム」〈2.78〉— 球審によって終了を命じられた正式試合で、両チームの得点が等しかったものをいう。
79〝TIME〟「タイム」〈2.79〉— 正規にプレイを停止させるための審判員の宣告であり、その宣告によってボールデッドとなる。
80 TOUCH「タッチ」〈2.80〉— プレーヤーまたは審判員の身体はもちろん、着用しているユニフォームあるいは用具(ただし、プレーヤーが身に着けているネックレス、ブレスレットなどの装身具は除く)のどの部分に触れても〝プレーヤーまたは審判員に触れた〟ことになる。
81 TRIPLE PLAY「トリプルプレイ」(三重殺)〈2.81〉— 守備側プレーヤーが連続した動作で、3人の攻撃側プレーヤーをプットアウトにするプレイであるが、この三つのプットアウトの間に失策が介在したものは、トリプルプレイとはみなされない。
82 WILD PITCH「ワイルドピッチ」(暴投)〈2.82〉— 捕手が普通の守備行為で処理することができないほど高すぎるか、低すぎるか、横にそれるかした、投手の正規な投球をいう。
83 WIND-UP POSITION「ワインドアップポジション」〈2.83〉— 二つの正規な投球姿勢のうちの一つである。
変遷
- 1950年の改正により、”ワインドアップポジション”は”セットポジション”から区別するために公式に定義されました。
- ワインドアップポジションのための必要条件は以下を含みます。
1 投手は打者に相対さなければなりません。
2 軸足は投手板に触れていなければなりません。しかし両端から軸足がはみ出してはなりません。
3 片方の足は自由にしてもかまいません。投手板の前でも、投手板に触れていても、投手板の後ろでも、端にはみ出していてもかまいません。
4 投手の足がこれらの定められたポジションにあるとき、投手が始動すればどんな自然の動きでも変更、中断することなしに投球しなければなりません。
5 ワインドアップをとるにあたって、投手は自由な足を地面から上げ、一歩後方に引き、さらに一歩前方に踏み出すこともできます。
6 ワインドアップをとるにあたって、投手の軸足は投手板に触れていなければなりません。(プロ野球では偶然に少し軸足が離れてしまっても、審判が有利とならないと判断するならペナルティとはなりません。) - ワインドアップを始める前には、両手を離していても、身体の前方で両手を合わせることもできます。この状態では、ボールを両手で身体の前方に保持すれば、どんな動きでもワインドアップポジションをとったものとみなされます。
正規にワインドアップをとれば、投手は以下の三つの中から一つをすることができます。
(1) 打者に投球してもよい。
(2) 走者のいる塁に踏み出して送球してもよい。
(3) 投手板の後方に軸足を移項して 投手板をはずしてもよい。