(c)〈7.10〉アピールプレイ

次の場合、アピールがあれば、走者はアウトとなる。

(1) 飛球が捕らえられた後、走者が再度の触塁(リタッチ)を果たす前に、身体あるいはその塁に触球された場合。

【原注】ここでいう〝リタッチ〟とは、捕球後、塁に触れた状態から次塁ヘスタートすることをいう。
したがって、塁の後方からスタートして、走りながら塁に触れて次塁へ進もうとするいわゆるフライングスタートは、正規なリタッチの方法ではない。

(2) ボールインプレイのとき、走者が進塁または逆走に際して各塁に触れ損ねたとき、その塁を踏み直す前に、身体あるいは触れ損ねた塁に触球された場合。(5.06b1参照)

【規則説明】塁を空過した走者は、

(A) 後位の走者が得点してしまえば、その空過した塁を踏み直すことは許されない。
(B) ボールデッドのもとでは、空過した塁の次の塁に達すれば、その空過した塁を踏み直すことは許されない。

【原注】例 — 打者が競技場の外へ本塁打を打つか、スタンドに入る二塁打を打って、一塁を空過した(ボールデッド)。打者は二塁に触れる前ならば、誤りを正すために一塁に帰ることはできる。しかし、二塁に触れてしまうと、一塁に戻ることはできない。守備側がアピールすれば、一塁でアウトが宣告される。
例 — 打者が遊撃手にゴロを打ち、遊撃手はスタンドに飛び込む悪送球をした(ボールデッド)。打者は一塁を空過したが、悪送球によって二塁が与えられた。打者走者は、審判員によって二塁が与えられても、二塁に進む前に一塁に触れなければならない。
いずれもアピールプレイである。

【注1】本項〔規則説明〕(A)は、ボールインプレイとボールデッドとを問わず適用される。
【注2】本項〔規則説明〕の場合、塁を空過した走者は、アピールがなければアウトにはならない。
【注3】本塁を空過した走者は、ボールデッドのもとでは、投手が新しいボールか、元のボールを持って正規に投手板に位置すれば、本塁を踏み直すことは許されない。
【注4】本項〔規則説明〕は、飛球が捕らえられたときのリタッチが早かった走者にも適用される。

(3) 走者が一塁をオーバーランまたはオーバースライドした後、ただちに帰塁しないとき、一塁に帰塁する前に身体または塁に触球された場合。(5.09b11参照)

(4) 走者が本塁に触れず、しかも本塁に触れ直そうとしないとき、本塁に触球された場合。(5.09b12参照)

本項規定のアピールは、投手が打者へ次の1球を投じるまで、または、たとえ投球しなくてもその前にプレイをしたりプレイを企てるまでに行なわなければならない。
イニングの表または裏が終わったときのアピールは、守備側チームのプレーヤーが競技場を去るまでに行なわなければならない。
アピールは、その消滅の基準となるプレイまたはプレイの企てとはみなさない。
投手がアピールのために塁に送球し、スタンドの中などボールデッドの個所にボールを投げ込んだ場合には、同一走者に対して、同一塁についてのアピールを再びすることは許されない。
第3アウトが成立した後、ほかにアピールがあり、審判員が、そのアピールを支持した場合には、そのアピールアウトが、そのイニングにおける第3アウトとなる。
また、第3アウトがアピールによって成立した後でも、守備側チームは、このアウトよりもほかに有利なアピールプレイがあれば、その有利となるアピールアウトを選んで、先の第3アウトと置きかえることができる。
〝守備側チームのプレーヤーが競技場を去る〟とあるのは、投手および内野手が、ベンチまたはクラブハウスに向かうために、フェア地域を離れたことを意味する。

【5.09c原注】2人の走者がほぼ同時に本塁に達し、前位の走者が本塁を空過、しかし後位の走者が本塁に触れていた場合、前位の走者はタッグまたはアピールされればアウトになる。それが第3アウトにあたる場合、後位の走者の得点は5.09(d)により認められない。

アピールするときに、投手がボークをした場合には、その消滅の基準となるプレイとみなされる。

アピールは言葉で表現されるか、審判員にアピールとわかる動作によって、その意図が明らかにされなければならない。プレーヤーがボールを手にして塁に何げなく立っても、アピールをしたことにはならない。アピールが行なわれているときは、ボールデッドではない。

【注1】アピール権消滅の基準となるプレイには、投手のプレイはもちろん、野手のプレイも含まれる。たとえば打者がワンバウンドで外野席に入る安打を放って二塁に達したが、途中一塁を空過していた。プレイ再開後、投手が一塁ヘアピールのために送球したところ、悪送球となって、プレイングフイールド内を転々とした。これを拾った一塁手が一塁でアピールをすることはできるが、二塁走者がその悪送球を利して三塁へ走ったのを見て三塁へ送球してしまえば、一塁でのアピール権は消滅する。

【注2】 投手または野手のアピールのための送球がボールデッドの個所に入った場合、それはアピールの企てとみなされ、アピール権は消滅する。したがって、その後、いずれの塁、いずれの走者に対するアピールは許されない。

【注3】攻守交代の場合と試合終了の場合との区別なく、いずれの場合でも投手および内野手が、フェア地域を離れたときに、アピール権が消滅することとする。
アマチュア野球では、試合終了の場合に限って、両チームが本塁に整列したとき、アピール権は消滅することとする

【注4】アピールするには、言葉と動作とで、はっきりとその旨を表示しなければならない。
なお、ある一つの塁を2人以上の走者が通過した際、その塁の空過を発見してアピールするには、どの走者に対するアピールであるかを明示しなければならない。たとえば、甲、乙、丙の3人の走者が、三塁を通過し、乙が三塁を踏まなかったときは、乙に対するアピールである旨を明示しなければならないが、もしこのとき甲が空過したと誤って申し出て、審判員に認められなかった場合でも、その塁を通過した走者の数までは、アピールを繰り返して行なうことができる。

【問】1アウト走者一・三塁のとき、打者は外野に大飛球を打ったので、2人の走者はともに進塁しはじめたが、外野手はこの飛球を好捕した離塁の少なかった三塁走者は三塁へ帰って捕球後あらためて本塁へ入った。一塁走者は二塁に触れた後に三塁近くまで行ったが、一塁に帰ろうと逆走しはじめたので、外野手は二塁に送球、二塁手は一塁走者が二塁に触れる前に、塁上でボールを持ってアピールした。ダブルプレイか

【答】ダブルプレイではない。その走者が一塁に帰るためには二塁を通る必要があるからといって、二塁に触球してもアウトにはできない。その走者に触球するか、または進塁の起点となる塁、すなわち一塁に触球しなければ、アウトにはできない。

【問】1アウト走者一塁のとき、打者が外野へ大飛球を打ち、走者が二塁を回って三塁近くまで行ったとき、飛球が捕らえられたので、二塁に触れないで一塁へ帰ろうとした。どんな方法でアピールすれば走者をアウトにできるか。

【答】走者に触球するか、二塁または一塁に触球してアピールすればよい。

【問】2アウト走者二塁のとき、打者が三塁打を打ち、走者を得点させたが、打者は一塁も二塁も踏まなかった。守備側は二塁に触球してアピールし、アウトが宣告された。得点となるか。

【答】得点は認められる。しかし守備側が最初から一塁でアピールしておれば、得点は認められない。また二塁から一塁に転送球して再びアピールすれば、一塁でのアピールアウトを、先の第3アウトと置きかえることができるから、得点とはならない。

【問】1アウト走者一・二塁、打者が右翼へ大飛球を打ったとき、安打になると思った2人の走者は、フライが飛んでいる間進塁し続け、右翼手がこれを捕らえたにもかかわらず、二塁走者はそのまま本塁を踏んだ。しかし一塁走者は捕球されたのを見て一塁に引き返そうとした。右翼手は一塁へ送球、一塁手は一塁走者が帰塁するより先に、塁に触球して、アウトにした。二塁走者は、一塁走者が一塁でアウトになるより先に、本塁を踏んでいるが、その得点は認められるか。

【答】守備側が二塁でアピールしない限り、二塁走者の得点は認められる。しかし、守備側は、アピールによる第3アウトの成立後であっても、このアウトよりも有利となるアピールアウトを先の第3アウトと置きかえることができるから、二塁でアピールすれば、リタッチを果たしていない二塁走者はアウトになり、得点とはならない。

3版解説 アピールプレイ より>

以下は、アピールプレイに適用される。

(1) 規則5.09(c)のアピールは、次の投球または、プレイまたはプレイの企ての前に行われなければならない。
(2) アピールのときに投手がボークを犯せば、それはプレイとみなされる。その後のアピールは許されない。(5.09(c)[原注])
(3) 投手または守備側のいずれかの野手がアピールのために送球して、それが悪送球となってボールデッドの個所に入った場合、それはアピールの企てとみなされる。その後、プレイ再開後、いずれの塁、いずれの走者へのアピールは許されない。

 規則5.09(c)では、「投手がアピールのために塁に送球し、スタンドの中などボールデッドの個所にボールを投げ込んだ場合には、同一走者に対して、同一塁についてのアピールを再びすることは許されない。」とある。この文章からは、それなら他の塁、あるいは他の走者に対してはアピールができるように読み取れる。その誤解を避けるためにも日本野球規則委員会はかつて条文の改正をMLB規則委員会に申し入れたが残念ながら採用されるまでには至らなかった。
 上記のように、「アピールの送球が悪送球となってボールデッドの個所に入れ」ば、それは「プレイの企て」とみなされ、その後、プレイ再開後にアピールをしようと思っても、「プレイの企て」がなされた後は、すでにアピール権は消滅しているので、いずれの塁、いずれの走者へのアピールは許されないということになるわけである。
 このことを明確にするため、2018年の改正で次の[注2]を追加した(次ページの例題(7)、(10)参照) 。
 [注2]:投手または野手のアピールのための送球がボールデッドの個所に入った場合、それはアピールの企てとみなされ、アピール権は消滅する。したがって、その後、いずれの塁、いずれの走者に対するアピールは許されない。

(4) イニングの表または裏が終わったときのアピールは、守備側チームのプレーヤーがフェア地域を去るまでに行わなければならない。(「競技場を去る」とは、投手およびすべての内野手がファウルラインを越えたことをいう。)
攻守交代の場合と試合終了の場合との区別なく、いずれの場合でも投手および内野手が、フェア地域を離れたときに、アピール権は消滅する。
ただし、アマチュア野球では、試合終了の場合に限って、両チームが本塁に整列したとき、アピール権は消滅することとしている。(5.09(c)[注2])

(5) アピールはプレイまたはプレイの企てとはならない。したがって、ある塁にアピールして、引き続き他の塁にアピールすることは認められる。もちろん、投手は、アピールのためであれば、走者のいない塁に送球することができる。

(6) 投手板に触れている投手が、アピールするためであれば、走者のいない塁に送球してもボークではない。投手はアピールプレイのために投手板をはずす必要はない。(6.02(a)(4))

(7) アピールは言葉で表現されるか、または審判員にアピールとはっきり分かる動作によって、アピールの意図が明確にされなければならない。(5.09(c)[原注])
なお、ある一つの塁を二人以上の走者が通過した際、その塁の空過をアピールするには、どの走者に対するアピールであるかを明示しなければならない。アピールを受けた審判員は、どの走者に対するアピールかを確認する必要がある。
たとえば、甲、乙、丙の三走者が、三塁を通過し、乙が三塁を踏まなかったときは、乙に対するアピールである旨(「乙が空過した」と)を明示しなければならないが、もしこのとき甲が空過したと誤って申し出て、審判員に認められなかった場合でも、その塁を通過した走者の数までは、アピールをくり返して行うことができる。(5.09(c)[注3])

(8) アピールの場所と時期。
守備側チームが、アピールの原因となった塁(空過またはリタッチの失敗)に触球するだけでなく、アピールの原因でない塁に進んでいる走者の身体に触球して、走者の違反を指摘して、審判員の承認を求める(アピール)ことができる。この場合、審判員は、そのアピールの原因となった塁の責任審判員に裁定を一任しなければならない。もしアピールが来たが自分がその塁の責任審判員でない場合、責任審判員を指差して、その審判員の裁定を仰ぐか、あるいはアピールがなされたとき責任審判員が進み出て裁定を直ちに下すことが望ましい。
また、アピールは、ボールインプレイのときに行わなければならないので、ボールデッドのときにアピールがあれば、当該審判員は「いまタイム中だ」ということとする。ただし、最終回の裏ボールデッド中に決勝点が記録された場合、または降雨等で試合が中断され、そのまま試合が再開されない場合、ボールデッド中でもアピールはできるものとする。(アマチュア内規⑦)

(9) タイムの後のプレイ再開後、アピールするときは、捕手を除くすべての野手はフェアテリトリにいなければならない。もし(捕手以外の)いずれかの野手がファウルテリトリにいた場合、審判員はプレイをかけてはいけない。審判員がうっかりプレイをかけてしまった場合、ペナルティ(特に、ボークにはならない)はないし、またプレイが正式に再開後、引き続いて同一走者ヘァピールすることもできる。野手は、プレイ再開後であれば、アピールプレイをバックアップするためにファウルテリトリに行っても構わない。(5.02)

例題:
(1) ワンアウト走者一塁。打者が二塁打を打った。一塁走者は本塁に滑り込んだ。捕手はタッグできず、走者も本塁に触れることができなかった。捕手はタッグしようと走者を追いかけ始めたとき、打者走者は三塁に向かっていた。これを見た捕手は打者走者をアウトにしようと三塁手に送球、走者はアウトになった。依然守備側は一塁走者に対してアピールはできるか。
―――できる。捕手の打者走者に対する三塁でのプレイは、打球後に生じた一連の動きである。したがって、本塁に達した走者または三塁に達した打者走者に対する守備側のアピール権は残り、本塁でのアピールも依然可能である。

(2) ワンアウト走者一塁。投手が一塁にけん制のため送球したが、それがフィールド内を転々とした。走者は二塁を空過し、三塁に向かった。三塁で走者をアウトにしようと、右翼手は三塁に送球、三塁手がタッグしたがセーフとなった。守備側は二塁ベースでアピールできるか。
―――できる。三塁でのプレイは、けん制球から生じた一連の動きである。したがって、アピール権は残り、守備側は三塁に達した走者にアピールすることができる。

(3) ツーアウト走者一・三塁。投手の投球は暴投となり、バックネットに達した。捕手がそのボールを追いかけている間に、三塁走者は本塁を踏んだ。一塁走者は、二塁を空過し三塁に向かった。捕手から三塁への送球は悪送球となり、走者はさらに本塁に向かった。三塁手をバックアップした遊撃手がボールを捕って本塁に送球したが間に合わずセーフとなった。守備側は一塁走者の二塁空過をアピールできるか。
―――できる。守備側の一塁走者に対する三塁ならびに本塁でのプレイは、暴投後に生じた一連の動きであるから、アピール権の消滅にはならず一塁走者を二塁でアピールすることは可能である。

(4) ワンアウト走者一塁。打者はヒット。一塁走者は二塁を空過し三塁に達した。ボールは内野手に戻り、投手の手に渡った。投手はプレートを踏んでセットポジションに入った後、二塁ヘアピールのためプレートを外した。三塁走者は投手が二塁へ送球しようとするのを見て本塁に走った。投手はアピールプレイを途中で止めて三塁走者を刺そうと本塁に送球したがセーフとなった。守備側は二塁にまだアピールできるか。
―――できない。守備側の本塁で走者をアウトにしようとしたプレイは、打球後に生じた一連のプレイが明らかに中断された後に行われたものである。したがって、守備側が本塁でプレイを行った途端にアピール権は消滅し、二塁その他の塁でアピールすることはできない。

(5) ワンアウト走者一塁。打者はヒット。一塁走者は二塁を空過して三塁に達した。守備側は二塁での空過をアピールしようとして、外野からの返球を受け取った二塁手は二塁に入ろうとした遊撃手に送球した。それをみて、三塁に達していた一塁走者は本塁に向かった。そのため、遊撃手はアピールをするのを中断して本塁に送球した。本塁はセーフ。その後、守備側は二塁にまだアピールできるか。
―――できない。一塁走者が三塁に達していて、さらに進塁する行為はなく、走者の進塁行為が終わった状態であれば(走者が進塁をストップし、かつ野手が内野でボールを保持した状態)、本塁でのプレイは打球後に生じた一連のプレイとはいえず、したがって本塁でプレイを行った途端にアピール権は消滅し、二塁でのアピールはできない。ただし、一塁走者が、三・本間にいて本塁を伺う素振りを見せていたような場合には、遊撃手が本塁に送球したプレイは、打球後に生じた一連のプレイと見なされ、本塁がセーフとなった後に守備側は二塁でのアピールをすることができる。

(6) ワンアウト走者一塁。打者ヒットで、一塁走者は三塁に向かった。このとき、二塁を空過していた。タッグをかいくぐって三塁はセーフとなった。ボールは投手に戻り、投手はプレートを踏んでセットポジションに入った。守備側はアピールしようとしたが、投手がプレートを正しく外さずにボークを宣告された。ボークのペナルティが課された後、守備側はまだ二塁でアピールできるか。
―――できない。三塁でのプレイは打球後に生じた一連の動きであるから、守備側の三塁に達した走者へのアピール権の消滅にはならない。しかし、ボークはプレイまたはプレイの企てとみなされ、守備側はプレイまたはプレイの企てをした後は、アピールすることはできないから、投手のボークは守備側のアピール権を消滅させることになる。
注:投手はアピールのため塁に送球する際にプレートを外す必要はない。(6.02(a)(4))

(7) ワンアウト走者二塁。二塁走者はヒットで本塁に向かったがこのとき三塁を空過していた。本塁はセーフとなった。本塁への送球の間に打者走者は二塁にすべりこんでセーフとなった。タイムがかけられた。投手はプレートを踏んで(プレイ再開)、セットポジションに入った。守備側は三塁でアピールするため、投手は正規にプレートを外して、二塁走者をけん制しながら三塁に送球した。しかし、投手の三塁への送球は悪送球となってボールデッドの個所に入り、二塁走者には本塁が与えられた。守備側は、プレイ再開後、もう一度三塁でアピールできるか。
―――できない。二塁走者を本塁で、または打者走者を二塁でアウトにしようとしたプレイは、打球後に生じた一連の動きの間に起こったものであり、守備側のアピール権を消滅することにならない。しかしながら、三塁でアピールの際に生じた守備側のミス(すなわち送球がボールデッドの個所に入った)は守備側のアピール権を消滅させる。この場合、送球がボールデッドの個所に入ったことは一連の動きが明らかに中断したあとに生じたプレイの企てとみなされる。

(8) 走者なし。打者は二塁打を打ったが一塁を空過した。タイムがかけられた。投手はプレートを踏んでセットポジションに入った。守備側は一塁でアピールしようとした。投手は正規にプレートを外し、二塁走者をけん制して一塁にアピールのため送球した。しかし、その送球は逸れてフィールド内を転がった。走者はそれを見て三塁まで進んだ。守備側は再び一塁にアピールすることができるか。
―――できる。ボールはインプレイで生きているから、もしボールが拾われて直ちに一塁に投げ返されれば(すなわちプレイの介在はない)、アピールは認められる。

(9) ワンアウト走者一塁。打者がヒットを打った。一塁走者は二塁を空過し、三塁にすべりこんでセーフとなった。タイムがかけられた。投手がプレートを踏んでセットポジションに入った後、投手がアピールのため正規にプレートを外した。これを見て三塁走者は本塁へ向かう素振りを見せた。(プレートを外している)投手は三塁へ踏み出し、腕を振って偽投をした(しかし投げなかった)。守備側はまだ二塁にアピールができるか。
―――できる。走者が三塁へ進んだプレイは打球後に生じた一連の動きであるからアピール権の消滅にはならない。三塁走者への投手のブラフ(踏み出して腕を振ったこと)はプレイまたはプレイの企てにはならない。したがって、二塁でのアピールは認められる。

(10)  ワンアウト走者一塁。打者が場外本塁打を打った。一塁走者は二塁を空過し、打者走者は一塁を空過した。打者走者が本塁を踏んだ後、審判員は新しいボールを渡した。投手はプレートを踏んだが、打者走者の一塁空過をアピールするためプレートを外した。しかし、投手の送球は悪送球となってスタンドに入ってしまった。審判員はまた新しいボールを渡し、投手は再びプレートを踏んだが、アピールのためプレートを外した。このとき投手は一塁走者の二塁空過をアピールした。このアピールは可能か。
―――できない。投手のアピールのための送球がボールデッドの個所に入った場合、それはプレイの企てとみなされる。その後のいずれの走者、いずれの塁に対するアピールは認められない。

(11)  ワンアウト走者一・三塁。一塁走者が盗塁した。打者は右翼へ飛球を打ったが捕らえられツーアウトとなった。三塁走者は捕球後タッグアップして本塁を踏んだ。一塁走者は飛球が捕らえられたのを見て一塁へ戻ろうとしたが、右翼手の返球で第3アウトになった。三塁走者は一塁での第3アウトの前に本塁を踏んでいた。
―――得点は認められる。これはタイムプレイであってフォースプレイではない。

(12)  塁を空過した走者はダッグアウトに入ってしまった後に、空過した塁を踏みなおすことができるか。
―――できない。

(13)  ワンアウト走者三塁。打者は外野フライを打ち、三塁走者はタッグアップして本塁へ。外野手から本塁への送球は、悪送球となってボールデッドの個所に入ってしまった。プレイ再開後、守備側は三塁でのアピールはできるか?
―――できる。アピールを企てた送球がボールデッドの個所に入ってしまえば、以後アピールはできないが、このケースはそれとは違い、打球処理直後の送球がボールデッドの個所に入ったケースなので、プレイ再開後守備側の三塁でのアピールは認められる。

(14)  ワンアウト走者二・三塁。打者は外野フライを打ち、三塁走者はタッグアップして本塁へ。本塁はセーフとなった。この後、捕手は、三塁へ向かった二塁走者をアウトにしようと三塁へ送球した。セーフ。その後、守備側は、依然三塁走者の離塁が早かったとのアピールは可能か?
―――できる。本塁でのプレイ後、引き続き三塁に向かっている二塁走者をアウトにしようと三塁に送球したのであれば、打球が打たれた後の一連のプレイは続いているので、その後の三塁でのアピールは可能となる。「プレイが止まった」状態で、三塁でのプレイが行われたのなら、アピールの前に「(他の)プレイをした」をしたことになり、その後のアピールはできないが、それにはこのケースは当たらない。

(15)  次のプレイが大リーグで発生し、多くの質問が寄せられた。以下の例はアピールと安全進塁権に関する規則適用上の解釈である。

例題:ノーアウト走者一塁でヒットエンドラン。打者は投手の背中を直撃するライナーを放ち、それが空中にはね、三塁手がそれを捕らえてアウトとなった。打球が捕球されたとき、一塁走者は二塁ベース寸前まで来ていた。三塁手はダブルプレイを狙って一塁に送球した。しかし、それが悪送球となってスタンドに入ってしまった。悪送球が野手の手を離れたとき、一塁走者は二塁ベースには達していなかったが、ボールデッドになったときは、一塁走者は二塁を回って(二塁に触れて)いた。
(a) どこまで進塁できるか。
―――三塁まで。このプレイは内野手のファーストプレイであるから投球当時に占有 していた塁から二個が与えられる。(5.06(b)(4)(G))

(b) 悪送球が野手の手を離れたとき走者が二塁ベースを越えていたらどうなるか。本塁が与えられるのか?
―――違う。内野手のファーストプレイである限り、三塁しか与えられない。
注:悪送球が野手の手を離れたときの走者の位置を基準に二個が与えられる状況にありながら、オリジナルベースから二個与えられるケース。(5.06(b)(4)(I)[原注2])

(c) オリジナルプレイに関してボールデッド中に走者は一塁に戻り、踏み直すことができるか。
―――三塁に触れる前なら踏み直しができる。(進塁も帰塁も正しい順序で各塁に触れなければならない)。5.09(c)(2)[規則説明](B)参照。これは非常に大事なポイントである。走者は離塁が早すぎたため、一塁を踏み直さなければならない。また、ボールデッド中だから走者は次の塁に触れる前に一塁に帰塁しなければならない。走者の“次の塁”はボールデッドになったときの走者の位置によって決まる。ボールデッドになったとき、走者は二・三塁間にいた。したがって、走者は(次の塁である)三塁に触れる前に一塁に戻り踏み直さないといけない。

(d) 走者は三塁に触れた後に一塁を踏み直すことができるか。
―――できない。

(e) 走者が三塁に触れた後に一塁に戻ろうとしたらどうするか。審判員はそれを止めるべきか。
―――違う。審判員は、走者が三塁に触れた後の一塁の踏み直しは意味がないことを自覚する以外何もできない。三塁ベースに触れた後、もし走者がボールデッド中に順に帰塁し、そして一塁から順に三塁まで進もうとしても、審判員は走者のその動きを止めることはできない。しかしながら、この行為が、走者の離塁が早かったという事実を修正することにはならない。なぜなら、ボールデッド中に走者は次の塁に触れる前に走塁のミスを正さないといけないからである。(5.09(c)(2)[規則説明](B))

(f) このプレイで、ボールデッ.ドになったとき、走者はすでに二塁を回っていた。走者は離塁の早かった塁の先の塁(すなわち次の塁)にいるのではないか。したがって、走者は(次の塁である)二塁に達していたので一塁には戻れないのではないか。
―――違う。“先の塁”または“次の塁”はボールデッドになったときの走者の位置で決まる。この例では、走者の“次の塁”は三塁である。

(g) このケースで、一塁ベースの離塁が早かったのを走者が訂正するにはどうしたらよいか。
―――ボールデッドになったとき、走者は三塁への進塁を止め、逆順で正しく二塁、一塁と踏み直すことである(三塁ベースに達する前に)。その後、二塁を踏んで、安全進塁権を得た三塁まで進む。

(h) 走者が安全進塁権を得た三塁に直接行ってしまった場合(ボールデッド中に一塁を踏み直さずに)、守備側は一塁の離塁が早かったことに対してアピールができるか。
―――できる。ボールインプレイになったとき、守備側は走者または一塁に触球することでアピールが可能である。(5.09(c)(1))

(i) ボールインプレイになったとき、守備側は二塁ベースでアピールして走者をアウトにすることができるか。
―――できない。走者をアウトにするには、走者にタッグするか、離塁が早かった一塁ベースに触球しなければならない。(5.09(c)(1))

(j) 三塁手がボールデッドの個所に送球した行為は引き続きアピールすることを無効にするのではないか。
―――違う。三塁手による悪送球は、打球処理直後に生じた一連のプレイの一部で あり、プレイがとまった後の連続アピールを無効にするものとは違う。

(k) 守備側が二塁でアピールし、審判員がセーフを宣告(守備側のアピールを確認済み)した場合、その後一塁でアピールできるか。
―――できる。なぜならアピールそのものは、プレイまたはプレイの企てとはならないからである。

(l) 守備側が一塁でアピールしようとして、投手がアピールのときにボークを犯した場合は?
―――ボークはプレイとみなされるので、以後アピールは認められない。(5.09(c)[原注])

(m) 守備側がアピールしようとして、投手がスタンドに送球を投げ込んでしまった場合は?
―――これはプレイの企てとみなされ、以後アピールは認められない。

(n) 二塁手は一塁でのアピールプレイをバックアップ(カバー)できるか。
―――ボールインプレイになった後に二塁手はファウルテリトリに走りこむことはできるが、審判員はすべての野手(捕手を除く)がフェアテリトリに位置するまでインプレイにしてはならない。(5.02)

(o) 守備側が一塁でアピールしようとして、投手が悪送球、そのボールがライト線を転々とした場合は?
―――その悪送球を拾ってすぐに一塁に返球すれば(つまりプレイの介在はない)、アピールは可能である。

(p) アピールの前に、投手は投手板をはずし、走者にブラフをかけるため、送球するまねをした。これはプレイの企てか。
―――プレイの企てとはならない。

(q) 投手がアピールのために投手板をはずしたとき、走者が本塁に向かった。そのため、投手は捕手に送球、ランダウンになったが、結局三塁でセーフとなった。その後、一塁へのアピールは可能か。
―――できない。

(r) 走者は第3アウトの後空過した塁を踏み直しに戻ることはできるか。
―――できない。(5.08(a))

例題:ツーアウト走者二塁。打者がヒットを打ったが、二塁を欲張り二塁でアウトになった。二塁走者は第3アウトになる前に本塁を通過していた。しかし、本塁を踏んでいなかった。二塁での第3アウトの後、本塁を空過した走者が本塁を踏み直すことはできるか。守備側は内野を離れる前に本塁でアピールした。
―――第一義的には得点は認められる(走者は第3アウトになる前に本塁に達したので)。しかしながら、守備側のアピールが認められ、二塁走者はアウトが宣告される。
なぜなら第3アウトの後の得点は認められないからである。(5.08(a))

アピールプレイに関する上述の例に加えて、規則5.08にアピールプレイに関連する説明が記載されている。特に、公認野球規則が強調している考え方は次の3点である。
(1)打者走者が一塁に触れる前にアウトにされ、それが第3アウトに当たる場合は、打者走者によって起きたプレイで走者が本塁に進んでも得点にはならない。
(2)第3アウトがフォースアウトに当たる場合得点にはならない。
(3)後位の走者は、ツーアウト以前の場合、前位の走者の行為による影響は受けない。

第3版解説 本塁の触塁を怠る より>

走者が本塁を踏み損ねてベンチに向かった場合(踏み直そうとしないで)、野手が本塁に触れてアピールすればその走者はアウトになる。しかし、この規則は、走者がベンチに向かって、捕手が追いかけないとならなくなった場合のみ適用される(5.09(b)(12)、5.09(c)(4))。走者が本塁を踏み損ね、タッグされる前に直ちに本塁を踏み直そうとしている通常のプレイには適用されない(5.09(b)(12)[原注])。

その場合、走者をアウトにするにはタッグが必要である。そのケースでは、走路の規則が走者に適用される(すなわち、走者は、走者と本塁を結ぶ“ベースライン”から3フィート以上離れて走ることはできない)。(5.09(b)(1))

本塁でのプレイにおいて、走者が塁を踏み損ね、かつ野手のタッグがなかった場合、審判員は何もシグナルを出さない。上述のように、走者が踏み直そうとしたとき、走者をアウトにするにはタッグが必要であり、走者がベンチに向かった場合はアピールが必要である。

走者が一旦ダッグアウトに入ってしまえば、もう踏み損ねた塁(本塁ほか)を踏み直しに戻ることはできない。

もし二人の走者がほぼ同時に本塁に達し、前位の走者が本塁を踏んでいなかったような場合、もはや前位の走者は本塁を踏み直しに戻ることはできず、アピールがあればアウトになる。そのアウトが第三アウトに当たる場合は、その後の得点は認められない。(5.09(c)(2)[規則説明](A))

3版解説 本塁を空過、しかしタイムがかかった より>

走者が本塁を空過したので踏み直しに戻ろうとしたらタイムがかかってしまった。

次のようなケースが考えられる。(5.09(b)(12)、5.09(c)(2)、5.09(c)(4))

・走者が戻ろうとしていたときに塁審が不注意にもタイムをかけてしまった

・攻撃側が、守備側にアピールさせないようタイムを求めた

・守備側が、走者が本塁に戻るのを防ぐためにタイムを求めた

走者が塁を空過した場合、または本塁を通過していた場合、その走者または攻撃側がタイムをかけ、タイムになった場合、走者はアピールの状態におかれる。しかしながら、タイムが不注意で認められたとき、または守備側が得点を防ぐ意図でタイムをかけたときは、タイムがかけられなかったらスコアになっていたかどうかを判断して、アピールを認めるか、または却下の処置をとる。

例題1:打者がヒットを打ち、一塁を空過して二塁に進み、セーフとなった。打者走者はタイムをかけ、認められた。そして打者走者は一塁の踏み直しに戻ろうとした。

-- 打者走者の帰塁は認められない。打者走者はアピールがあればアウトになる。

例題2:走者二塁、打者はヒットを打ち、二塁を狙った。二塁でのプレイに気をとられ、二塁走者は本塁を踏み損なってしまった。打者走者は二塁でセーフとなった。

二塁走者はまだダッグアウトに入ってはいなかった。

(a) 打者走者が泥を払うためタイムをかけ、塁審はそれを認めた。二塁走者は本塁を踏み直そうとしており、タイムになったとき、二塁走者は本塁に触れていた。守備側はインプレイになってから二塁走者の本塁空過をアピールした。

-- アピールは認められず、得点1となる。

(b) 二塁走者はダッグアウトに戻ろうとしていた。本塁空過に気付いていた一塁コーチャーは塁審にタイムを求めた。塁審はタイムを認めた。守備側は本塁でアピールしたが(二塁走者は踏み直しに戻ろうとはしなかった)、球審は、タイム中だったのでアピールを認めなかった。守備側はインプレイになってから本塁でアピールをした。

--アピールは認められる。その理由は、走者が踏み直しに戻ろうとしておらず、またチームの一員がタイムをかけたからである。

(c) 二塁走者は踏み直しに戻ろうとしていた。投手はアピールが間に合わないと見て、投手は二塁走者が本塁を踏む前に塁審にタイムを求めた。タイムは認められた。二塁走者はタイム後に本塁に触れた。守備側はインプレイになってからアピールをした。

--アピールは認められない。守備側は得点を防止するためにタイムをかけたので あり、タイムはうっかり認められたからである。

第3版解説 ボールデッド中の塁の踏み直し より>

塁を空過した場合も、飛球が捕らえられた際のリタッチの場合も、走者が「次の塁」に達してしまえば、ボールデッド中の塁の踏み直しはできない。(5.09(c)(2)[規則説明](B)関連)

例題1:走者二塁、センターフライでタッグアップ(しかしリタッチが早かった)、センターからの送球が悪送球となり、これを見て走者は三塁を回って本塁に行った。悪送球はボールデッドの個所に入った。

―――二塁走者が本塁に達してしまえば、もう二塁の踏み直しはできないが、まだ本塁に達していない場合は、三塁を踏み直し、二塁に戻り、二塁を踏み直すことができる。このケースでの走者の「次の塁」は本塁である。

例題2:走者三塁。打者が外野飛球を打ち、三塁走者はタッグアップして本塁を踏んだ。外野からの返球は悪送球となってダッグアウトに入ってしまった。そのあと、三塁走者はリタッチが早かったと思い、三塁ベースに戻ろうとした。すでに本塁を踏んでいた三塁走者の踏み直しは認められるか

―――アマチュア野球では次のとおりの解釈をとっている。

    1. 送球がボールデッドの個所に入ったとき、まだ走者が三本間にいた場合には、その走者の「次の塁」は本塁であるから、「次の塁」に到達していない三塁走者は三塁の踏み直しに戻ることができる。
    2. しかし、ボールデッドの間に、「次の塁」である本塁に触れてしまえば、三塁の踏み直しはもはや許されない。
    3. 三塁走者が本塁に達した後に、送球がボールデッドの個所に入った場合は、その走者には「次の塁」がないことから、その走者がダッグアウトに入ってしまわない限り、三塁の踏み直しに戻ることは許される。 

例題3:走者二塁、ライトにヒット。二塁走者は三塁を空過して本塁へ。一方、右翼手は一塁ベースを回っていた打者走者をアウトにしようと一塁に送球、しかしその送球はダッグアウトに入ってしまった。ボールがデッドの個所に入ったとき、本塁に触れた二塁走者は;

a.ダッグアウトに向かっていた

b.三塁を踏み直そうと本塁方向に戻っていた

c.三塁ベースを踏み直しに戻る途中で本塁を踏んでいた

―――二塁走者は踏み直しに戻る正当な理由があるので、いずれの場合も三塁および本塁を踏み直しに戻り、進塁することが認められる。ただしaの場合は、ダッグアウトに入ってしまえば、もう踏み直しに戻ることはできない。

例題4:走者二塁、ライトにヒット。二塁走者は三塁に触れ三・本間にいた。一方、右翼手は一塁ベースを回っていた打者走者をアウトにしようと一塁に送球。二塁走者は、一塁でのプレイに気をとられ、本塁を踏み損ねてしまった。送球は悪送球となってダッグアウトに入ってしまった。ボールデッドになった後、二塁走者は本塁を踏み直した。

―――送球はボールデッドの個所に入ったので、走者には本塁が与えられ、本塁を踏み直すことができる。ただし、走者がダッグアウトに入ってしまえばもう踏み直しはできない。

3版解説 捕球後のオリジナルベースからの進塁 より>

走者がある塁を空過した場合、野手がその空過した塁上で、あるいは飛球が捕らえられた後もともと走者によって占有されていた塁上(オリジナルベース)で、ポールを保持してアピールすれば、その走者はアウトになる。(5.09(c)(2))

プレイ:走者一塁。打者は外野の深いところへ打球を打ち、走者は三塁まで向かった。しかし、打球は捕らえられ、外野手から遊撃手に返球された。遊撃手は二塁ベース上で、審判員に一塁での離塁が早かったとアピールした。

―――遊撃手のアピールは無効である。走者は一塁に戻る前にタッグされるか、一塁ベースに触球された場合のみアウトになる。

プレイ:走者一塁、打者は外野の深いところに打球を打ち、一塁走者は抜けると思って二塁を回っていた。しかし、捕球されたのを見て二塁ベースを踏み直して慌てて一塁に戻ろうとした。外野手はその走者をアウトにしようと一塁に返球、しかしそれが悪送球となってボールデッドの個所に入ってしまった。悪送球が野手の手を離れたとき、走者は一・二塁間にいた。

―――この場合の、走者の進塁の基準は、野手の手を離れたときの位置ではなく、オリジナルベース(この場合は一塁)から2個、したがって三塁が走者に与えられることになる。(5.06(b)(4)(I)[原注2])

もし、このプレイで、走者が二塁を踏まずに一塁に戻り、悪送球がボールデッドの個所に入ってしまった場合、走者が一塁を踏み、二塁、三塁と正しく踏んで進塁すれば、帰塁のときの二塁の空過のエラーは帳消しとなる。

3版解説 ツーアウト、四球暴投、決勝点で打者一塁へ進まず より>

最終回裏、走者三塁、打者の四球目が暴投または捕逸となって決勝点が記録されるとき、四球の打者が一塁へ進まなかった場合は、規則5.08(b)のように球審が自ら打者のアウトを宣告して、得点を無効にすることはできない。

打者が一塁へ進まないまま、守備側が何らの行為をしないで、両チームが本塁に整列すれば、四球の打者は一塁へ進んだものと記録される。

打者をアウトにするためには、両チームが本塁に整列する前に守備側がアピールすることが必要である。(規則5.09(c〉[注2])

しかし、守備側がアピールしても、打者は一塁への安全進塁権を与えられているので、打者が気付いて一塁に到達すれば、アピールは認められない。

守備側のアピールを認めて打者をアウトにする場合は、

㋑打者が一塁に進もうとしないとき

㋺打者が一塁へ進もうとしたが途中から引き返したとき

である。(5.08(b)、5.09(c)[注2]、アマチュア内規⑤)

3版解説 ツーアウト、走者三塁、スリーストライク目の投球を空振り、それを後逸し、ダッグアウトへ、決勝点、しかし打者一塁へ進まず より>

例題:同点で最終回の裏、ツーアウト走者三塁。打者はスリーストライク目の投球を空振り、捕手はその投球を捕り損ね、大きく横にそらし、ボールはボールデッドの個所に入ってしまった。三塁走者はホームイン。打者は歓喜の余り三塁走者と抱き合って一塁へ進もうとしなかった。アピールもなく両チームは本塁に整列してしまった。さて、このケース、一塁に行かなかった打者走者に球審はアウトを宣告できるのか、それともアピールプレイなのか、もしアピールだとしたら、守備側のアピールの要求をどう処置したらよいか?

―――規則上、明確な規定はないが、規則5.08(b)のケースと異なり、球審が自ら打者のアウトを宣告して三塁走者の得点を無効にすることはできない。そのため、アマ内規⑤の「(最終回裏)ツーアウト、(走者三塁)、四球暴投、決勝点で打者一塁へ進まず」を準用して、打者をアウトにするには、アピールが必要と考える。もちろん、アピールは本塁整列前に行う必要があるが、守備側がアピールをしようとしても例題のようにボールがデッドの個所に入ってしまうと、デッド中のためアピールができないまま両チームが本塁整列して試合終了となってしまう惧れがある。

そのため、2013年度、アマチュア野球規則委員会は、アマ内規⑦を改正し、「ただし、最終回の裏、ボールデッド中に決勝点が記録された場合、または降雨等で試合が中断され、そのまま試合が再開されない場合、ボールデッド中でもアピールはできるものとする。」とした。したがって、例題のケース、守備側はボールデッド中でも、球審にボールを要求し、本塁整列前に打者走者が一塁に行かないことに対してアピールすることが可能である。アピールが認められれば、三塁走者の得点は認められず、延長回に入ることになる。

なお、規則5.06(b)(4)(1)ただし以下により、投手の三振目の投球がボールデッドの 個所に入った場合、三塁走者には本塁が、そして打者走者には一塁が与えられることになる。投球がボールデッドの個所に入った時点でタイムが宣告され、審判員は各走者に1個の進塁を指示する。つまり、実際の試合では審判員が打者走者を含め走者に1個進みなさいと指示をすることからこういう例は起きないと思われる。

第3版解説 最終回裏に決勝点、しかし走者が進塁放棄 より>

例題1:マークル事件

1908年、大リーグジャイアンツとシカゴ・カブス戦、同点の9回裏、ジャイアンツがツーアウト走者一・三塁で打者はセンター前ヒット、三塁走者は決勝のホームを踏んだ。しかし、一塁走者の新人フレッド・マークルは決勝点が入ったのを見て、二塁へ進むのをやめてダッグアウトに引き上げてしまった。カブスの二塁手ジョニー・エバースが二塁を踏んでフォースアウトを主張し、それが認められて決勝点は取り消された。観衆がグラウンドになだれ込んでしまったため、延長戦に入ることができず、この試合引き分け試合となった。因みに、シーズン最終日に両チーム同率となりプレイオフの結果、カブスがナショナルリーグで優勝した。

例題2:同点の9回裏、走者一・三塁。打者三塁ゴロ。三塁手の一塁への送球は悪送球となってスタンドに入った。三塁走者ホームインでサヨナラゲーム。ところが、一塁走者は勝ったと思って二塁に行かず本塁整列に向かってきて、そのまま試合終了となってしまった。試合後、

①一塁走者は走塁放棄でアウト、この場合はタイムプレイである。

②一塁走者はフォースの状態であるからアピールがあればアウトである。

③ボールデッドに入って安全進塁権を得たのだから進塁義務はない。

といった意見が出された。正しい処置は?

――― 正しくは、②の一塁走者はフォースの状態に置かれているので、本塁整列前に守備側からアピールがあれば、一塁走者はアウトになる。ツーアウトであれば、得点は認められない。なお、このケースのように決勝点に当たるような場合は、ボールデッド中でも守備側は球審にボールを要求してアピールすることが可能である。(5.09(b)(2)[注]、アマチュア内規⑦)

例題3:1984年8月14日、第66回全国高校野球選手権大会の京都西高校対新潟南高校の試合、延長14回裏、ツーアウト満塁で打者は三遊間のヒット、三塁走者はホームインしたが、一塁走者、二塁走者とも次塁への進塁を完了せず途中で引き返してしまった。両チーム整列したためサヨナラゲームとなったが、京都西高校が二・三塁ベースのどちらかに触れてアピールしていたらスリーアウト(フォースアウト)となって得点にならなかった。

この甲子園大会のプレイは、当時の規則7.08(a)(2)(現5.09(b)(2))を適用すると守備側のアピールがなくても「アウト」とみなされる。アウトを宣告すべきか、それとも「アピールがなかったから黙認」するか、で協議され、結局ホームインが認められたが、ルール上明確にしておこうと、1985年に同条に[注3](現5.09(b)(2)[注])が追加されることになった。フォースプレイの走者は、「明らかに進塁の意思を放棄」したとしても、それだけでは「アウト」にならず、守備側のアピールが必要であることが明確に規定された。

3版解説 三回裏、ツーアウト満塁、四球暴投で打者が一塁へ進まず より>

規則5.08(b)ペナルティの決勝点となる場合と違って、この場合は進塁放棄で打者走者にアウトを宣告することはできない。一塁への安全進塁権を得た打者走者が一塁に進もうとしなかった場合、その打者走者をアウトにするには守備側のアピールが必要である。アマチュア内規⑤を準用する。

したがって、

  1. 打者が一塁に進まないまま、守備側がアピールをしなかった(アピール権が消滅してしまった)ときは、四球の打者は一塁に進んだものと記録され、得点1が認められる。
  2. 守備側がアピールを行ったときは、アピールを認めて打者走者をアウトにする。打者走者は一塁に到達するまでのアウト(スリーアウト)になって、三塁走者の得点は認められない。

3版解説 第3アウトはフォースアウトか否か より>

例題1:ワンアウト一・三塁。打者はライトにヒット。三塁走者は生還。一塁走者は一気に三進した。打者走者はライトの三塁送球の間に二塁を狙ったが、三塁手からの送球でタッグアウトになった(ツーアウト)。この後で、二塁手は、二塁ベース上で、一塁走者が二塁を空過したとアピール、これが認められてスリーアウトとなった。さて、得点は1点?それとも0点?

―――結論から言えば、「得点ゼロ」となる。なぜなら、フォースの状態で走者が塁を空過しても、フォースの状態は依然残るので、第3アウトのアピールアウトはフォースアウトとなり、したがって得点は認められない。参考までに、規則5.09(b)(6)は、2008年の改正で次のようになっている。

「打者が走者となったために、進塁の義務が生じた走者が次の塁に触れる前に、野手がその走者またはその塁に触球した場合。(このアウトはフォースアウトである。)ただし、後位の走者がフォースアウトで先にアウトになれば、フォースの状態でなくなり、前位の走者には進塁の義務がなくなるから、身体に触球されなければアウトにはならない。」

例題2:走者一塁、ヒットエンドラン。打者が一塁頭上にフライを打ち上げた。しかし、一塁手はこれを落球、たまたま一塁ベースを回って目の前に走ってきた打者走者に触球してアウト。このとき、一塁走者はフライが捕られると思い、二塁ベース近くまで来ていたのを慌てて一塁へ戻りがけたが、一塁手が落としたため、再び二塁ベースに向かおうとして一・二塁間にいた。一塁走者の二塁でのプレイはフォースプレイか。

例題3:同じようなケースで、打者が今度は外野飛球を打ち上げた。捕球されそうなので、一塁走者は一塁ベースの方へ戻っていた。しかし、外野手はその飛球を落としてしまった。このとき、打者走者は一塁を回って打球を見ていた一塁走者を追い越してしまい、追い越しアウトとなってしまった。一塁走者の二塁でのプレイは?

この二つの例は、いずれも後位の走者がフォースプレイでアウトになったわけではないので前位の走者のフォースの状態は消えず、フォースの状態が残っているのかという疑問が生じる。しかし、野球の常識からいって、どうみても一塁走者の二塁でのプレイはフォースプレイではない。理論的には次のように解釈する。

「後位の走者がアウト(アウトの性質を問わず)になった時点で、フォースの状態で追い出された前位の走者が進むべき次の塁に到達していない場合でも、前位の走者には進塁の義務がなくなるから前位の走者のフォースの状態は消え、その走者は触球されなければアウトにならない。」シンプルに言えば、打者走者がアウトになった時点ですべての走者のフォースの状態は消えるわけである。ただし、フォースの状態で走者が塁を空過した場合は、後位の走者がアウトになっても、フォースの状態は残る。(5.09(b)(6))

なお、前記「ただし書き」は、そもそもリバース・フォース・ダブルプレイを想定したものといえる。

例題4:ツーアウト走者一・三塁で、打者は三塁線にセーフティバント。投手が捕って一塁に送球したがセーフ。この間三塁走者はホームイン。しかし一塁走者は二塁に達した後、ファウルと勘違いして一塁に戻ってきた。それを見た二塁手が走者にタッグし、アウトを宣告され、三死となった。ダッグアウトより先にホームインした三塁走者の得点は認められるか?

―――得点は認められない。なぜなら二塁を踏んだ後に、元の塁の方へ離れた場合は、再びフォースの状態におかれるので、野手にその身体または進塁すべき塁に触球されれば、その走者はアウトとなる。したがって、このアウトはフォースアウトであるから、三塁走者の得点は認められないことになる。(5.09(b)(6))

3版解説 走者がフォースの状態で塁をオーバースライド より>

ツーアウト、走者はフォースの状態で塁に触れずに滑り越した。走者が戻ろうとしたとき、塁に触れる前にタッグされてアウトになった。一方、タッグアウトの前の得点はタイムプレイで認められた。走者の空過に対するアピールは認められるのか(フォースアウトになって得点は取り消される)?

例題:ツーアウト走者一・三塁。投手の右横を抜けたゴロを捕って、遊撃手は、塁ではなく走者にタッグに行った。タッグは失敗、しかし一塁走者は二塁ベースに触れずに滑りこしてしまった。一塁走者は這うようにしてベースに戻ろうとしたとき、遊撃手が走者にタッグした(アピールではなく、またフォースアウトでもない)。

一塁走者がタッグされる前に三塁走者は本塁を踏んだ(タイムプレイ)。その後に、守備側はフォースアウトを得る(有利な第4のアウトの選択)ために一塁走者の二塁空過をアピールして、得点を取り消すことができるか。

――― オーバースライドの場合は、その塁に達していたものとみなされ、走者が塁を離れた状態でタッグされれば、アウトになる(これはフォースアウトではない)。アピールプレイでもない。その後、その走者の塁の空過に対するアピールは認められない。(5.05(b)(1)[原注])

3版解説 フォースの状態の走者が塁を空過 より>

フォースの状態の走者が塁を空過 ――― その塁へのアピールは常にフォースアウトか?後に続くプレイが終われば(後位の走者がアピールでアウトになった)フォースの状態はなくなるのか?

例題:ワンアウト満塁。打者が三塁打を打った。一塁走者は二塁を空過、また打者走者は一塁を空過。守備側は最初に打者走者に対してアピール、それから一塁走者に対してアピールをした。打者走者に対するアピールアウトは、一塁走者のフォースの状態はなくなるのか?もし一塁走者の二塁でのアピールアウトがフォースアウトであれば(スリーアウト)、三塁走者の得点は認められない。しかし、それがフォースアウトでなければ、三塁走者の得点は認められることになる。

――― 打者が走者となったために前位の走者が押し出されてフォースの状態になり、進むべき塁をその走者が空過したときには、その塁へのアピールは常にフォースアウトである。

打者走者のアピールアウトは一塁走者が二塁を空過したときフォースの状態であったという事実を取り消すものではない。フォースは連続したプレイ中でのみ消える。一塁走者のアピールアウト(スリーアウト)はフォースアウトである。したがって、二塁走者および三塁走者の得点は認められない。((5.05(b)(1)[原注])

3版解説 進塁放棄 より>

一塁に触れてすでに走者になったプレーヤーが、もはやプレイは続けられていないと思い込んで、ベースラインから離れてダッグアウトか守備位置の方へ向かったとき、審判員がその行為を走塁する意図を放棄したとみなすことができると判断した場合、その走者はアウトを宣告される(5.09(b)(2))。この際、たとえアウトが宣告されても、他の走者に関しては、ボールインプレイの状態が続けられる。

例題:ノーアウトまたはワンアウトで、同点の最終回、走者一塁のとき、打者が競技場の外ヘサヨナラ本塁打を打った。一塁走者は、二塁を過ぎてから、本塁打で自動的に勝利が決まったと思い込み、ダイヤモンドを横切って自分のベンチに向かった。この間、打者走者は、本塁に向かって進んでいた。

このような場合、走者は“次塁に進もうとする意思を放棄した”という理由で、アウトを宣告され、打者走者は各塁を踏んで行って本塁打を生かすことが許される。もし、二死後ならば、本塁打は認められない(5.09(b)(2)[原注]、5.09(d))。これはアピールプレイではない。

例題:走者が一塁または三塁で触球されてアウトを宣告されたと思い込んでダッグアウトに向かいだし、依然としてアウトだと思い込んでいる様子が明らかだと審判員が認めるのに適当な距離まで進んでいるときには、走者は進塁を放棄したという理由でアウトを宣告される。(5.09(b)(2)[原注])

第3ストライクと宣告されただけで、まだアウトになっていない打者のケース(5.05(a)(2))とは異なる。

第3ストライクと宣告されただけで、まだアウトになっていない打者が、気がつかずに、一塁に向かおうとしなかった場合、その打者は、“ホームプレートを囲む土の部分”(ダートサークル)を出たら、ただちにアウトを宣告される。

この解釈は、第3ストライクと宣告されただけで、まだアウトになっていない打者が、適宜な時間が経っても一塁に進もうとしない打者にも適用される。球場によって、ダートサークルの有無、形の違いがあるが、いずれにしても打者が一塁に進もうとしないでダートサークルを出れば、アウトが宣告される。

審判員は、走者が進塁放棄でアウトを宣告された場合、タイムプレイに注意しておかねばならない。

例題1:ツーアウト満塁、同点で9回の裏。打者が場外に本塁打を打った。一塁走者は、二塁に触れた後に自動的に勝利が決まったと思い込み、走路から離れてダッグアウトに向かった。一塁走者は、三塁走者が本塁を踏む前にアウトが宣告された。他の走者は各塁を踏んで本塁に達した。

――― 得点は認められない。三塁走者が本塁を踏む前に第三アウトになったからである。試合は同点のまま延長に入る。もしノーアウトまたはワンアウトの場合であれば、二塁走者、三塁走者および打者走者が本塁を踏んだときに3点が記録され、試合終了となる。(5.09(b)(2)[原注]、5.09(d))

例題2:ツーアウト満塁、同点で延長14回裏。打者は三遊間のヒット、三塁走者はホームインしたが、一塁走者、二塁走者とも次塁への進塁を完了せず途中で引き返してしまった。両チームが整列したためサヨナラゲームとなった。

――― フォースプレイの走者は、「明らかに進塁の意思を放棄」しても、それだけでは「アウト」にならない。守備側のアピールが必要である。(5.09(b〉(2)[注])

イニングの表または裏が終わったときのアピールは、守備側チームのプレーヤーが競技場を去るまでに行わなければならない。そして、“守備側チームのプレーヤーが競技場を去る”とあるのは、投手および内野手が、ベンチまたはクラブハウスに向かうために、フェア地域を離れたことを意味する、と規則5.09(c)では規定している。また、同[注2]では、「攻守交代の場合と試合終了の場合との区別なく、いずれの場合でも投手および内野手が、フェア地域を離れたときに、アピール権が消滅することとする。(筆者注:投手および内野手全員がフェア地域を離れたときにアピール権は終了し、投手および内野手のうち一人でもフェア地域に残っていれば、アピール権は消滅せずに残っている。)

アマチュア野球では、試合終了の場合に限って、「両チームが本塁に整列したとき、アピール権は消滅することとする。」と規定されている。

<第3版解説 本塁に進塁を余儀なくされた走者は第3アウト後でも得点は認められる

ツーアウト後、ある走者が他の走者に先んじたためにアウトになったときは、そのアウトになった走者よりも後位の打者または走者の得点が認められないことはもちろんであるが、たとえアウトになった走者より前位の走者でも第3アウトが成立するまでに本塁を踏まなければ得点は認められない。(タイムプレイ)

ただし、ツーアウト満塁で、打者が四球を得たとき、他のいずれかの走者がいったん次塁を踏んだ後にアウトになったときだけ、その第3アウトが成立した後に三塁走者が本塁を踏んでも、得点と認められる。(5.08(a)[原注][注2]、5.06(b)(3)(B)[原注])

安全進塁権を得た走者が、与えられた塁に触れた後さらに進塁することはさしつかえないが、その行為の責任はその走者自身が負うだけで、たとえ与えられた塁に触れた後にアウトになった場合でも、他の走者の安全進塁権に影響を及ぼすことはない。

したがって、ツーアウト後その走者が与えられた塁に触れた後にアウトになり、第3アウトが成立しても安全進塁権がある前位の走者は、そのアウトの後で本塁を踏んでも得点として認められる。

例―――ツーアウト満塁、打者四球、二塁走者が勢い込んで、三塁を回って本塁の方へ向かってきたが、捕手からの送球で触球アウトとなった。たとえツーアウト後であっても、四球と同時に三塁走者が本塁に押し出されたので、すべての走者に次塁へ進んで触れる必要が生まれたという理論に基づいて得点が記録される。

本項は、打者が四球を得たために、塁上の各走者に次塁への安全進塁権が与えられた場合だけに適用される。(5.06(b)(3)[原注][注])

<第3版解説 最終回裏、満塁で四球

最終回裏、満塁で、打者が四球を得たので決勝点が記録されるような場合、次塁に進んで触れる義務を負うのは、三塁走者と打者走者だけである。三塁走者または打者走者が適宜な時間が経っても、その義務を果たそうとしなかった場合に限って、審判員は、守備側のアピールを待つことなくアウトの宣告を下す。

打者走者または三塁走者が進塁に際して塁に触れ損ねた場合も、適宜な時間が経っても触れようとしなかったときに限って、審判員は、守備側のアピールを待つとなく、アウトの宣告を下す。(5.08(b)[原注][注])