121:1アウト、走者一塁(ー・ニ塁、または満塁)、1B-1Sのとき、ボーク後の投球に捕手による打撃妨害があったが打者が打ちショートゴロで1塁走者は二塁でアウトとなった。どう措置するか。

1、措置要約:打撃妨害で打者は一塁が与えられ、各走者は押し出されて1個進塁する(6.02 (a)ペナルティ後段)。

2、審判員アクション
 ①当該審判員は、投手を指さして(球審は発声のみ)『ザッツ・ボーク』“That’s a balk!”
 ②塁審が宣告した場合は、打者が打つかもしれないので、ハンズ・オン・ニーズ・セットポ
  ジションにもどる
 ③捕手が打者を妨害 → 球審は、捕手を右手で指さして『インターフェアランス』
  ”That’s interference!”
 ④二塁でアウト → 球審は、前方に進み出て大きく『タイム』
 ⑤他の審判員も『タイム』
 ⑥球審は、捕手を右手で指さして『インターフェアランス』”That’s interference!”
 ⑦球審は、二塁でアウトになった一塁走者を指さして『一塁走者、二塁へ』
  ”You, second base!”
 ⑧次に、打者走者を指さして『バッター、一塁へ』“You, first base!”と指示
 ⑨次に、公式記録員に向かって左手の甲を右手でたたき、打撃妨害があったことを知らせる

3、適用規則 6.02 (a)ボーク ペナルティ後段)
 ペナルティ (a)項各規定によってボークが宣告されたときは、ボールデッドとなり、各走者は、アウトにされるおそれなく、1個の塁が与えられる。

ただし、ボークにもかかわらず、打者が安打、失策、四球、死球、その他で一塁に達し、かつ、他のすべての走者が少なくとも1個の塁を進んだときには、このペナルティの前段を適用しないで、プレイはボークと関係なく続けられる。

その他 規則書には、あちこちに「その他」が出てくる。たとえば、この「その他」には打撃妨害は含むのかとか、含まないのかとかいった議論が長年規則委員会でなされてきた。しかし、現在は「その他」は何でもよいとの考え方をとっている。 それには暴投または捕逸+三振振り逃げ、暴投または捕逸+三振振り逃げ+捕手の悪送球も含まれる。 

※ボーク後の”タイム”(ボークのあと、どこでプレイを止めるか)
 打者とすべての走者がボーク後の投球で(たとえば実際の投球を打者が打った結果)1個の塁を進めば、ボークと関係なくプレイは続けられる。審判員はボークの後プレイが止まるまで“タイム”をかけてはいけない。問題はどの時点で“タイム”をかけるかである。次のケース
が、プレイが“止まった”と思われるときおよび“夕イム”をかけるときの参考となる。
(6.02 (a)ペナルティ)
(1)投手がボークをして、投げなかった。そのときは、“ザッツ・ア・ボーク” “夕イム”、そしてボークを適用する。
(2)ボークのボールが打たれた場合は、打者とすべての走者の進塁は明らかにないと思われるまでプレイは続けられる。その後、“タイム”がかけられ、ボークが適用となる。しかし、打者が一塁に達し、すべての走者が少なくとも1個の塁を進んだ場合は、プレイはボークと関係なく続けられる。

4、場内アナウンスまたは説明
 捕手の打撃妨害により打者を一塁へ、一塁走者を二塁へ、1アウト走者一塁・二塁で試合を再開します。

【よくあるボークの例】
◎ ボークは、塁上に走者がいるときの、投手の反則行為のことです。
◎ ボークルールの目的は、投手が走者を意図的にだまそうとするのを防ぐことです。審判員は、投手の“意図”に疑いを抱いたら、厳重に規則を適用しなければなりません。

◎ よくあるボークの例
① 投球動作を起こしながら、投球を中断または変更する。
 ⚫ 捕手のサインを見ながらストレッチを開始したが、途中でやめる。(準備動作の中断)
 ⚫ 軸足の膝を折った後に、反動をつけて塁へ送球する。
 ⚫ けん制しようとする塁と反対方向に肩を動かし、投球動作に入ったように見せかけて塁
  へ送球する。
 ⚫ 自由な足をゆっくり上げながら一瞬止めた後に、投球または塁へ送球する。
 ⚫ 自由な足を振って投手板の後縁線を越えた後に、1塁または3塁へ送球する。
② 塁に送球する前に、足を直接その方向に踏み出さない。
 ⚫ 自由な足を本塁方向に踏み出して、塁へ送球する。
 ⚫ 自由な足を上げたが、そのままもとの位置に下ろして塁へ送球する。
 ⚫ 自由な足のつま先は塁に向いているが、かかとはほとんど地面から離れず足を回転させ
  て、塁へ送球する。
③ セットポジションから完全に動作を静止しないで投球する。
 ⚫ 両手を顔の前で接触させながらベルトのあたりまで下したが、完全に動作を静止しない
  で投球する

【ボークと打撃妨害】
 ボーク後の投球に捕手または野手による打撃妨害があつた場合を考えてみるが、まず次の点を頭にいれておくと理解がしやすい。
・打者は打撃妨害で一塁に行くケースと打ち直しのケースとがある。
・最低でも走者はボークで1個進塁できる。
走者が、打者が一塁へ進んだことで押し出されるような場合は、そのままプレイは続く。
・走者に盗塁行為があったときは盗塁が認められる。
・打者が打撃妨害で一塁へ行けたとしても、走者が1個進んでいなかったような場合は、ボ
 ークが適用され、打者は打ち直しとなる。(ただし、規則6.01(g)のケースを除く)
・時間的にもボークが先に発生しているので、打者、走者ともに1個進んでいないような場合 
 は、ボークの処置が優先される。
・打者も走者も各1個進塁したときは、そのままプレイは続く。

 

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120:一死、走者一塁、一塁へのけん制の送球がボークとなり、それが悪送球となった。ファウルグラウンドを転々とし、そのボールを拾った一塁手または他の野手が二塁に送球。—塁走者はスタートが遅れていたため、ー・ニ塁間でランダウンプレイになってしまった。以下いずれの処置が正しいか。①悪送球を野手が拾った時点で一塁走者が二塁に到達していなければタイムをかけ、ボークを適用して一塁走者を二塁へ進塁させる。②ー ・ニ塁間でランダウンが始まったら即タイムをかけボークを適用し一塁走者を二塁へ進める(走者は動いていても内野手がボールを保持したから)。与えられた塁以上に走者が進んでランダウンになったときはボークと関係なくプレイを続けさせる。③ボールは内野に戻っても、一塁走者は動いている(ランダウン中)ので走者が進塁をストップしているとの条件にはあてはまらない。したがって、プレイを続けさせて、二塁に到達する前に走者がアウトになれば、タイムをかけ、ボークを適用して二塁へ進塁させるが、ランダウンプレイ中に守備側のエラーが発生する可能性もあり、ボークで与えられる塁以上に進塁できる可能性もあるため、すべてのプレイが止まるまでプレイを続けさせる。与えられた塁以上のところでタッダされればアウト、セーフになればセーフとなる。