133:走者満塁、内野手は前進守備。打球は三遊間を抜けるヒット(三塁手も遊撃手も打球に触れない)になると思われたが、二塁走者がその打球に触れた。どう措置するか?

07走者の守備妨害 (1)

措置:二塁走者をアウトにする。

この例題の回答(フェアの打球が走者に触れた場合の解釈)については、次の2通りのものがあり、MLBのアンパイアでも意見が分かれていたようであった。

①5.09(b)⑺(2018年版OBR)に基づき、“内野手”を通過した(しかも“内野手”に触れていない)フェアボールに、フェア地域で触れた場合に該当するので、走者はアウトにならずボールインプレイとする(日本ではこの解釈をとっていた)。

②6.01 (a) (11)に基づき、“野手”(これは“内野手”だけではない)に触れていないフェアボールが、フェア地域で走者に触れた場合に該当するので、走者はアウトとなる。

そして、2019年版OBRでは5.09(b) (7)が次のように改正された。

He is touched by a fair ball in fair territory before the ball has gone through, or by, an infielder and no other infielder has a chance to make a play on the ball.(以下省略)

これを直訳すると、「走者が、1人の内野手の股間または側方を通過する前で、かつ他のいずれの内野手も守備する機会がないフェアボールに、フェア地域で触れた場合。」となる。この改正は、上記例題の②の解釈を明確にするためのものであるとの情報から、2020年1月のプロ ・アマ合同野球規則委員会では、シンプルに次のように改正することとした。

5.09(b)(7):走者が、フェアボールに、フェア地域で触れた場合。(5.06c6、6.01a11参照)

「走者が、フェアボールに、フェア地域で触れた場合、走者はアウトになる。」という原則のみを書き、“touch an infielder”(いったん内野手(投手を含む)に触れたフェアボールに触れた場合)がOBR5.09(b)⑺から削除されたことを反映し、5.06(c) (6)及び6.01 (a) (11)を合わせ読むことにより理解するという考え方をとった。

また、関連規則として、以下の3項目も2020年に改正された。

(1)5.05(a)⑷の改正

5.05(a) (4)末尾に(  )書きを追加する。(本文には変更なし)

野手(投手を除く)を通過したか、または野手(投手を含む)に触れたフェアボールがフェア地域で審判員または走者に触れた場合。(走者については、6.01(a)(11)参照)

(2) 5.09(b) (7)【注2】①②の改正

5.09(b)⑺【注2】の①の冒頭および②の全文を削除する。 (点線部を削除)

内野手を通過する前に、一塁に触れて反転したフェアボールに、走者がフェア地域で触れた場合、その走者はアウトになり、ボールデッドとなる。

内野手を通過した直後に、塁に触れて反転したフェアボールに、走者がその内野手の直後のフェア地域で触れた場合、この打球に対して他のいずれの内野手も守備する機会がなかった場合に限り、打球に触れたという理由でアウトにはならない。

(3)補則「ボールデッドの際の走者の帰塁に関する処置」(1)(e)(2)の改正

(1)(e)(2)本文を次のように改める。(下線部を改正)

フェアボールが、内野手(投手を含む)に触れる前に、フェア地域で走者または審判員に触れた場合。または、フェアボールが、内野手(投手を除く)を通過する前に、フェア地域で審判員に触れた場合。

2020年の改正は、「走者が、フェアボールに、フェア地域で触れた場合」は原則として、すべてアウトであることを明確にしたものだ。打球が内野手を通過したかどうかは問わないことになった。ただし、これには例外があり、それは、5.06(c)(6)(ボールデッド)および6.01 (a) (11)(走者の妨害)に記載されている、以下の二つのケースである。

a)いったん内野手(投手を含む)に触れたフェアボールに触れた場合。

b)1人の内野手(投手を除く)に触れないで、その股間または側方を通過したフェアボールに、すぐその後方で触れても、この打球に対して、他のいずれの内野手も守備する機会がなかったと審判員が判断した場合。

打球がいずれかの内野手(投手を含む)に触れた(あるいは触れて進路が変わった)後に、その打球が偶然走者に触れた場合、たとえ他の内野手に守備の機会があっても、ボールインプレイである。(5.06 (c)(6)、5.09(b)⑺、6.01 (a)(11))

この理由は、走者は走塁中に進路が変わった打球を避けることは求められていないので、その打球に触れたことでアウトにすべきではないからである。もちろん、内野手に触れて進路が変わった後でも、走者が故意に打球の進路を変えたり、避けられたにも拘らず打球に触れた場合、走者は故意の妨害とみなされる。打球が内野手によって進路が変わったことで走者が故意に妨害しても良いと言うことにはならない。(6.01 (a)(11))

はじいた打球を処理しようとしている野手を妨害した場合は別である。特に、打球が内野手によって進路が変わり、他の内野手がその打球に対してプレイをしている場合は走者は野手を避けねばならない。もし打球が他の野手に触れていたとしても、走者がプレイをしている野手を妨害した場合は、走者は5.09 (b)(3)によってアウトにされる場合もある。ルール上、打球に対してプレイしている野手が優先である。(5.09(b)⑺[注1])

一方、打球が野手(投手を除く)の股間または側方を野手に触れずに通過し、その直後その内野手の後ろで走者に触れた場合、審判員はその打球に対して他の内野手が守備する機会があったかどうかを判断し、もしそうであれば走者にはアウトが宣告され、守備する機会がないと判断すれば打球はボールインプレイである。ボールインプレイの場合、審判員は両手を広げて“That’s nothing ! ”と発生し、ボールインプレイであることを両チームに知らせることが望ましい。

“フェアボールが内野手を通過し、そのすぐ後で走者に触れた” (6.01 (a) (11)および5.06 (c) (6))とは、打球が内野手の股間またはすぐ側方を通過し、その内野手のすぐ後ろで走者に触れた場合をいう。

“内野手の側方”とは、野手が一歩も動くことなく処理できる範囲のものをいう。