(b)〈7.08〉走者アウト

次の場合、走者はアウトとなる。

(1) 走者が、野手の触球を避けて、走者のベースパス(走路)から3㌳以上離れて走った場合。
ただし、走者が打球を処理している野手を妨げないための行為であれば、この限りではない。
この場合の走者のベースパス(走路)とは、タッグプレイが生じたときの、走者と塁を結ぶ直線をいう。

【注1】通常走者の走路とみなされる場所は、塁間を結ぶ直線を中心として左右へ各3㌳、すなわち6㌳の幅の地帯を指すが、走者が大きく膨らんで走っているときなど最初からこの走路外にいたときに触球プレイが生じた場合は、その走者と塁を結ぶ直線を中心として左右へ各3㌳が、その走者の走路となる

【注2】本項の〝ただし〟以下は、野手が走者の走路内で打球を処理しているとき、これを妨げないために走者が走路外を走っても、アウトにならないことを規定しているものであって、打球処理後に触球プレイが生じたときには、本項前段の適用を受けることはもちろんである。

(2) 一塁に触れてすでに走者となったプレーヤーが、ベースパスから離れ、次の塁に進もうとする意思を明らかに放棄した場合。

【原注】一塁に触れてすでに走者となったプレーヤーが、もはやプレイは続けられていないと思い込んで、ベースパスを離れてダッグアウトか守備位置の方へ向かったとき、審判員がその行為を走塁する意思を放棄したとみなすことができると判断した場合、その走者はアウトを宣告される。この際、たとえアウトが宣告されても、他の走者に関しては、ボールインプレイの状態が続けられる。この規則は、次のプレイなどに適用される。

例 — 0アウトまたは1アウトで、同点の最終回、走者一塁のとき、打者が競技場の外ヘサヨナラ本塁打を打った。一塁走者は、二塁を過ぎてから、本塁打で自動的に勝利が決まったと思い込み、ダイヤモンドを横切って自分のベンチに向かった。この間、打者は、本塁に向かって進んでいたような場合、走者は、〝次塁に進もうとする意思を放棄した〟という理由で、アウトを宣告され、打者走者は各塁を踏んで行って本塁打を生かすことが許される。もし、2アウト後ならば、本塁打は認められない(5.09d参照)。
これはアピールプレイではない。

例 — 走者が一塁または三塁で触球されてアウトを宣告されたと思い込んでダッグアウトに向かいだし、依然としてアウトだと思い込んでいる様子が明らかだと審判員が認めるのに適当な距離まで進んでいるときには、走者は進塁を放棄したという理由でアウトを宣告される。

【注】フォースの状態におかれている走者に対しては、本項を適用しない。

(3) 走者が、送球を故意に妨げた場合、または打球を処理しようとしている野手の妨げになった場合。

ペナルティ 走者はアウトとなり、ボールデッドとなる。〔6.01a妨害に対するペナルティ〕参照。

【注1】〝野手が打球を処理する〟とは、野手が打球に対して守備しはじめてから打球をつかんで送球し終わるまでの行為をいう。したがって、走者が、前記のどの守備行為でも妨害すれば、打球を処理しようとしている野手を妨げたことになる。

【注2】走者が5.09(a)(ll)、5・09(b)(1)項規定の走路を走っていた場合でも、打球を処理しようとしている野手の妨げになったと審判員が判断したときには、本項の適用を受けて、走者はアウトになる。

(4) ボールインプレイで走者が塁を離れているときに触球された場合。

【例外】打者走者が一塁に走るときは、ただちに帰ることを条件としてならば、オーバーランまたはオーバースライドして一塁を離れているとき触球されても、アウトにはならない。

【規則説明A】走者がいったん安全に塁に達した後、走者の衝撃で塁のバッグが定位置から離れたときは、その走者に対していかなるプレイもできない。

【規則説明B】あるプレイ中に塁のバッグまたはホームプレートが定位置から離れたとき、引き続いて、次の走者が進塁してきて、元の塁が置かれていた地点に触れるか、またはその地点にとどまれば、その走者は正規に塁に触れたもの、または正規に塁を占有したものとみなされる。

【注1】四球を得た打者が一塁に進むに際しては、ただちに帰ることを条件としてなら、一塁に触れた後、走り越すことは許される。

【注2】野手が走者に触球しょうとするときには、走者もアウトを免れようと、激しく触塁する場合が多く、野手と走者とが衝突した結果、野手がボールを落としたときは、触球後にボールを確実に保持していないことになるから、走者はアウトにはならない。また、野手が走者に触球した後も、これを確実に握っていなければならず、たとえボールを地上に落とさなくても、手の上でジャッグルなどした場合には、走者はアウトにはならない。野手が触球した後、どのくらい確保すればよいかは、一に審判員の判定に待つべきである。(定義15参照)

(5) フェア飛球、ファウル飛球が正規に捕らえられた後、走者が帰塁するまでに、野手に身体またはその塁に触球された場合。
ただし、投手が打者へ次の1球を投じてしまうか、または、たとえ投球しなくてもその前にプレイをしたりプレイを企ててしまえば、帰塁をしていないという理由によって走者がアウトにされることはない。この場合は、アピールプレイである。

【原注】走者は、ファウルチップの際はタッグアップする必要はないから、盗塁することもできる。しかし、チップしたボールを捕手が捕らえなかった場合は、ファウルボールとなるから、走者は元の塁へ戻らなければならない。

【注】飛球が捕らえられたとき、走者が帰塁しなければならない塁とは、進塁の起点となる塁、すなわち、投手の投球当時走者が占有していた塁を指す。

(6) 打者が走者となったために、進塁の義務が生じた走者が次の塁に触れる前に、野手がその走者またはその塁に触球した場合。(このアウトはフォースアウトである)
ただし、後位の走者がフォースプレイで先にアウトになれば、フォースの状態でなくなり、前位の走者には進塁の義務がなくなるから、身体に触球されなければアウトにはならない。
また、走者が塁に触れた後、余勢でオーバースライドまたはオーバーランした場合には、塁に触れた瞬間に進塁の義務を果たしたことになるから、その走者は身体に触球されなければアウトにはならない。(このアウトはフォースアウトではなく、タッグアウトである)
しかし、進塁の義務の生じた走者が次塁に触れた後、どのような理由にせよ、その塁を捨てて元の塁の方へ離れた場合は、再びフォースの状態におかれるから、野手にその身体または進塁すべき塁に触球されれば、その走者はアウトとなる。(このアウトはフォースアウトである)

【原注】オーバースライド、またはオーバーランは二塁および三塁で起こり、一塁ではこの状態は起こらない。
たとえば、0アウトまたは1アウトで走者一・二塁、もしくは一・二・三塁とする。
打球は内野手に飛び、その内野手はダブルプレイを試みた。一塁走者は二塁への送球より早く二塁に触れたが、オーバースライドした。ボールは一塁にリレーされ、打者はアウトになった。一塁手は、二塁走者が離塁しているのを見て二塁に送球して、その走者をアウトにしたが、その間に、他の走者は本塁に入った。

〔問〕これはフオースプレイーか。打者が一塁でアウトになったとき、フォースプレイでなくなったのか。このプレイ中に、二塁で走者がアウトにされて第3アウトになる前に、本塁に入っていた走者の得点は認められるか。

〔答〕フォースプレイではなく、タッグプレイであるから、得点は記録される。

【注1】本項は、フォースアウトの規定であり、打者が走者となったために、塁にいた走者に進塁の義務が生じたときに、野手が、

① その走者が次の塁に触れる前に、その塁に触球した場合
② その走者が次の塁に触れる前に、その走者に触球した場合
③ その走者が次の塁へ進もうとしないで、元の塁にとどまっているとき、その走者に触球した場合

を指し、特に3の場合は、自己より後位の走者がアウトにならない限り、その塁の占有権はすでに失われているから、たとえその走者が塁に触れていても、野手がその走者に触球すればアウトになる。(5.06b2参照)

【注2】たとえば、一塁走者が打球とともに走り出して、いったん二塁に触れた後、その打球が飛球として捕らえられようとするのを見て、一塁へ戻ろうとしたとき、フライを落とした野手からの送球を受けた二塁手は、走者が再び二塁に達するまでに二塁に触球した。この場合、はじめに二塁を踏んだことは取り消され、フォースアウトと認められる。

(7) 走者が、内野手(投手を含む)に触れていないか、または内野手(投手を除く)を通過していないフェアボールに、フェア地域で触れた場合。
この際はボールデッドとなり、打者が走者となったために次塁への進塁が許された走者のほかは、得点することも、進塁することも認められない。(5.06c6、6.Olall参照)
インフィールドフライと宣告された打球が、塁を離れている走者に触れたときは、打者、走者ともにアウトになる。

【例外】インフィールドフライと宣告された打球が、塁についている走者に触れた場合、その走者はアウトにならず、打者だけがアウトとなる。

【原注】2人の走者が同一のフェアボールに触れたときは、最初に触れた1人だけがアウトになる。これは打球が走者に触れたとき、ただちにボールデッドとなるからである。

【注1】打者の打ったフェアボールが、野手に触れる前に走者に触れたときは、走者が守備を妨害しようとして故意に打球に触れた場合(併殺を行なわせまいとして故意に打球を妨害した場合を除く)と、走塁中やむなく触れた場合との区別なく、走者はアウトとなる。
また、いったん内野手に触れた打球に対して守備しようとする野手を走者が妨げたときには、5.09(b)(3)によってアウトにされる場合もある。

【注2】① 内野手を通過する前に、塁に触れて反転したフェアボールに、走者がフェア地域で触れた場合、その走者はアウトになり、ボールデッドとなる。
② 内野手を通過した直後に、塁に触れて反転したフェアボールに、走者がその内野手の直後のフェア地域で触れた場合、この打球に対して他のいずれの内野手も守備する機会がなかった場合に限り、打球に触れたという理由でアウトにはならない。

【注3】一度塁に触れて反転したフェアボールが、ファウル地域で走者に触れた場合は、その走者はアウトにはならず、ボールインプレイである。

【注4】本項でいう〝塁〟とは、飛球が打たれたときの投手の投球当時に走者が占有していた塁をいう。

【注5】インフィールドフライと宣告された打球が走者に触れた場合は、その走者が塁についていてもいなくても、ボールデッドとなる。

(8) 0アウトまたは1アウトで、走者が得点しようとしたとき、打者が本塁における守備側のプレイを妨げた場合。2アウトであればインターフェアで打者がアウトとなり、得点は記録されない。(6.01al・3、6.03a3参照)

【注1】ここにいう〝本塁における守備側のプレイ〟とは、野手(捕手も含む)が、得点しようとした走者に触球しょうとするプレイ、その走者を追いかけて触球しようとするプレイ、および他の野手に送球してその走者をアウトにしょうとするプレイを指す。

【注2】この規定は、0アウトまたは1アウトで、走者が得点しようとした際、本塁における野手のプレイを妨げたときの規定であって、走者が本塁に向かってスタートを切っただけの場合とか、一度本塁へは向かったが途中から引き返そうとしている場合には、打者が捕手を妨げることがあっても、本項は適用されない。
たとえば、捕手がボールを捕らえて走者に触球しょうとするプレイを妨げたり、投手が投手板を正規に外して、走者をアウトにしょうとして送ったボール(投球でないボール)を打者が打ったりして、本塁の守備を妨げた場合には、妨害行為を行なった打者をアウトにしないで、守備の対象である走者をアウトにする規定である。

【注3】本項は、本塁の守備を妨げたのが打者であった場合に限って適用されるのであって、打撃を完了して打者から走者になったばかりで、まだアウトにならない打者が妨害を行なったときには適用されない。たとえば、スクイズバントをした打者が、バントした打球に触れるか、または打球を処理しようとする野手の守備を妨げたために、三塁走者が本塁でのアウトを免れることになったような場合には、打者はすでに走者となっているから、5.09(a)(7)、5.09(b)(3)によって、その打者走者がアウトとなり、ボールデッドとなって、三塁走者を投手の投球当時すでに占有していた塁、すなわち三塁へ帰らせる。
打者が第3ストライクの宣告を受けただけで、まだアウトにならないとき、および四球の宣告を受けたときの妨害に関しては、6.01(a)(1)〔注〕に示されている。

(9) 後位の走者がアウトとなっていない前位の走者に先んじた場合。(後位の走者がアウトとなる)

【原注】 後位の走者の行動または前位の走者の行動によって、後位の走者は前位の走者に先んじたとみなされる場合がある。
例 —– 1アウト走者二・三塁のとき、三塁走者(前位の走者)が本塁へ進塁しようとして三塁本塁間のランダウンプレイとなった。二塁走者(後位の走者)は前位の走者がタッグアウトになると思い、三塁に進んだ。三塁走者は触球されずに、三塁に戻り、左翼方向に塁を踏み越えてしまった。このとき、後位の走者は、前位の走者の行動によって前位の走者に先んじたことになる。結果として、後位の走者はアウトとなり、三塁は占有されていないことになる。前位の走者が三塁を放棄してアウトと宣告されていない限り、前位の走者はアウトになる前に三塁に戻れば三塁を占有する権利がある。5.06(a)(1)参照

【注1】ボールインプレイ中に起きた行為(たとえば、悪送球、ホームランまたは柵外に出たフェアヒットなど)の結果、走者に安全進塁権が認められた場合にも、本項は適用される。

【注2】本項は、走者の位置が入れ代わったときに、後位の走者をアウトにすることを意味し、たとえば、二塁の走者を甲、一塁の走者を乙とすれば、一塁走者乙が二塁走者甲を追い越したときはもちろん、逆走の際など、二塁走者甲が一塁走者乙を追い越す形をとって、本来本塁から遠くにあるべき乙と、近くにあるべき甲との位置が入れ代わった場合でも、常に後位の乙がアウトになることを規定している。

(10) 走者が正規に塁を占有した後に塁を逆走したときに、守備を混乱させる意図、あるいは試合を愚弄する意図が明らかであった場合。
この際、審判員はただちにタイムを宣告して、その走者にアウトを宣告する。

【原注】走者がまだ占有していない塁に到達した後、飛球が捕らえられたと思ったり、元の占有塁に帰るようにおびき出されて元の塁に帰ろうとした場合、途中で触球されればアウトになる。しかし、元の占有塁に帰りついたら、その塁についている限り、触球されてもアウトにはならない。

【注】たとえば、一ゴロを打った打者が一塁手の触球を避けようとして、側方に離れて走らない限り、逆走するようなことはさしつかえないが、本塁に達するとアウトになる。

(11) 走者が一塁をオーバーランまたはオーバースライドした後、ただちに一塁に帰塁しなかった場合。
一塁をオーバーランまたはオーバースライドした走者が二塁へ進もうとする行為を示せば、触球されればアウトとなる。
また、一塁をオーバーランまたはオーバースライドした走者が、ただちに帰塁しないでダッグアウトまたは自己の守備位置に行こうとした場合も、野手が走者または塁に触球して、アピールすればアウトとなる。

【原注】2アウト後、一塁に触れてオーバーランしたが、審判員によって〝セーフ〟の宣告を受けた打者走者は、5.08(a)を適用する上では〝一塁に達した〟ことになり、〝ただちに〟一塁に帰塁しなかったために第3アウトになっても、このプレイ中にアウトよりも先に本塁に達していた走者は、得点として認められる。

(12) 走者が本塁に走り込むか、または滑り込んだ際に、本塁に触れないで、しかも本塁に触れ直そうとしないときに、野手がボールを持って本塁に触れて、審判員にアピールした場合。(5.09c4参照)

【原注】本項は、本塁に触れなかった走者がベンチに向かっており、アウトにするためには捕手がその走者を追いかけなければならないような場合に適用される。本塁を踏み損ねた走者が、触球される前に踏み直そうと努力しているような普通のプレイが行なわれているときには適用されない。この場合には、走者は触球されなければアウトにはならない。

(13) 走者を除く攻撃側チームのメンバーが、ある走者に対して行なわれた送球を処理しようとしている野手の守備を妨害した場合。(6.0lb参照。走者による妨害については5.09b3参照)

第3版解説 一塁に触れてすでに走者となったプレーヤーには打者走者は含まれるか(2015年 規則適用上の解釈の変更) 2016条文変更

規則5.09(b)(2)は「一塁に触れてすでに走者となったプレーヤーが、ベースパスから離れ、次の塁に進もうとする意思を明らかに放棄した場合。(走者はアウトとなる)」と規定しているが、この「走者」には「打者走者」は含まれるのだろうか。

ある試合で、次のようなプレイが発生した。ワンアウト満塁、打者はスクイズバント。投手が打球を捕って捕手に送球、三塁走者はフォースアウト(ツーアウト)。捕手はその後どこにも送球せずにボールを持っていた。打者走者は一塁を駆け抜けた後、アウトカウントを勘違いしたのかダッグアウトに戻ろうとしていた。攻撃側ベンチから「一塁に戻れ!」と叫ばれ、打者走者は一塁に戻ろうとしたが、捕手からボールが送られ一塁に触れる前にタッグされた。

このケースのように、一塁に触れた走者がアウトになったと思い込んでダッグアウトに向かったような場合、打者走者も含まれるとすれば、5.09(b)(2)によって審判員は走塁放棄でアウトを宣告できる。しかし、含まれないとすれば、守備側がアピールしなければアウトを宣告できないことになる。いずれの解釈をとるか。

1980年1月のプロ・アマ合同委員会では、「ここでいう走者には打者走者を含まない。その理由は、含むとなると5.09(b)(11)が死文化してしまうからである。」との結論が出されていた。

これに対して、2015年1月のプロ・アマ合同委員会では、次のような意見が出された。

  1. アピールがないとなると、ダッグアウトに向かった打者走者をダッグアウトに入るまでアウトにできないことになってしまう。走者に対してあまり長い時間を与えなくてもよいのではないか。
  2. 打者の振り逃げの場合も、ダートサークルを出たらアウトにすると変わってきている。したがって、アピールがあってもなくても、走塁放棄で審判員がアウトにできるとした方がよい。
  3. アピールがあってもなくても、審判員が走塁放棄と判断すればアウトにできるということでよいのではないか。

このような検討を経て、次のような結論とした。

5.09(b)(2)の「一塁に触れてすでに走者となったプレーヤー」とは、一塁に到達してオーバーランをし、ただちに帰塁をして一塁に触れなおした走者のことを言う。したがって、オーバーランをしたままでただちに帰塁しなかった打者走者は含まない。

一塁に触れた打者走者がアウトと思いこんでダッグアウトか守備位置に向かったとき、アピールの有無に関係なく、審判員がその行為を走塁する意思を放棄したと判断した場合、その打者走者に審判員はアウトを宣告できる。

審判員は、守備側からアピールがあった場合、また走塁を放棄したと判断した場合、いずれの場合でもその打者走者にアウトを宣告できることとする。(5.09(b)(2)、5.09(b)(11))

3版解説 ラインアウト より>

従来は、塁間を結ぶ直線を中心に左右3フィートの地帯を通常走者の走路と定義づけ、走者がこの走路外にいたときに触球プレイが生じた場合、走路から遠ざかるようにして野手の触球を避けたときは、ただちにアウトとなっていた。

しかし、2008年に、走者がやむを得ず膨らんで走っているときに触球プレイが生じた場合、走者と塁を結ぶ直線を中心に左右各3フィートがその走者の走路と変わった。したがって、走者が基準となり、分かりやすく言えば、走者が左右3フィートの竹ざおを持って走っているイメージである。

走者が、野手の触球を避けて、走者のベースパス(走路)から3フィート以上離れて走った場合、その走者にはアウトが宣告される(ラインアウトでアウト)(5.09(b)(1))。通常の走者の走路とみなされる場所は、塁間を結ぶ直線を中心として左右へ各3フィート、すなわち6フィートの幅の地帯を指すが、走者が大きく膨らんで走っているときなど最初からこの走路外にいたときに触球プレイが生じた場合は、その走者と塁を結ぶ直線を中心として左右へ各3フィートが、その走路となる。(同[注1])

では、「走者と塁を結ぶ直線」とあるが、「塁」とはどちらの塁を指すのだろうか。それは、走者が向かおうとしている塁(あるいは走者の体が向いている方の塁)と解釈している。したがって、理屈上は、ランダウンプレイではその塁がくるくる代わることになる。

ただし、走路内を走っているからといって、打球を処理している野手を避けないで野手に接触すれば守備妨害になることは言うまでもない。守備優先である。このときは走路から3フィート以上離れて走っても違反行為ではなく、むしろ正当行為で、そこで触球行為が起きた場合は、瞬間的に野手を避けた走者の位置を基準に3フィートが適用される。

3版解説 本塁上でもラインアウトはあるのか? より>

本塁に触れ損なった走者が、触球される前に触れ直そうと努力しているような普通のプレイの場合には、走者をアウトにするには触球が必要である。(5.09(b)(12)[原注])

したがって、そのケースでは走者には走路の規則が適用される。つまり、走者が野手の触球を避けて走者のベースパス(走路)から3フィート以上離れて走れば、走者はラインアウトでアウトが宣告される。(5.09(b)(1))

3版解説 ファウルボールまたはファウルテリトリ上で捕えられた打球に対する妨害

野手が守備可能な打球で結果としてファウルになるか、またはファウルテリトリ上で捕らえられたような打球を走者が妨害した場合、走者は妨害でアウトとなって、打者はワンストライクがカウントされる(通常のファウルどおり)。なお、明らかに捕球不能なファウルの打球の場合は、妨害は適用されない。

打球がフェアになれば、走者は妨害でアウトとなって、打者には一塁が与えられる。(ただし打者走者がインフィールドフライおよびその他の理由でアウトになった場合を除く)(5.09(b)(3))

第3版解説 打者走者が一塁をオーバーランまたはオーバースライド より>

打者走者が一塁を走るときは、ただちに帰ることを条件としてならば、オーバーランまたはオーバースライドして一塁を離れているときに触球されても、アウトにはならないと規定している(5.09(b)(4)[例外])。

しかし、打者走者が一塁に触れた後、本塁寄りに来て、ベースを離れたまま、たとえばユニフォームの泥を払ったりしているときに、タッグされれば、そのときはアウトになる。

一塁をオーバーランまたはオーバースライドした打者走者が、二塁へ進もうとする行為を示せば、野手に触球されれば、その走者はアウトになる。(5.09(b)(11))

第3版解説 次塁に触れた後、元の塁の方に離れた場合は、再びフォースの状態 より>

5.09(b)(6)では、「打者が走者となったために、進塁の義務が生じた走者が次の塁に触れる前に、野手がその走者またはその塁に触球した場合。(このアウトはフォースアウトである)……しかし、進塁の義務の生じた走者が次塁に触れた後、どのような理由にせよ、その塁を捨てて元の塁の方へ離れた場合は、再びフォースの状態におかれるから、野手にその身体または進塁すべき塁に触球されれば、その走者はアウトとなる。(このアウトはフォースアウトである)」と規定している。

大リーグ、セネタースとオリオールズの試合。オリオールズの攻撃で一塁走者アル・ピラーシック。ヒット・エンド・ランで打者ジャッキー・ブラントがライトへ飛球を打ち上げた。ピラーシックは二塁を回ったが、コーチャーは捕球されそうだとみて一塁へ戻れと合図した。ピラーシックは二塁から一塁へ戻ろうとしたところ、打球はライトの足元に落ちヒットとなった。ピラーシックはまた二塁へ滑り込んだが、それより先に塁についていた遊撃手が送球をつかんだ。だが、遊撃手のタッグは遅れてしまった。

これに対し、セネタース側は「これはフォースプレイだ。タッグの必要はない。」と主張した。一方、オリオールズ側は「ピラーシックが最初に二塁に触れたときにフォースの状態は消えた。したがって、ピラーシックはタッグされない限り、二塁を占有する権利を持っている。」と主張した。

その当時の規則7.01には、「アウトになっていない走者が、他の走者の触れていない塁に触れればその塁に対する権利を得る。」となっており、これだけ読むとピラーシックはアウトではないようにも思える。

しかし、審判団は「ピラーシックが二塁を離れて一塁の方へ戻った瞬間に再びフォースの状態に置かれたことになる。」としてフォースアウトを宣告した。

こうして、1962年に現在の後段の規定が規則書に挿入された。

3版解説 走者の追い越し より>

規則5.09(b)(9)では、「後位の走者がアウトになっていない前位の走者に先んじた場合。(後位の走者がアウトとなる)」、走者がアウトとなると規定されている。

また、同[注2]では、逆走の際など、二塁走者が一塁走者を追い越す形をとって、本来本塁から遠くにあるべき走者と、近くにあるべき走者との位置が入れ代わった場合でも、常に後位の走者がアウトになると規定している。

2017年度の規則改正で、5.09(b)(9)に次の[原注]が追加された。

[原注]後位の走者の行動または前位の走者の行動によって、後位の走者は前位の走者に先んじたとみなされる場合がある。

例―― 1アウト走者二・三塁のとき、三塁走者(前位の走者)が本塁へ進塁しようとして三塁本塁間のランダウンプレイとなった。二塁走者(後位の走者)は前位の走者がタッグアウトになると思い、三塁に進んだ。三塁走者は触球されずに、三塁に戻り、左翼方向に塁を踏み越えてしまった。このとき、後位の走者は、前位の走者の行動によって前位の走者に先んじたことになる。結果として、後位の走者はアウトとなり、三塁は占有されていないことになる。前位の走者が三塁を放棄してアウトと宣告されていない限り、前位の走者はアウトになる前に三塁に戻れば三塁を占有する権利がある。5.06(a)(1)参照。

これは、MLB2015年シーズンで実際に起きたプレイに対応するために、規定されたものである。二塁走者が三塁ベース上に達しているときに、三塁走者が戻って来て三塁ベースを通り越してしまえば、二塁走者は三塁走者を追い越したとみなされてアウトになる場合がある。その場合、三塁走者は走塁放棄を宣告されていない限り、タッグされる前に三塁ベースに戻れば三塁の占有が許される。走塁放棄を宣告するか否かは、審判員の判断に委ねられることになるが、例えば、三塁走者が、一気に左翼ポール方向に駆け抜けて行ったり、ファウルテリトリへ逃げて行った場合には、走塁放棄で三塁走者にアウトが宣告され、二塁走者が追い越しでアウトになることはない。

規則5.09(b) (9)[注1]には、ボールインプレイ中に起きた行為(たとえば、悪送球、ホームランまたは柵外に出たフェアヒットなど)の結果、走者に安全進塁権が認められた場合にも、本項は適用される、とある。

1951年、後楽園球場での選抜都市対抗野球東京大会にて、ワンアウト走者一・二塁で打者が右翼スタンドにホームランを打ちこんだ。二塁走者は三塁を回ったところで一塁走者を待って握手をしようとして2、3歩引き返した瞬間、二人の位置が入れ代わった。三塁コーチャーが二人を正しい順序に戻して、そのまま二人は本塁を踏んだ。打者走者も本塁をその後踏んだ。ほぼ同時に守備側の監督から「追い越しがあった」と抗議があった。審判団は、このとき「試合停止球でも追い越しは適用できるのか?」と迷ったが、「試合停止球でもインプレイでも走者の順序は同じである」との結論をだし、得点2を認めた。

たまたまこの日、ナショナルリーグ審判歴19年、1953年に米国で初めて審判学校を創設したジョージ・バー氏が観戦しており、確認したところ、「審判団の処置は正しい。試合停止球のときでも追い越したら、ただちにアウトを宣告すべきだ」との回答を得た。

1952年、規則書に上記[注1]が追加された。

2版解説 逆走の走者はアウト より>

規則5.09(b)(10)では、「走者が正規に塁を占有した後に塁を逆走したときに、守備を混乱させる意図、あるいは試合を愚弄する意図が明らかであった場合。この際、審判員はただちにタイムを宣告して、その走者にアウトを宣告する。」と規定している。

1911年、デトロイト・タイガースとシカゴとの試合。ツーアウト走者一・三塁。打者が打てそうもなかったので、一塁走者はダブルスチールを考えた。そして1球目に二塁へ盗塁したが捕手は二塁に送球しなかったため三塁走者は本塁に走れなかった。次の投球のとき、二塁にいた走者は一塁に向かって走った。捕手は見ているばかりであった。そして、次の投球で一塁走者は二塁への盗塁をもう一度試み、捕手が二塁へ送球する間に、三塁走者はホームを陥しいれた。記録員と審判員は盗塁の数に困ったが、結局盗塁1と記録された。

そして、翌1912年逆走を禁止する規則が規定された。