過去、石川県で発生した事例を紹介します。審判員の皆さんはどう措置するか⁉  PDF一覧版


以下は公認野球規則、審判マニュアル、高校生のための野球規則のABC、競技者必携、その他文献の事例集をまとめたものです。2024年公認野球規則に適合しているかの検証は現在進行中です。

14ランナーコーチの肉体的援助 (3)

措置:この場合、二塁走者に直接プレイが行われていたのか、あるいはそうではなく、プレイを流してしまうのか(つまり打者走者に対する二塁でのアウトまたはセーフのプレイを生かす)といった議論がある。しかし、事例のように、送球が走者の方に向かってきていたとすれば、その走者に対して直接プレイが行われていたと解するのが妥当と考える。

したがって、このケースは、即ボールデッドとなって二塁走者はアウト、打者走者は一塁に戻るというのが正しい処置となる。

一方、走者二塁。打者がレフト前にヒットを打った。二塁走者が三塁を回ったところで三塁ベースコーチの肉体的援助があった。レフトは、本塁にではなく、打者走者をアウトにしようと二塁に送球したような場合、打者走者は二塁でアウトになるかセーフになるか、そのままプレイを流す。プレイが落ち着いた後に、タイムをかけ、二塁走者に肉体的援助でアウトを宣告する。

ベースコーチの肉体的援助        

三塁または一塁ベースコーチが、走者に触れるか、または支えるかして、走者の三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁を、肉体的に援助したと審判員が認めた場合、(守備の対象であった)走者の守備妨害として、その走者にはアウトが宣告される。(6.01 (a)(8))

1972年までは、走者に対してプレイが行われている場合という条件付きだったが、1973年からはプレイがあったか否かに関係なく、援助そのものが罰せられるようになった。

 

措置:このケースは、肉体的援助があった打者走者に対して直接プレイが行われていないので、即ボールデッドにするのではなく、三・本間でのランダウンプレイが落ち着いてから、審判員はタイムをかけ、肉体的援助のあった打者走者をアウトにする。これは、直接プレイが行われていないのに(よそでプレイが’行われている)、即ボールデッドにしてプレイを止めてしまうのは不自然だとの考え方による。

ベースコーチの肉体的援助        

三塁または一塁ベースコーチが、走者に触れるか、または支えるかして、走者の三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁を、肉体的に援助したと審判員が認めた場合、(守備の対象であった)走者の守備妨害として、その走者にはアウトが宣告される。(6.01 (a)(8))

1972年までは、走者に対してプレイが行われている場合という条件付きだったが、1973年からはプレイがあったか否かに関係なく、援助そのものが罰せられるようになった。

塁に複数の走者がいる場合、1走者に対するベースコーチの肉体的援助があったとき、その走者に対して送球されるなど直接プレイが行われていた場合は、即ボールデッドとするが、直接プレイが行われていない場合には、即ボールデッドとするのではなく、すべてのプレイが落ち着いてからタイムをかけ、その後に審判員は肉体的援助のあった走者をアウトにするなどして適切な処置をとる。ただし、ツーアウト後にベースコーチの肉体的援助があった場合には、即アウトにする。なお、即ボールデッドにしないケースでは、アンパイアリングとして、オブストラクシヨン(2)項のように、肉体的援助があったことを示すために右手で小さくポイントしておくことが望ましい。

1、状況:

一死、走者二塁、センター前ヒットで三塁を触塁し本塁へ向かおうとした二塁走者を三塁コーチがコーチスボックスから出て走路上に完全に入り肉体的援助(接触)により三塁ベースへ戻した。中堅手からの送球は本塁に。(直接プレイが行われている)

2、ポイント:

三塁審判が打球を追いかけたときは球審が、その他のときは三塁塁審が二塁走者と三塁コーチの動向を確認する。高校野球はフェアプレイの精神で行うことから、一・三塁の審判は事前に十分注意をし、ベースコーチの行動を観察しさせないよう努力しなければならない。

3、ジェスチャー:

① コーチが2塁走者に接触 → 当該審判員は、前方に進み出て大きく『タイム』 を宣告し、他の審判員も『タイム』を同調する。

② 当該審判員は、三塁コーチを右手で指さして『インターフェアランス』 “ That’s interference !” を宣告する。

③ 次に、2塁走者を右手で指さして『2塁走者、コーチの肉体的援助でアウト』“ Physical assistance, runner is out !” を宣告する。

④ 4人の審判員で協議し、打者走者が妨害発生の瞬間に達していた塁を確認した後、進塁・帰塁を指示します。

◇ この妨害のとき塁上に他の走者がいた場合は、妨害発生の瞬間の占有塁を与えます。

4、適用規則: ベースコーチの肉体的援助【6.01a8】

次の場合は、打者または走者によるインターフェアとなる。

インターフェアに対するペナルティ 走者はアウトとなり、ボールデッドとなる。

三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れるか、または支えるかして、走者の三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁を、肉体的に援助したと審判員が認めた場合。

◇ 解釈

規則6.01a8と6.01a9とは、ベースコーチの権限外の行為を防止するためのペナルティとして、走者がアウトになる場合を規定している。問題になるのは肉体的援助ということだが、走者をからだでとめるとか(支える)、走者をひっぱるとか、とにかく自分のからだを使って、走者の進塁や帰塁を助けるということだ。一九七二年までは、走者に対してプレイが行なわれている場合という条件つきだったが、一九七三年からはプレイがあったか否かに関係なく援助そのものが罰せられるようになった。

 肉体的援助をしたかどうかは審判員の判断である。

◇ 直接プレイが行われていない場合のジェスチャー(本事例で中堅手が打球をジャックルしたため打者走者の二塁へのプレイを行った場合)

① コーチが2塁走者に接触 → 当該審判員は、コーチを右手で指さして『インターフェアランス』 ” That’s interference !” を宣告しておく。

② 当該審判員は、すべてのプレイが終わるのを待って、前方に進み出て大きく『タイム』 を宣告し、他の審判員も『タイム』を同調する。

③ 当該審判員は、コーチを右手で指さして『インターフェアランス』 “ That’s interference !” を再度宣告する。

④ 次に、2塁走者を右手で指さして『2塁走者、コーチの肉体的援助でアウト』“ Physical assistance, runner is out !” を宣告する。

⑤ 打者走者の二塁のプレイがアウトになれば攻守交代となる。

セーフであれば打者走者を一塁へ戻し(他のすべての走者は、妨害発生の瞬間にすでに占有していたと審判員が判断する塁まで戻らなければならない。ただし、打者走者が一塁に到達しないうちに妨害が発生したときは、すべての走者は投手の投球当時占有していた塁に戻らなければならない。)二死、走者一塁で試合を継続する。

 二塁へ到達した打者走者を右手で指さして『打者走者、1塁へ』“You, back to first!”と指示する。

5、場内または伝令への説明

三塁ベースコーチが二塁走者を肉体的に援助したのでアウトとします。二死、走者一塁で試合を継続します。