67:1アウト、走者ー・ニ塁。二塁走者がけん制で誘い出され、二・三塁間でランダウンプレイになった。その間、一塁走者は二塁に達していた。その後、二塁手の送球が悪送球となってボールデッドの個所に入った。どう措置するか。

措置:2人の走者に本塁を与える。規則5.06 (b)(4)(G)

規則5.06 (b)(4)(G)に規定する悪送球による安全進塁権を与える基準は次のとおり整理される。

(1)送球が内野手によるファーストプレイで、かつ送球がなされたとき打者走者がまだ一塁に達していなかった場合、進塁は投球当時を基準とする。

(2)送球が内野手によるファーストプレイで、かつ打者走者を含むすべての走者が1個の塁を進んでいた場合は、悪送球がなされたときの走者の位置が基準となる。

(3)送球が内野手によるファーストプレイでない場合、あるいは送球が外野手によってなされた場合は、悪送球がなされたときの走者の位置が基準となる。

内野手が打球をはじいた場合、以前「内野手が打球をはじいてもすぐ拾えばその後のプレイは“最初のプレイ”とする」とか「内野手がワンステップ (内野手の“リーチ”の範囲内)の範囲内でのプレイを“最初のプレイ”とする」といった解釈をとった時期もあったが、現在は打球をはじいた範囲に関係なく、その後の打球処理は“最初のプレイ”としている。

規則5.06 (b) (4) (G)[規則説明]では、内野手によるファーストスローであっても、打者走者を含むすべての走者が1個の塁を進んでいた場合には、送球のときを基準に2個の塁が与えられる、と規定している(上記(2))。 このケースは高いフライのときに起こり得る。内野手がバックして捕ろうとしたが落としてしまった。この間、明らかに打者も走者も1個進んでいた。野手は一塁を回っていた打者走者を刺そうと送球したが、送球はスタンドに入ってしまった。これは内野手によるファーストスローであるが、打者走者を含むすべての走者が1個進んでいたので、悪送球がなされたときに占有していた塁を基準に2個の塁が与えられる。2個の塁を与えるに当たり、審判員は打者走者を含むすべての走者が1個進んでいたことを確認する必要がある。

“悪送球がなされたとき”とは、その送球が実際に野手の手を離れたときを言い、送球が地面に当たったり、受けようとした野手を通過したり、送球がスタンドに入りボールデッドになったときを言うのではない。また、日本では、“悪送球が野手の手を離れたときの走者の位置”については、走者の占有塁を基準にするのではなく、“各走者の立っているところ”との解釈をとっている。(1980年プロ ・アマ合同野球規則委員会の結論を2015年に同委員会にて再確認)

ボールがボールデッドの個所に入って、走者がアウトの恐れなく進塁できる場合でも、走者は正規に塁を踏んでいかねばならない。

塁を与えるに当たって、正確を期すため、複数の走者がいるときは、審判員は他の審判員と協議することを勧める。協議に当たっては、進塁の基準が“投球当時”か、 あるいは“悪送球がなされたとき”か、そして打者走者を含む走者がどこにいたかを確認し、素早く走者に進塁を指示することが肝要である。協議にだらだらと時間をかけてはいけない。

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