122:1アウト、走者二塁、1B-1S。ボーク後の投球に、打者が打撃妨害を受けながら三塁ゴロを打ち、一塁でアウトになった。このとき、二塁走者には盗塁行為がなかった。どう措置するか。

1、措置要約:ボークにより二塁走者は三塁へ。走者三塁、打者は打ち直しで試合再開(6.02(a)ペナルティ前段)

2、審判員アクション
 ①当該審判員は、投手を指さして(球審は発声のみ)『ザッツ・ボーク』“That’s a balk!”
 ②塁審が宣告した場合は、打者が打つかもしれないので、ハンズ・オン・ニーズ・セットポ 
  ジションにもどる
 ③捕手が打者を妨害 → 球審は、捕手を右手で指さして「インターフェアランス」
  ”That’s interference!”
 ④1塁でアウト → ボークを宣告した審判員は、前方に進み出て大きく『タイム』
 ⑤他の審判員も『タイム』
 ⑥ボークを宣告した審判員は、投手を指さして『ザッツ・ボーク』“That’s a balk!”
 ⑦球審は二塁走者に盗塁行為がなかったことを確認
 ⑧次に、2塁走者を指さして『2塁走者、3塁へ』“You, third base!”と指示
 ⑨次に、打者走者を指さして『バッター、打ち直し』“You, back at bat!”と指示
 ⑩塁審が宣告した場合は、球審に向かって『ボールカウント1B-1S』
  (今の投球はボークのためカウントしないことを伝える)
 ⑪球審は、公式記録員に向かって、頭上でジェスチャーをしながら『ボールカウント1B-
  1S』

3、適用規則 6.02(a)ボーク ペナルティ前段
 ペナルティ (a)項各規定によってボークが宣告されたときは、ボールデッドとなり、各走者は、アウトにされるおそれなく、1個の塁が与えられる。

ただし、ボークにもかかわらず、打者が安打、失策、四球、死球、その他で一塁に達し、かつ、他のすべての走者が少なくとも1個の塁を進んだときには、このペナルティの前段を適用しないで、プレイはボークと関係なく続けられる。

もし打者走者および他のすべての走者が進塁できなかった場合は、ボークが適用され、ボ
ークの投球はノーカウントで打者打ち直しとなり、走者はボークで1個の塁を進む
(審判マニュアル 投手の規則 17ボークの罰則より)

※ボーク 2020 年度の規則改正
◎2020 年度の規則改正において、5.07(a)(1)①、5.07(a)(2)②、5.07(a)(2)【注 2】、6.02(a)(1)が改正されました。
・5.07(a)(1)①および 5.07(a)(2)②
打者への投球動作を起こしたならば、中断したり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない。
・5.07(a)(2)【注 2】
(1)(2)項でいう〝中断〟とは、投手が投球動作を起こしてから途中でやめてしまったり、投球動作中に一時停止したりすることであり、〝変更〟とは、ワインドアップポジションからセットポジション(または、その逆)に移行したり、投球動作から塁への送球(けん制)動作に変更することである。
・6.02(a)(1)
投手板に触れている投手が、5.07(a)(1)および(2)項に定める投球動作に違反した場合。
◎この改正により、走者が塁にいるときに、投手が投球するときに自由な足を上げてから一時的に止めたり、自由な足を上げるとき意図的に段階をつけたりした場合(いわゆる「2段モーション」)、次のような取り扱いとなりました。
・自由な足を上げてから一時的に止めた:ボーク
・自由な足を上下させてから投球した:ペナルティなし
・自由な足を上下させてからけん制動作に移行した:ボーク

4、場内アナウンスまたは説明
 ボークの規則を適用して二塁走者は三塁へ、ボークの投球はノーカウウトとなり打者打ち直しとなります。走者三塁、打者のカウント1B-1Sで試合を再開します。

【よくあるボークの例】
◎ ボークは、塁上に走者がいるときの、投手の反則行為のことです。
◎ ボークルールの目的は、投手が走者を意図的にだまそうとするのを防ぐことです。審判員は、投手の“意図”に疑いを抱いたら、厳重に規則を適用しなければなりません。

◎ よくあるボークの例
① 投球動作を起こしながら、投球を中断または変更する。
 ⚫ 捕手のサインを見ながらストレッチを開始したが、途中でやめる。(準備動作の中断)
 ⚫ 軸足の膝を折った後に、反動をつけて塁へ送球する。
 ⚫ けん制しようとする塁と反対方向に肩を動かし、投球動作に入ったように見せかけて塁
  へ送球する。
 ⚫ 自由な足をゆっくり上げながら一瞬止めた後に、投球または塁へ送球する。
 ⚫ 自由な足を振って投手板の後縁線を越えた後に、1塁または3塁へ送球する。
② 塁に送球する前に、足を直接その方向に踏み出さない。
 ⚫ 自由な足を本塁方向に踏み出して、塁へ送球する。
 ⚫ 自由な足を上げたが、そのままもとの位置に下ろして塁へ送球する。
 ⚫ 自由な足のつま先は塁に向いているが、かかとはほとんど地面から離れず足を回転させ
  て、塁へ送球する。
③ セットポジションから完全に動作を静止しないで投球する。
 ⚫ 両手を顔の前で接触させながらベルトのあたりまで下したが、完全に動作を静止しない
  で投球する

【20.ボークと打撃妨害】
 ボーク後の投球に捕手または野手による打撃妨害があつた場合を考えてみるが、まず次の点を頭にいれておくと理解がしやすい。
・打者は打撃妨害で一塁に行くケースと打ち直しのケースとがある。
・最低でも走者はボークで1個進塁できる。
・走者が、打者が一塁へ進んだことで押し出されるような場合は、そのままプレイは続く。
・走者に盗塁行為があったときは盗塁が認められる。
打者が打撃妨害で一塁へ行けたとしても、走者が1個進んでいなかったような場合は、ボークが適用され、打者は打ち直しとなる。(ただし、規則6.01(g)のケースを除く)
時間的にもボークが先に発生しているので、打者、走者ともに1個進んでいないような場合は、ボークの処置が優先される。
・打者も走者も各1個進塁したときは、そのままプレイは続く。

 

 

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