過去、石川県で発生した事例を紹介します。審判員の皆さんはどう措置するか⁉  PDF一覧版


以下は公認野球規則、審判マニュアル、高校生のための野球規則のABC、競技者必携、その他文献の事例集をまとめたものです。2024年公認野球規則に適合しているかの検証は現在進行中です。

06打者走者の妨害 (6)

措置:

①ノーアウトまたはワンアウトのとき得点は認められ、打者走者にはアウトが宣告される。その理由は、妨害発生前にプレイが介在していたからである。他の走者は、妨害発生の瞬間正規に占有していた塁に戻らなければならない。

②ツーアウトのとき打者走者が一塁に到達する前に妨害でアウトになったので、走者が本塁に達していたとしても、得点は認められない。(6.01 (a)インターフェアに対するペナルテイ、同[注])

プレイの介在と得点の記録
ノーアウトまたはワンアウトのとき、本塁でのプレイで走者が得点した後(プレイの介在)に妨害が発生した場合、その走者の得点は認められる。
ツーアウトのとき、本塁でのプレイで走者が得点した後(プレイの介在)に妨害が発生した場合、得点の記録については次のように整理できる。

①得点が認められるのは、守備(あるいはアウト)の対象がフォースの状態でない走者のとき。

②得点が認められないのは、守備(あるいはアウト)の対象が打者走者またはフォースの状態にある走者のとき。

措置:これがホームプレートの周辺で起きた場合はそのままボールインプレイである。しかし、打者走者が数歩走って一塁線上で発生した場合(打者走者は避ける時間があったとみなす)、インターフェアが宣告され、打者走者はアウトとなり、走者は投球当時の塁に戻る。2014年度の改正で「明らかに」という言葉が追加になった。「明らかに」ということは、だれが見ても「明らかに」ということだが、たとえば打者走者に故意性がかなり認められる場合とか、あるいは打者走者が投球または投球を処理しようとしている捕手を邪魔しないよう避ける時間があった(あるいは避けられた)と判断される場合が、「明らかに」に相当すると考えられる。あくまで審判員の判断だが、“出会い頭”的あるいは偶然の場合は明らかな妨害とは言えない。

また、規則6.01 (a)(1)[原注]に、「投球が、捕手または審判員に触れて進路が変わり、その後に打者走者に触れた場合は、打者走者が投球を処理しようとしている捕手を明らかに妨げたと審判員が判断しない限り、妨害とはみなされない。」が追加になった。

なお、振り逃げではないケース(ツーアウト以前で一塁に走者がいる)のときに打者が勘違いして一塁へ走り出したとき、捕手がはじいたボールに打者が触れた場合は、ボールデッドにして、走者を投球当時の塁に戻す。

措置:打者走者の妨害であり、アウトになれば妨害がなかったものとみなす処置は打者の妨害のときに適用されるものであることから、このケースは妨害した打者走者をアウトにして(この時点でボールデッド)、走者を投球当時の塁に戻す。ツーアウト走者二塁で試合再開する。

四球を得た打者走者が捕手の送球動作を妨害
四球を得た打者走者が捕手の送球動作を明らかに妨害した場合(打者の妨害ではなく打者走者の妨害)、妨害した打者走者をアウトにして(この時点でボールデッド)、走者を投球当時の塁に戻す。(6.01 (a)(1)[注])

1、状況:

無死、走者二塁、打者が一塁線へバント、打者席を出てから踵に自打球を当てた。捕手の『当たった、当たった』の声で球審が一旦立ち止まった(球審は見えていなかった)。控えから見えたので呼んで伝えたところ、球審はそのまま受け入れて措置し(残りの審判3人キョトン)、インターフェア打者走者OUTを宣告し、走者を二塁へ戻し再開した。

 

2、ポイント:

打者のバント後の行為を(走者の走路、打球の位置など)できるだけ近づき確認する。捕手の後ろから追いかけるケースは非常に難しいが最大限努力する。

自分が確認できないプレイに対して、他の審判員に意見を求めることはできる。

3、ジェスチャー:打者走者がフェアボールに触れる

① 球審はプレイが一段落した時点で、前方に進み出て大きく『タイム』を宣告し、他の審判員も『タイム』を同調する。

② 球審は塁審を集めて4人で協議し、結果を責任審判に伝える。

③ 責任審判は結果が正しいか判断して、規則を適用(打者アウト)するよう伝える。

④ 打者走者を右手で指さして『インターフェアランス』 “ That’s interference !”  続いて、『打者走者、アウト』 “ Runner is out !”を宣告する。

⑤ 次に、二塁走者を右手で指さして『2塁へ』“ You, back to second!”と指示する。

4、適用規則:

野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが打者走者に触れた場合  【5.09a7】(打者アウト)

ただし、打者がバッタースボックス内にいて、打球の進路を妨害しようとする意図がなかったと審判員が判断すれば、打者に当たった打球はファウルボールとなる。

5、場内または伝令への説明

打者走者がフェアーの打球に触れたことを確認したので、打者走者を“アウト”とし一死、走者二塁で試合を再開します。

<審判員の裁定8.02b、8.02c>

審判員の裁定が規則の適用を誤って下された疑いがあるときには、監督だけがその裁定を規則に基づく正しい裁定に訂正するように要請することができる。

しかし、監督はこのような裁定を下した審判員に対してだけアピールする(規則適用の訂正を申し出る)ことが許される。

高校野球では、監督はベンチから出れないため、主将、伝令または当該選手のみ申し出ることができる。(高校野球特別規則28)

1、状況:

無死、走者一塁・二塁、0B-0Sで打者がバントした打球がその場で地面につき飛び跳ね(バントした打球が真下に落ちそのまま垂直に上がる状態(フェア打球))捕手が打球を取ろうとしたとき、打者が(打者はバントをした状態のまま)飛び跳ねた打球をもう一度打ちに行った。球審は打者走者が捕手の守備を妨害したと判断し、その場で打者走者をアウトにした。攻撃側からアウトの確認があったため、球審は塁審を集め四人で協議し、結果をマイクで観衆に説明した。

2、ポイント:

打撃(バント)を完了した打者走者がなぜもう一度打ちに行ったのか。意図的に捕手の守備を妨害した。このケースでは普通の守備行為で2(捕手)-5(三塁)-3(一塁)、2(捕手)-4(二塁)-3(一塁)、打者走者にタッグ-5(三塁)または4(二塁)で走者にタッグで併殺が成り立つか判断する。

3、ジェスチャー:打者走者が捕手の守備を妨害した。

① 球審は打球の判定(フェア)を行い、捕手および打者走者の行動を確認する。
② 打者走者が捕手の守備を妨害したと判断 → 球審は前方に進み出て大きく『タイム』を宣告し、他の審判員も『タイム』を同調する。
③ 球審は打者走者を右手で指さし『インターフェアランス』 “ That’s interference !”  続いて、『打者走者、アウト』 “ Runner is out !”を宣告する。
④ 次に本塁に最も近い走者(二塁走者)を右手で指さし『二塁走者、打者走者の守備妨害でアウト』を宣告する。

4、適用規則: 打者または走者の妨害【6.01a7】

打者走者が、明らかに併殺を行なわせまいとして故意に打球を妨げるか、または打球を処理している野手を妨害したと審判員が判断したとき、審判員は打者走者に妨害によるアウトを宣告するとともに、どこで併殺が行なわれようとしていたかには関係なく、本塁に最も近い走者に対してもアウトを宣告する。
この場合、ボールデッドとなって他の走者は進塁することはできない。

5、場内または伝令への説明

打者走者が、明らかに併殺を行なわせまいとして捕手の守備を妨害したので打者走者と本塁に最も近い2塁走者をアウトに二死走者一塁で試合を再開します。

◇このケースでバントした打球が、ファウルエリア上空の時(まだフェアかファウルかが決まっていない)に打者走者がもう一度打ちに行った。この場合は6.01a2(5.09a9参照)により打者走者アウトでボールデッドになる。

【6.01a2】打者または走者の妨害
打者または走者が、まだファウルと決まらないままファウル地域を動いている打球の進路を、どんな方法であろうとも、故意に狂わせた場合。(5.09a9参照)
【5.09a9】打者アウト
打者が、打つか、バントした後、一塁に走るにあたって、まだファウルと決まらないままファウル地域を動いている打球の進路を、どんな方法であろうとも故意に狂わせた場合。ボールデッドとなって、走者の進塁は認められない。

1、状況:

無死、走者一塁・二塁、0B-0S、左打者がドラックバンドした打球がファール地域に転がっている時、バットを持ったままの打者走者が故意に当てファール地域にさらに転がした。球審は『ファールボール』を宣告した後、打者走者に注意した。打者は0B-1Sで打ち直した。

2、ポイント: 故意に打球を狂わせたと判断するか否か

3、ジェスチャー:

① 打者走者が故意に打球を狂わせたと判断 → 球審は前方に進み出て大きく『タイム』を宣告し、他の審判員も『タイム』を同調する。
② 球審は打者走者を右手で指さし『インターフェアランス』 “That’s interference !”  続いて、『打者走者、アウト』 “Batter-Runner is out !”を宣告する。
③ 次に、二塁走者を右手で指さして『2塁へ』“You, back to second!”、一塁走者を右手で指さして『1塁へ』“You, back to first!”と指示する。

4、適用規則: 打者アウト【5.09a9】打者または走者の妨害【6.01a2】

打者または走者が、まだファウルと決まらないままファウル地域を動いている打球の進路を、どんな方法であろうとも、故意に狂わせた場合。(5.09a9参照)
インターフェアに対するペナルティ 打者走者はアウトとなり、ボールデッドとなる。

5、場内または伝令への説明

打者走者がまだファウルと決まらないままファウル地域を転じている打球の進路を故意に狂わせたのでアウトとします。一死、走者一塁・二塁で試合を再開します。