【2003年】
2003年度の改正規則はなし着色バットの色は拡大決定
日本野球規則委員会は、去る2月5日、2003年度野球規則改正はありませんと発表しました。これで3年続けてプレイに関する規則改正はなかったことになります。ただ、着色バットの拡大が認められました。
着色バットの拡大
現在、木のバットを使用しているのは、アマチュア野球では、社会人と大学だけですが、今年度から日本アマチュア野球規則委員会は着色バットの色の拡大を認めることにしました。
この背景には、プロ野球でも着色バットが徐々に拡大の傾向にあり、バット製造業者は生産効率を上げるため、当然、アマチュアの市場に目をつけ、盛んに売り込みを図ってきて、その結果、多くのチームから着色バットを使いたいとの声が寄せられ、規則委員会としてもその流れに抗し切れない、着色バットがダメだという理由もないことから、条件付きで拡大に踏み切った次第です。
日本アマチュア野球規則委員会では、以下の運用基準を設けて、着色バットの使用を認めます。
[着色バットに関する運用基準]
アマチュア野球で使用できる着色バットは以下のとおりとする。原則として、毎シーズン初めに当委員会で認可をする。
① 使用を認める着色バットは、ダークブラウン系、赤褐色系および淡黄色系とする。
② 木目を目視できるものとする。
③ 拙劣な塗装技術を用いていないものとする。(例えばボールに塗料が付着するなど)
上記の通り、使用できる色は、規則委員会の認可が必要であるということです。ただ、プロ野球のように、バット製造業者を認定し、製造基準に合致したバットには、公認印および公認登録番号を刻印する方法をとることは難しいため、アマチュアの場合、現物チェックはかなりの制約を受けざるを得ません。原則として、現物を規則委員会に持ち込んでもらって審査することになりますが、実務としては、各団体に適合バットかどうかの判断をゆだねることになろうと考えています。あとは、製造業者の良識を信ずるしかありません。
もちろん、バット製造業者には、規則委員会から、運用基準に合致しないバットは公式試合には使用できない旨、通知しています。
色については、従来認められていたダークブラウンに加えて、赤褐色系および淡黄色系に拡大されました。これはプロも同じです。なお、アマチュアでは、「……系」としましたが、それはこの色と限定するのはなかなか難しいことからそんな表現にしましたが、逆に「……系」とすると際限なく色が広がっていくのでは、との懸念もあります。そのために、認可で歯止めをかけていきます。いたずらに色を拡大するつもりはありません。例えば、ピンクとか、ふさわしくない色、どぎつい色、光沢のある色などは当然、認められません。
ちなみに、着色バットの変遷を見ますと、わが国では、1964年(昭和39年)に着色バットが禁止されて以来、87年(昭和62年)にプロ野球でダークブラウンのバットが許可となり、大学野球でも93年(平成5年)にダークブラウンが認められました。そして、昨年2002年(平成14年)にプロ野球で赤褐色のバットも許可となって、今年からプロ・アマともダークブラウン、赤褐色に加え、淡黄色のバットにまで拡大してきました。
いずれにしても、バットの問題は、色に限らず、環境問題、技術革新に伴って、材質を含め、毎年話題をさらっていくと思われます。
投球姿勢について
プロ・アマ合同規則委員会で、毎年議題に上がっているのが、いわゆる“二段モーション”についてです。
プロ野球の投手の中には、タメをつくるためか、あるいは打者のタイミングを外すためか、ワインドアップポジションから振り上げた自由な足を一瞬止めて(止めたように見える)投げる投手がいます。
この投げ方はルール上、おかしいと、長年にわたってアマチュア側よりプロ側に散々是正の申し入れをしてきました。これに対し、プロ側は、「他の投手に広がらないようにします。今後、正しい投球姿勢を指導していきます」との回答から、最近は「アマチュアとの見解の相違である。プロ側は、止まっているとは見ていない。一連の動作である。したがって、問題ない」というふうに言い方が変わってきており、逆に、このような疑わしい投げ方をする投手が増えてきているように思えます。規則8.01(a)ワインドアップポジションは、次のように規定しています。
①打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない。
[注一]本条(a)(b)項でいう“中途で止めたり、変更したり”とはワインドアップポジションおよび、セットポジションにおいて、投手が投球動作中に、故意に一時停止したり、投球動作をスムーズに行なわずに、ことさらに段階をつけるモーションをしたり、手足をぶらぶらさせて投球することである。
この条項に照らして、問題ないと果たして自信を持って言えるだろうか。読者の皆さんは、どう判断されるでしょうか。 見解の相違とはいえ、横浜ベイズターズのM投手、ヤクルトスワローズのI投手、大阪近鉄バファローズのI投手の投げ方を見て、一体どれくらいの人が、あれは止まっていない、一連の動作であると確信を持って言えるでしょうか。
プロはプロ独自の対応をするということですが、プロ野球が少年野球をはじめアマチュア野球に与える影響は極めて大きい、したがって、ルールにのっとって、正しい投球姿勢を、ぜひ実践してほしいと願っています。プロが模範になってほしいと思います。少なくとも、米大リーグにはこんな紛らわしい投げ方をする投手はいません。皆、“フェアな精神”を大事に、打者と勝負しています。
念のため、アマチュア野球では、このような投げ方は許していません。指導者の方も、審判員も、ルールの趣旨をよく理解して、正しい野球を教えていただきたいとお願いします。アマチュアとしても、これからも納得いくまでプロ側に是正を申し入れていきたいと考えています。
最後に、全日本野球会議審判技術委員会では、『審判メカニクスハンドブックjを昨年11月末に完成させ、今年から市販することにしました。
このハンドブックには、審判のジェスチャーの基本から、二人制、三人制および四人制のメカニクスを図示して、すべてまとめて掲載をしています。このメカニクスは、わが国初めてのプロ・アマ共通の統一した基本のメカニクスとして位置付けられています。参考にしてください。