163:打者走者がライト線にヒットを打ち、一塁ベースを回ったところで妨害された。オブストラクションが発生したとき、右翼手はまだボールを守備しておらず、打者走者は悠々二塁打(スタンドアップ・ダブル)と思われた。しかし、プレイはそのまま進み、右翼手が打球に追いつき、打者走者は三塁に向かった。打者走者は三塁で間一髪アウトになった。措置は?
措置:オブストラクションが発生したとき、審判員は走者、打球および野手の位置を見て、当初打者走者は二塁止まりと予測したかもしれない。しかし、プレイは進み、もし一塁ベースを回ったところで妨害を受けなかったら打者走者は三塁に安全に到達していたであろうことが明らかになった。そこで、打者走者が三塁でタッダアウトになった瞬間、タイムをかけ、打者走者に三塁を与える。審判員はプレイが一段落するまでプレイを見届け、それからどこまで進塁を許すかを決定する。この例で、もし審判員が打者走者が三塁でアウトになったことがオブストラクションの影響はないと判断すれば、アウトは成立する。
②走塁を妨げられた走者に対してプレイがなされていなかつた場合(6.01(h) (2))
たとえば、
(1)打者走者がヒットを打って打球が外野にある間に一塁を回ったところで走塁を妨害された
(2)打者走者が外野にヒットを打って一塁に到達する前に走塁を妨害された
(3)一塁走者が二塁に盗塁。捕手の送球が悪送球となってセンターに抜けた。走者は三塁に進もうとしたところ走塁を妨害された。オブストラクションが発生したときボールは外野を転がっていた。
(4)二塁走者が外野へのヒットで三塁を回ろうとして走塁を妨害された
(5)三塁手がタッグアップしようとしている三塁走者の前に立ち視界をさえぎった
(6)その他オブストラクションが発生したときその走者に直接プレイがなされていない場合
②項の場合、審判員はオブストラクションが発生したところをポイントし、“ザッツ・オブストラクション”と声を出してはっきりとコールする。しかし、ボールデッドにはならす、プレイが一段落(すべてのプレイが止まり、次のプレイがないと思われる状態)してから審判員はタイムをかけ、オブストラクションの弊害を取り除く。②項では、すべてのプレイが’一段落するまで審判員はタイムをかけてはいけない。
注1. ②項の場合、たとえ、オブストラクションを受けた走者にプレイがなされていてもプレイは一段落するまで続けられる。しかし、オブストラクションを受けた走者がオブストラクションで与えられるであろう塁に到達する前にタッグアウトになった場合、審判員はタッグアウトになったときにタイムをかける。その後、審判員はその走者へのオブストラクションの弊害を取り除く。
注2. ②項では、どの塁まで進塁を許すか、審判員は妨害発生のときの走者、ボールおよび野手の位置と走者のスピードを考慮に入れて決定する。しかし、最終決定はプレイが一段落するまでボールデッドにしではならない。またオブストラクシヨンを受けた走者はオブストラクションが発生しなければ行けたであろう塁まで進むことができる。