123:1アウト、走者二塁、1B-1S。ボーク後の投球に、打者が打撃妨害を受けながら三塁ゴロを打ち、一塁でアウトになった。このとき、二塁走者には盗塁行為があり三塁に進塁していた。どう措置するか。

1、措置要約:二塁走者は三塁へ(記録は盗塁)、打者には打撃妨害で一塁が与えられ、走者ー・三塁で試合再開。盗塁の企てがあれば、規則5.06 (b) (3) (D)同様、その走者に盗塁を与えるとの解釈をとる。

2、審判アクション
 ①当該審判員は、投手を指さして(球審は発声のみ)『ザッツ・ボーク』“That’s a balk!” 
 ②塁審が宣告した場合は、打者が打つかもしれないので、ハンズ・オン・ニーズ・セットポジションにもどる
 ③捕手が打者を妨害 → 球審は、捕手を右手で指さして「インターフェアランス」
“That’s a interference!”
 ④打者が1塁でアウト、二塁走者の三塁盗塁を確認 → 球審は、前方に進み出て大きく『タイム』
 ⑤他の審判員も『タイム』
 ⑥球審は、捕手を右手で指さして「インターフェアランス」“That’s a interference!”
 ⑦打者走者を指さして『バッター、1塁へ』“You, first base!”と指示
 ⑧次に、公式記録員に向かって左手の甲を右手でたたき、打撃妨害があったことを切らせる。

3、適用規則
 ①盗塁した二塁走者 5.06b(3)(D)準用(走者の進塁)
  (3)次の場合、打者を除く各走者は、アウトにされるおそれなく1個の塁が与えられる。
   (D)走者が盗塁を企てたとき、打者が捕手またはその他の野手に妨害(インターフェア)
    された場合。
 ②打者への打撃妨害 6.01c(捕手の妨害)
   捕手またはその他の野手が、打者を妨害(インターフェア)した場合、打者は走者とな
  り、アウトにされるおそれなく、安全に一塁が与えられる。(ただし、打者が一塁に進ん
  で、これに触れることを条件とする)

4、場内アナウンスまたは説明
  捕手の打撃妨害により、盗塁行為のあった二塁走者を三塁へ、打者は一塁へ進み1アウト
 一塁・三塁で試合を再開します。

※よくあるボークの例
◎ ボークは、塁上に走者がいるときの、投手の反則行為のことです。
◎ ボークルールの目的は、投手が走者を意図的にだまそうとするのを防ぐことです。審判員は、投手の“意図”に疑いを抱いたら、厳重に規則を適用しなければなりません。

◎ よくあるボークの例
① 投球動作を起こしながら、投球を中断または変更する。
 ⚫ 捕手のサインを見ながらストレッチを開始したが、途中でやめる。(準備動作の中断)
 ⚫ 軸足の膝を折った後に、反動をつけて塁へ送球する。
 ⚫ けん制しようとする塁と反対方向に肩を動かし、投球動作に入ったように見せかけて塁へ送球する。
 ⚫ 自由な足をゆっくり上げながら一瞬止めた後に、投球または塁へ送球する。
 ⚫ 自由な足を振って投手板の後縁線を越えた後に、1塁または3塁へ送球する。
② 塁に送球する前に、足を直接その方向に踏み出さない。
 ⚫ 自由な足を本塁方向に踏み出して、塁へ送球する。
 ⚫ 自由な足を上げたが、そのままもとの位置に下ろして塁へ送球する。
 ⚫ 自由な足のつま先は塁に向いているが、かかとはほとんど地面から離れず足を回転させて、塁へ送球する。
③ セットポジションから完全に動作を静止しないで投球する。
 ⚫ 両手を顔の前で接触させながらベルトのあたりまで下したが、完全に動作を静止しないで投球する

※ボークと打撃妨害
ボーク後の投球に捕手または野手による打撃妨害があつた場合を考えてみるが、まず次の点を頭にいれておくと理解がしやすい。
・打者は打撃妨害で一塁に行くケースと打ち直しのケースとがある。
・最低でも走者はボークで1個進塁できる。
・走者が、打者が一塁へ進んだことで押し出されるような場合は、そのままプレイは続く。
・走者に盗塁行為があったときは盗塁が認められる。
・打者が打撃妨害で一塁へ行けたとしても、走者が1個進んでいなかったような場合は、ボ
ークが適用され、打者は打ち直しとなる。(ただし、規則6.01(g)のケースを除く)
・時間的にもボークが先に発生しているので、打者、走者ともに1個進んでいないような場
合は、ボークの処置が優先される。
・打者も走者も各1個進塁したときは、そのままプレイは続く。

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