126:走者ー・三塁でスクイズが行われた。投手の投球にボークが宣告されたが、このとき打者に対し捕手の打撃妨害があった。どう措置するか。
1、措置要約:一塁走者、三塁走者ともボークで1個進塁し、打者には打撃妨害で一塁が与えられる。得点1、走者ー・ニ塁で試合再開。(6.01 (g))
2、審判員アクション
①当該審判員は、投手を指さして(球審は発声のみ)『ザッツ・ボーク』“That’s a balk!”
②塁審が宣告した場合は、打者が打つかもしれないので、ハンズ・オン・ニーズ・セットポジションにもどる
③捕手がホームベース上に出て(打撃妨害)キャッチ → ボークを宣告した審判員は、前方に進み出て大きく『タイム』、他の審判員も『タイム』
④ボークを宣告した審判員は、投手を指さして『ザッツ・ボーク』“That’s a balk!” 、球審は捕手を指さして『インターフェアランス』“That’s interference!”
⑤次に、3塁走者を指さして『3塁走者、本塁へ』“You, score!”と指示
⑥次に、2塁走者を指さして『2塁走者、3塁へ』“You, third base!”と指示
⑦次に、打者走者を指さして『バッター、1塁へ』“You, first base!”と指示
3、適用規則
2020 年度の規則改正において、5.07(a)(1)①、5.07(a)(2)②、5.07(a)(2)
【注 2】、6.02(a)(1)が改正されました。
①5.07(a)(1)①および 5.07(a)(2)②
打者への投球動作を起こしたならば、中断したり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない。
②5.07(a)(2)【注 2】
(1)(2)項でいう〝中断〟とは、投手が投球動作を起こしてから途中でやめてしまったり、投球動作中に一時停止したりすることであり、〝変更〟とは、ワインドアップポジションからセットポジション(または、その逆)に移行したり、投球動作から塁への送球(けん制)動作に変更することである。
③6.02(a)(1)
投手板に触れている投手が、5.07(a)(1)および(2)項に定める投球動作に違反した場合。
※この改正により、走者が塁にいるときに、投手が投球するときに自由な足を上げてから一時的に止めたり、自由な足を上げるとき意図的に段階をつけたりした場合(いわゆる「2段モーション」)、次のような取り扱いとなりました。
・自由な足を上げてから一時的に止めた:ボーク
・自由な足を上下させてから投球した:ペナルティなし
・自由な足を上下させてからけん制動作に移行した:ボーク
④6.01g(スクイズプレイまたは本盗の妨害)【注1】【注2】【注3】
【注1】捕手がボールを持たないで本塁の上またはその前方に出るか、あるいは打者または打者のバットに触れた場合は、すべて捕手のインターフェアとなる。
【注2】すべての走者は、盗塁行為の有無に関係なく、ボークによって1個の塁が与えられる。
【注3】本項は、投手の投球が正規、不正規にかかわらず適用される。
⑤6.02aボーク
(1) 投手板に触れている投手が、5.07(a)(1)および(2)項に定める投球動作に違反した場合。
ペナルティ (a)項各規定によってボークが宣告されたときは、ボールデッドとなり、各走者は、アウトにされるおそれなく、1個の塁が与えられる。
4、場内アナウンスまたは説明
投手のボークにより3塁走者を本塁へ、一塁走者を二塁へ、捕手のインターフェアにより打者を一塁へ、得点1、走者1塁・2塁で試合を再開します。
よくあるボークの例
◎ ボークは、塁上に走者がいるときの、投手の反則行為のことです。
◎ ボークルールの目的は、投手が走者を意図的にだまそうとするのを防ぐことです。審判員は、投手の“意図”に疑いを抱いたら、厳重に規則を適用しなければなりません。
◎ よくあるボークの例
① 投球動作を起こしながら、投球を中断または変更する。
⚫ 捕手のサインを見ながらストレッチを開始したが、途中でやめる。
(準備動作の中断)
⚫ 軸足の膝を折った後に、反動をつけて塁へ送球する。
⚫ けん制しようとする塁と反対方向に肩を動かし、投球動作に入ったように見せ
かけて塁へ送球する。
⚫ 自由な足をゆっくり上げながら一瞬止めた後に、投球または塁へ送球する。
⚫ 自由な足を振って投手板の後縁線を越えた後に、1塁または3塁へ送球する。
② 塁に送球する前に、足を直接その方向に踏み出さない。
⚫ 自由な足を本塁方向に踏み出して、塁へ送球する。
⚫ 自由な足を上げたが、そのままもとの位置に下ろして塁へ送球する。
⚫ 自由な足のつま先は塁に向いているが、かかとはほとんど地面から離れず足を
回転させて、塁へ送球する。
③ セットポジションから完全に動作を静止しないで投球する。
⚫ 両手を顔の前で接触させながらベルトのあたりまで下したが、完全に動作を静
止しないで投球する