29:故意落球?0OUT走者1・2塁、打者バント(小フライ)を投手と三塁手が取りに来て、投手がどうにか捕球しようとしたがグラブの土手に打球があたりフィールドに落ちた。

1、状況

0OUT走者1・2塁、打者バント(小フライ)を投手と三塁手が取りに来て、投手がどうにか捕球しようとしたがグラブの土手に打球があたりフィールドに落ちた。(意図的に落としたものではなく自然のプレイで!?容易にとれるかどうかの判断はどこで!)

投手は落ちたボールを三塁へ送球したが、三塁手も打球処理に来ていたので三塁ベース上には野手がいない状態なので、送球はファールエリアを転々としている。その時

・球審が「タイム」宣告【宣告時期は適切か、他の審判は同調し進行中のプレイを止めたか】

・二塁走者は本塁へ、一塁走者は三塁へ、打者走者は一塁へと走っている状況

・審判四人で協議【協議の理由は?】

・結論:故意落球を適用して打者アウト、走者1・2塁に戻した

 【“ 通常の捕球体勢で、打球を落としたか否か”である程度判定できます。野手がダイビングした態勢など(飛び込んだり、タフな捕り方を試みている場合)で故意落球を宣告するのは、非常に難しいし説得力に欠けます。】

2、ポイント

MLB Umpires manual2019 項目番号30 RULE5.09a(12)

RULE5.09a(12)【日本語】

ノーアウトまたはワンアウトで、走者一塁、一・二塁、一・三塁または満塁のとき、内野手がフェアの飛球またはライナーを故意に落とした場合、打者にはアウトが宣告され、ボールデッドとなって、走者の進塁は認められない。(5.09a12)

容易に捕球できるはずの飛球またはライナーを、内野手が地面に触れる前に片手または両手で現実にボールに触れて、故意に落とした場合に、この規則が適用され、内野手が打球に触れないでこれを地上に落としたときには、打者はアウトにはならない。

また、投手、捕手および外野手が、内野で守備した場合は、内野手と同様に扱う。なお、あらかじめ外野に位置していた内野手は除かれる。

MLB Umpires manual2019 項目番号30【日本語訳要旨】

 注意すべき事項 

・内野手が触れないでフェアボールまたはライナーを処理するときは宣言されない。

・インフィールドフライのときは適用されない。

内野手がダブルプレイ状況を作るために、ランナーが投球時に占有したベースに戻ろうとしているとき、彼が(内野手が)故意に(意図的に)落とすならば、審判はすかさず「タイム」とコールしなければならない。その後、打者アウト、走者を投球当時の塁に戻す。

3、審判員の宣告方法

(キャンプゲームマニュアル9(1)走者1塁でバント想定 2013年に宣告方法を変更した。(米国マニュアルに合わせた)旧は③④①②⑤)

  • 投手(内野手)が落球 → 当該審判員は、前方に進み出て大きく『タイム』
  • 他の審判員も『タイム』
  • 当該審判員は、投手(内野手)を指さして『故意落球』 “That’s an intentionally dropped ball!”
  • 次に、バッターに対し『バッター、アウト』“Batter is out!”
  • 次に、1塁走者を指さして『1塁走者、1塁へ』“You, back to first!” と指示

4、参考

日本における規則変遷(故意落球)

規則6.05(Ⅼ)(注8)【新5.09a(12)】の故意落球の規定が適用されるのは、内野手に限られることになったのは〝公認野球規則〟では、一九七六年からであるということについては「米国改正ルールの採用手順」のなかで触れておいた。

無死または一死で、走者一塁、一・二塁、一・三塁、一・二・三塁(満塁)という条件で、フェアの飛球または直球(ライナー)に内野手が、片手または両手を触れてから、故意に落とした場合には、打者はアウトになるというのが、現在の規定だ。ボールデッドとなり、走者の進塁は認められないというのも、一九七六年以降の新しい規定だ。

もともとこのルールは、インフィールドフライの規定と同じように、守備側が併殺(ダブルプレイ)を容易に完成させるのを防ぐ目的で設けられたものだ。外野手が故意落球した場合も打者はアウトという規定が加えられたのは、一九三九年のことだが、以来、内外野手を問わず、無死か一死で走者が一塁にいさえすれば、飛球(バントの飛球も含む)でも直球(ライナー)でも、打球に触れてから故意に落とした場合に適用されてきた。打者はアウトになるが、塁上の走者は〝リタッチ〟しないでも、アウトになる危険を承知でなら、進塁することもできた。これが何故、内野手だけに限定されたのか、その理由は明らかにされていないが、現在のように改められたわけだ。同時に、ボールデッドとなり、各走者は進塁できないことに変わった。

故意落球が宣告されてもホールインプレイだったのが、ボールデッドに変わった理由は、これも明らかにされているわけではないが、大体想像はつく。一例をあげてみると、走者一塁で打者のバントが投手前の小飛球になったとする。投手は前進してグラブに一度打球をおさめたが、一塁走者が帰塁しようとするのを見て故意に地上に落とした。ここで球審なら球審がいち早く「打者アウト」を宣告すればなんでもないのだが、その宣告がおくれるか、あるいは一塁走者に聞こえなかったとすると、一塁走者はあわてて二塁へ進む。守備側も球審の宣告がおくれるか、あるいは宣告がわからなかったとしてもボールインプレイだから二塁へ送球する。遊撃手が一塁走者に触球する。二塁塁審が球審の宣告に気づかず、アウトを宣告したとする。こんなときは必ずもめる。攻撃側は「故意落球の宣告が早ければ走者は二塁へ走らなかった」と抗議するだろう。これがボールデッドだったら、球審の宣告後のことは、すべて無効、一塁走者のアウトを取り消して、一塁へ帰すという処置がとれることになる。ボールインプレイからボールデッドに変えたのは、こんな埋由なのだろう。

とにかく、飛球を故意に落球したことで生まれる混乱は、これで完全に避けられることになったわけである。

故意かどうかを判断する基準は【付記】(注8参照)に出ている。内野手が打球に触れないで落としたときには、故意であっても、打者はアウトにならないと規定してあるのがそれだ。ほかに判定の基準になるのは、規則本文の「内野手」という字句だ。内野手という条件から考えられるのは、内野フライ、内野手が容易に捕球できるものに限られるということである。

内野手が容易に捕球できるフライに、一度片手または両手を触れて捕球すると見せかけて、地上に落としたのが故意落球ということになる。これでもわかるように、捕球が容易であるかどうかを判断するには、その飛球に最も近い審判員が最適だ。故意落球が行なわれたときには、その飛球に最も近い審判員があらかじめ申し合わせておいたサインで球審に知らせ、球審はサインを見たら直ちに打者アウトを宣告するのが理想的なアンパイアリングといえる。

【付記】に、「インフィールドフライの規則が適用された場合は、このかぎりではない」と但し書きがついているが、これは無死または一死で、走者一・二塁、一・二・三塁の場合に、内野飛球(バントの飛球を除く)があがったときには、内野手が捕球してもしなくても、打者はアウトになるということを念を押しているにすぎない。

なお、故意落球の条文には、「内野手が」とだけしか書いてないが、投手、捕手、それに外野手が、内野飛球に対して内野で守備したときは(外野手なら内野に走ってきて)、内野手と同様に取り扱うことになっている(公認野球規則にもその旨の注がある)。