5.06 走者〈7.00〉

(a)〈7.01〉塁の占有

 (1) 走者がアウトになる前に他の走者の触れていない塁に触れれば、その塁を占有する権利を獲得する。

その走者は、アウトになるか、または、その塁に対する正規の占有権を持ってい る他の走者のためにその塁を明け渡す義務が生じるまで、その権利が与えられる。

【5.06a・c原注】走者が塁を正規に占有する権利を得て、しかも投手が投球姿勢に入っ た場合は、元の占有塁に戻ることは許されない。

(2)〈7.03a〉2人の走者が同時に一つの塁を占有することは許されない。ボールインプ レイの際、2人の走者が同一の塁に触れているときは、その塁を占有する権利は前位 の走者に与えられているから、後位の走者はその塁に触れていても触球されればア ウトとなる。ただし本条(b)(2)項適用の場合を除く。

(b) 進塁

(1)〈7.02〉走者は進塁するにあたり、一塁、二塁、三塁、本塁の順序に従って、各塁 に触れなければならない。逆走しなければならないときも、5.06(c)の各規定のボー ルデッドとなっていない限り、すべての塁を逆の順序で、再度触れて行かなければ ならない。前記のボールデッドの際は、途中の塁を踏まないで、直接元の塁へ帰る ことはさしつかえない。

【注1】ボールインプレイ中に起きた行為(たとえば悪送球、ホームランまたは柵外に 出たフェアヒットなど)の結果、安全進塁権が認められたときでも、走者が、進塁ま たは逆走するにあたっては、各塁を正規に触れなければならない。

【注2】〝逆走しなければならないとき〟というのは、

①  フライが飛んでいるうちに次塁へ進んだ走者が、捕球されたのを見て帰塁しょう とする場合(5.09b5参照)

②  塁を空過した走者が、その塁を踏み直す場合(5.09c2参照)

③  自分よりも前位の走者に先んじるおそれがある場合(5.09b9参照) を指すものであって、このようなときでも、逆の順序で各塁に触れなければならな い。

(2)〈7.03b〉打者が走者となったために進塁の義務が生じ、2人の走者が後位の走者が進むべき塁に触れている場合には、その塁を占有する権利は後位の走者に与えられているので、前位の走者は触球されるか、野手がボールを保持してその走者が進むべき塁に触れればアウトになる。(5.09b6参照)

(3)〈7.04〉次の場合、打者を除く各走者は、アウトにされるおそれなく1個の塁が与え られる。

(A) ボークが宣告された場合。

(B) 打者が次の理由で走者となって一塁に進むために、その走者が塁を明け渡さなけ ればならなくなった場合。

①  打者がアウトにされるおそれなく、一塁に進むことが許された場合。 ②  打者の打ったフェアボールが、野手(投手を含む)に触れる前か、または野手(投 手を除く)を通過する前に、フェア地域で審判員もしくは他の走者に触れた場合。

【原注】安全進塁権を得た走者が、与えられた塁に触れた後さらに進塁することはさし つかえないが、その行為の責任はその走者自身が負うだけで、たとえ与えられた塁に触れた後にアウトになった場合でも、他の走者の安全進塁権に影響を及ぼすことはない。

したがって、2アウト後その走者が与えられた塁に触れた後にアウトになり、第3ア ウトが成立しても安全進塁権がある前位の走者は、そのアウトの後で本塁を踏んでも得点として認められる。

例— 2アウト満塁、打者四球、二塁走者が勢いこんで、三塁を回って本塁の方へ向 かってきたが、捕手からの送球で触球アウトとなった。たとえ2アウト後であっても、 四球と同時に三塁走者が本塁に押し出されたので、すべての走者に次塁へ進んで触れ る必要が生まれたという理論に基づいて得点が記録される。

【注】 本項〔原注〕は、打者が四球を得たために、塁上の各走者に次塁への安全進塁 権が与えられた場合だけに適用される。

(C) 野手が飛球を捕らえた後、ベンチまたはスタンド内に倒れ込んだり、ロープを越え て観衆内(観衆が競技場内まで入っているとき)に倒れ込んだ場合。

【原注】野手が正規の捕球をした後、スタンド、観衆、ダッグアウト、またはその他ボ ールデッドの個所に倒れ込んだり、あるいは捕球した後ダッグアウトの中で倒れた場合、ボールデッドとなり、各走者は野手が倒れ込んだときの占有塁から1個の進塁が許される。

(D) 走者が盗塁を企てたとき、打者が捕手またはその他の野手に妨害(インターフェア) された場合。

【注】本項は、盗塁を企てた塁に走者がいない場合とか、進もうとした塁に走者がいても、その走者もともに盗塁を企てていたために次塁への進塁が許される場合だけに適 用される。しかし、進もうとした塁に走者があり、しかもその走者が盗塁を企ててい ない場合には、たとえ盗塁行為があってもその走者の進塁は許されない。また単に塁 を離れていた程度では本項は適用されない。

(E) 野手が帽子、マスク、その他着衣の一部を本来つけている個所から離して、投球に 故意に触れさせた場合。

この際はボールインプレイで、ボールに触れたときの走者の位置を基準に塁が与え られる。

【5.06b3付記】ボールインプレイのもとで1個の塁に対する安全進塁権を得た走者が、その塁を踏まないで次塁へ進もうとした場合、および2個以上の塁に対する安全進塁権を得た走者が、与えられた最終塁に達した後はボールインプレイになる規則のもとで、 その塁を踏まないで次塁へ進もうとした場合は、いずれもその走者は安全進塁権を失ってアウトにされるおそれがある状態におかれる。したがって、その進むことが許された塁を踏み損ねた走者は、その空過した塁に帰る前に、野手によってその身体また はその塁に触球されれば、アウトとなる。

【注】たとえば、打者が右中間を抜こうとするような安打を打ったとき、右翼手が止めようとしてこれにグラブを投げつけて当てたが、ボールは外野のフェンスまで転じ去った。打者は三塁を空過して本塁へ進もうとしたが、途中で気がついて三塁へ踏み直しに帰ろうとしたこの際、打者はもはや三塁へ安全に帰ることは許されないから、その打者が三塁に帰る前に、野手が打者または三塁に触球してアピールすれば、打者はアウトになる。(5.06b4C参照)

(4)〈7.05〉次の場合、各走者(打者走者を含む)は、アウトにされるおそれなく進塁する ことができる。

(A) 本塁が与えられ得点が記録される場合 — フェアボールがインフライトの状 態でプレイングフイールドの外へ出て、しかも、各走者が正規に各塁に触れた場合。 また、フェアボールがインフライトの状態で、明らかにプレイングフイールドの外 へ出ただろうと審判員が判断したとき、野手がグラブ、帽子、その他着衣の一部を 投げつけて、その進路を変えた場合。

【注1】フェアの打球がインフライトの状態で、明らかにプレイングフイールドの外へ出ただろうと審判員が判断したとき、観衆や鳥などに触れた場合には、本塁が与えられる。

送球またはインフライトの打球が、鳥に触れた場合は、ボールインプレイでありインフライトの状態は続く。しかし、プレイングフイールド上(地上)の鳥または動物に触れた場合は、ボールインプレイであるが、インフライトの状態でなくなる。 また、投球が鳥に触れた場合は、ボールデッドとしてカウントしない。犬などがフ ェアの打球、送球または投球をくわえたりした場合には、ボールデッドとして審判員の判断によって処置する。

【注2】〝その進路を変えた場合〟とあるが、インフライトの状態で、明らかにプレイ ングフイールドの外へ出ただろうと審判員が判断したフェアの打球が、野手の投げ つけたグラブなどに触れて、グラウンド内に落ちたときでも、本項が適用される。

(B) 3個の塁が与えられる場合 — 野手が、帽子、マスクその他着衣の一部を、本 来つけている個所から離して、フェアボールに故意に触れさせた場合。

この際はボールインプレイであるから、打者はアウトを賭して本塁に進んでもよい。

(C) 3個の塁が与えられる場合 — 野手が、グラブを故意に投げて、フェアボール に触れさせた場合。 この際はボールインプレイであるから、打者はアウトを賭して本塁に進んでもよい。

【注】ここにいうフェアボールとは、野手がすでに触れていたかどうかを問わない。

(D) 2個の塁が与えられる場合 — 野手が、帽子、マスクその他着衣の一部を、本 来つけている個所から離して、送球に故意に触れさせた場合。 この際はボールインプレイである。

(E) 2個の塁が与えられる場合 — 野手が、グラブを故意に投げて、送球に触れさ せた場合。 この際はボールインプレイである。

【BCDE原注】投げたグラブ、本来の位置から離した帽子、マスクその他がボールに触れなければ、このペナルティは適用されない。

【CE原注】このペナルティは、打球または送球の勢いにおされて、野手の手からグラブが脱げたとき、あるいは正しく捕らえようと明らかに努力したにもかかわらず、 野手の手からグラブが脱げた場合などには、適用されない

【BCDE注】野手により、各項の行為がなされた場合の走者の進塁の起点は、野手が 投げたグラブ、本来の位置から離した帽子、マスクその他が打球または送球に触れた瞬間とする。

(F) 2個の塁が与えられる場合 — フェアの打球が、

①  バウンドしてスタンドに入るか、または野手に触れて進路が変わって、一塁ま たは三塁のファウル線外にあるスタンドに入った場合。

②  競技場のフェンス、スコアボード、灌木、またはフェンスのつる草を抜けるか、 その下をくぐるか、挟まって止まった場合。

(G) 2個の塁が与えられる場合 — 送球が、

①  競技場内に観衆があふれ出ていないときに、スタンドまたはベンチに入った場合。(ベンチの場合は、リバウンドして競技場に戻ったかどうかを問わない)

②  競技場のフェンスを越えるか、くぐるか、抜けた場合。

③  バックストップの上部のつぎ目から、上方に斜めに張ってある金網に上がった 場合。

④  観衆を保護している金網の目に挟まって止まった場合。 この際は、ボールデッドとなる。

審判員は2個の進塁を許すにあたって、次の定めに従う。すなわち、打球処理直後 の内野手の最初のプレイに基づく悪送球であった場合は、投手の投球当時の各走 者の位置、その他の場合は、悪送球が野手の手を離れたときの各走者の位置を基 準として定める。

【規則説明】悪送球が打球処理直後の内野手の最初のプレイに基づくものであっても、 打者を含む各走者が少なくとも1個の塁を進んでいた場合には、その悪送球が内野手 の手を離れたときの各走者の位置を基準として定める。

【原注】ときによっては、走者に2個の塁が与えられないこともある。

たとえば、走者一塁のとき、打者が浅い右翼飛球を打った。走者は一塁二塁間で 立ち止まっており、打者は一塁を過ぎて走者の後ろまできた。打球は捕らえられず、 外野手は一塁に送球したが、送球はスタンドに入った。すべてボールデッドとなっ たときは、走者は進む権利を与えられた塁以上には進塁できないから、一塁走者は 三塁へ、打者は二塁まで進む。

規則説明 〝悪送球がなされたとき〟という術語は、その送球が実際に野手の手を 離れたときのことであって、地面にバウンドした送球がこれを捕ろうとした野手を 通過したときとか、スタンドの中へ飛び込んでプレイから外れたときのことではな い。

内野手による最初の送球がスタンドまたはダッグアウトに入ったが、打者が走者 となっていない(三塁走者が捕逸または暴投を利して得点しようとしたときに、アウ トにしようとした捕手の送球がスタンドに入った場合など)ような場合は、その悪送 球がなされたときの走者の位置を基準として2個の進塁が許される。(5.06b4Gの適用 に際しては、捕手は内野手とみなされる)

例 走者一塁、打者が遊ゴロを打った。遊撃手は、二塁でフォースアウトしようと して送球したが間に合わなかった二塁手は打者が一塁を通り過ぎてから一塁手に悪 送球した。— 二塁に達していた走者は得点となる。(このようなプレイで、送球 がなされたとき、打者走者が一塁に達していなかったときは、打者走者は二塁が許 される)

(H) 1個の塁が与えられる場合 — 打者に対する投手の投球、または投手板上から 走者をアウトにしょうと試みた送球が、スタンドまたはベンチに入った場合、競技 場のフェンスまたはバックストップを越えるか、抜けた場合。

この際はボールデッドとなる。

【規則説明】投手の投球が捕手を通過した後(捕手が触れたかどうかを問わない)さら に捕手またはその他の野手に触れて、ベンチまたはスタンドなど、ボールデッドに なると規定された個所に入った場合、および投手が投手板上から走者をアウトにし ようと試みた送球が、その塁を守る野手を通過した後(その野手が触れたかどうかを 問わない)さらに野手に触れて、前記の個所に入ってボールデッドになった場合、い ずれも、投手の投球当時の各走者の位置を基準として、各走者に2個の塁を与える。

(I) 四球目、三振目の投球が、球審か捕手のマスクまたは用具に挟まって止まった場合、1個の塁が与えられる。

ただし、打者の四球目、三振目の投球が(H)および(I)項規定の状態になっても、 打者には一塁が与えられるにすぎない。

【原注1】走者がアウトにされることなく1個またはそれ以上の塁が与えられたときでも、 与えられた塁またはその塁に至るまでの途中の塁に触れる義務を負うものである。

例—打者が内野にゴロを打ち、内野手の悪送球がスタンドに飛び込んだ。打者走者は 一塁を踏まないで二塁に進んだ。打者走者は二塁を許されたわけだが、ボールインプ レイになった後、一塁でアピールされればアウトになる。

【原注2】飛球が捕らえられたので元の塁に帰らなければならない走者は、グラウンドル ールやその他の規則によって、余分の塁が与えられたときでも投手の投球当時の占有塁のリタッチを果たさなければならない。この際、ボールデッド中にリタッチを果た してもよい。また、与えられる塁はリタッチを果たさなければならない塁が基準となる。

【注】打者の四球目または三振目の投手の投球が、(H)項〔規則説明〕の状態になっ たときは、打者にも二塁が与えられる。

(C) ボールデッド

〈5.09〉次の場合にはボールデッドとなり、走者は1個の進塁が許されるか、または帰塁 する。その間に走者はアウトにされることはない。

(1) 投球が、正規に位置している打者の身体、または着衣に触れた場合 — 次塁 に進むことが許された走者は進む。

(2) 球審が、盗塁を阻止しようとしたり、塁上の走者をアウトにしようとする捕手の 送球動作を妨害(インターフェア)した場合 — 各走者は戻る。

【付記】捕手の送球が走者をアウトにした場合には、妨害がなかったものとする。

【原注】捕手の送球動作に対する球審の妨害には、投手への返球も含む。

【注】捕手の送球によってランダウンプレイが始まろうとしたら、審判員はただちに 〝タイム〟を宣告して、走者を元の塁に戻す。

〈5.02〉ボールデッドとなった際は、各プレーヤーはアウトになったり、進塁したり、 帰塁したり、得点することはできない。

ただし、ボールインプレイ中に起きた行為(たとえば、ボーク、悪送球、インターフ ェア、ホームランまたはプレイングフイールドの外に出たフェアヒット)などの結果、 1個またはそれ以上の進塁が認められた場合を除く。

(3) ボークの場合 — 各走者は進む。(6.02aペナルティ参照)

(4) 反則打球の場合 — 各走者は戻る。

(5) ファウルボールが捕球されなかった場合 — 各走者は戻る。

球審は塁上の走者が、元の塁にリタッチするまで、ボールインプレイの状態にして はならない

(6) 内野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で走者または審判員に触れた場合、あるいは内野手(投手を除く)を通過していないフェアボールが、審判員に触れた場合 — 打者が走者となったために、塁を明け渡す義務が生じた各走者は進む。

走者がフェアボールに触れても、次の場合には、審判員はアウトを宣告してはなら ない。なお、この際は、ボールインプレイである。

(A) いったん内野手に触れたフェアボールに触れた場合。

(B) 1人の内野手に触れないでその股間または側方を通過した打球にすぐその後方で 触れても、このボールに対して他のいずれの内野手も守備する機会がなかったと審 判員が判断した場合。

【原注】打球が投手を通過してから、内野内に位置していた審判員に触れた場合は、 ボールデッドとなる。フェア地域で野手によってそらされた打球が、まだインフライトの状態のまま、走者または審判員に触れ地上に落ちるまでに、内野手によって 捕球されても、捕球とはならず、ボールインプレイの状態は続く。

【注】フェアボールがファウル地域で審判員に触れた場合、ボールインプレイである。

(7) 投球が、球審か捕手のマスク、または用具に挟まって止まった場合 — 各走者 は進む。

【原注】チップした打球が、球審に当たってはね返ったのを、野手が捕らえても、ボールデッドとなって、打者はアウトにはならない。チップした打球が、球審のマスクや用具に挟まって止まっても、同様である。

第3ストライクと宣告された投球が、捕手を通過して球審に当たったときは、ボールインプレイである。球審に当たってはね返ったポールが、地上に落ちる前に捕球され ても、打者はただちにアウトにはならないボールインプレイであり、打者は一塁に触 れる前に、その身体または一塁に触球されて、初めてアウトになる。

第3ストライクと宣告された投球または四球目の投球が、球審か捕手のマスクまたは 用具に挟まって止まった場合、打者には一塁が与えられ、塁上の走者には1個の進塁が 許される。

(8) 正規の投球が、得点しようとしている走者に触れた場合 — 各走者は進む。