(b)〈8.03〉準備投球

投手は各回のはじめに登板する際、あるいは他の投手を救援する際には、捕手を相手に8球を超えない準備投球をすることは許される。この間プレイは停止される。
各リーグは、その独自の判断で、準備投球の数や時間を制限してもさしつかえない。このような準備投球は、いずれの場合も1分間を超えてはならない。
突然の事故のために、ウォームアップをする機会を得ないで登板した投手には、球審は必要と思われる数の投球を許してもよい。

第3版解説 投手のウォーミングアップの制限 2019改正

2019 年の改正で、5.07(b)と「【5.10ℓ原注】の 4 段落目末尾」が次のように改められた。赤字部を改正、打消し部を削除)

5.07(b):投手は各回のはじめに登板する際、あるいは他の投手を救援する際には、捕手を相手に8球を超えない準備投球をすることは許される。この間プレイは停止される。各リーグは、その独自の判断で、準備投球の数や時間を制限してもさしつかえない。このような準備投球は、いずれの場合も1分間を超えてはならない。以下略)
【5.10ℓ原注】:リリーフ投手は、審判員の適宜な判断において、8 球またはそれ以上の必要な準備投球が許される。

投手が各回のはじめにマウンドに上がって行う準備投球について、2018 年までの規則で定められていた球数(8球以内)および時間(1分以内)ともに制限がなくなった。
この改正は、一見、試合時間の短縮に逆行するものではないかと思われる。しかし、MLB の実情からすると、2018 年(OBR は 2017 年)の故意四球の申告制の採用(5.05(b)(1)原注、定義 7)や、2019 年(同 2018 年)の「マウンドに行ける回数の制限」(5.10(m))の新設と同じく、スピードアップのルールのようだ。2018 年のシーズンからイニング間の時間を、地元テレビ局で中継される公式戦の場合は2分 25 秒から2分5秒に、全米中継では2分 45 秒から2分 25 秒に、それぞれ 20 秒短縮し、準備投球はイニング間の制限時間の 20 秒前になったらできなくなるとのこと。こうすることにより、投手は8球以内、1分以内の準備投球が保証されなくなった。

5.07(b)では各リーグが準備投球の数や時間を制限することは許されるので、我が国のプロ野球や高校野球、軟式野球では、2018 年までの取り決めや運用をそのまま適用することとした。

社会人野球と大学野球では、2015 年に「社会人及び大学野球における試合のスピードアップに関する特別規則」を定め、投手の準備投球を5球以内としたが、2018 年のシーズンからは(大学は一部のリーグで実施)、規則 5.10(k)を厳格適用することとし、投手と野手のベンチ前でのキャッチボールを禁止するとともに、投手の準備投球を当時の規則通り1分以内、8球以内としたが、ブルペンでのキャッチボールは認めることとした。

そして、2019 年の改正を受けて、投手は準備ができるまで制限なしで準備投球ができることし、これに伴い、イニング間の投手や野手のベンチ前やブルペンでのキャッチボールを禁止するように上記「特別規則」を改正した。(「Ⅵ-50 ベンチ前のキャッチボールの禁止」を参照。)この特別規則の改正に際し、社会人野球と大学野球の一部の関係者からは、今までのスピードアップの取り組みに反するのではないかとの疑問が寄せられた。しかし、両団体の規則・審判所管委員会は、WBSC のランキングが 1 位である(2019 年2月現在)日本が、世界標準の規定であり、国際大会では厳守されている 5.10(k)(ベンチ前でのキャッチボールの禁止など)を遵守すべきである、遵守できないはずはないという考えから、「投手の準備投球」と「ベンチ前のキャッチボール」の両方を「OBR(世界標準)のとおり」とするために、特別規則の改正に踏み切った。