(f)〈8.01f〉両手投げ投手

投手は、球審、打者および走者に、投手板に触れる際、どちらかの手にグラブをはめることで、投球する手を明らかにしなければならない。

投手は、打者がアウトになるか走者になるか、攻守交代になるか、打者に代打者が出るか、あるいは投手が負傷するまでは、投球する手を変えることはできない。投手が負傷したために、同一打者の打撃中に投球する手を変えれば、その投手は以降再び投球する手を変えることはできない。投手が投球する手を変えたときには、準備投球は認められない。

投球する手の変更は、球審にはっきりと示さなければならない。

<5.07f 第3版解説 両手投げ投手>

わが国の規則書では、2010年に両手投げ投手の規定が追加された。規則5.07(f)では、「投手は、球審、打者および走者に、投手板に触れる際、どちらかの手にグラブをはめることで、投球する手を明らかにしなければならない。」と規定している。つまり、投手は、投手板に触れるときに、どちらの手で投げるかを明確にする。それはグラブをはめた手で判断する。そうすることで、打者がどちらのボックスに入るかで投手が投げ手を自由に変えたり、あるいは投手がどちらの手で投げるかで打者が右打席に入るか左に入るかを自由に決めたりすることを防止した,

また、同一打者の打撃中に、原則投げ手を変えることはできないとも規定されている。

日本では、1987年に当時の南海ホークスに両手投げ投手が入団し、話題を呼んだ。このときのパ・リーグの規則委員会は、「投手板につく前にどちらで投げるかを打者に知らせる」と取り決めたという。その後、日本で両手投げ投手が登場したというニュースは耳にしていない。

ところが、2008年に米国のマイナーリーグでパット・ベンディッドという投手が現れ、デビュー戦で登板したときの打者がスイッチヒッターだった。最初に打者が左打席に入るのを見て、ベンディッドは特注グラブ(指が6本、網が2つ)を右手にはめると、それを見た打者が右打席に移動、するとベンディッドはグラブを左手にはめる、または打者は…と、これが延々5分間も繰り返された。最後は見かねた球審が両監督と協議の末、「打者が最初に左右を決める」と裁定し、結局右対右で三振だった。この事件が引き金となって、2009年のOBRに5.07(f)が追加された。これは「パット・ベンディッド・ルール」と呼ばれている。