85:ツーアウト走者二塁。打者ヒット。打者走者が二塁でアウトになる前に、二塁走者は本塁を通過(しかし空過)していた。審判員はタイムプレイで得点を表示した。そのとき二塁走者は本塁を踏み直した。守備側はフィールドを離れていた。第3アウト前に本塁を通過した場合得点は認められる?あるいは第3アウト後に本塁に触れた場合は得点は認められない?

措置:走者が本塁を空過し、踏み直しに戻らなかった場合、タイムプレイは走者が本塁を通過したときで判断する。ただし、守備側のアピール権は残っている。走者が本塁を踏み直しに戻れば、本塁の通過は無視し、実際に本塁に触れたときでタイムプレイを判断する(通常のタイムプレイと同じ)。(5.08 (a))

整理すると次のようになる。

a.二塁走者がそのままダッグアウトまたは自分の守備位置に進み、かつすべての内野手がフェア地域を去ってしまえば(アピール権なし)、二塁走者の得点は認められる。(5.08 (a)、5.09 (c))

b.守備側が二塁走者の本塁空過をアピールすれば、二塁走者はアウトになって得点は認められない。(5.08 (a)、5.09 (c))

c.二塁でアウトになった後、二塁走者が本塁を踏み直しても、本塁の“触塁”は、スリーアウト後に生じたので、得点は認められない。これはタイムプレイである。(5.08 (a))

注:審判員は、たとえ走者が本塁を空過していても、最初の“触塁”があった時点で、ただちにタイムプレイの判定(得点かどうか)をする。つまり、その走者にアピールプレイが残っているかどうかに関係なく、本塁到達と第3アウトのどちらが早かったかを審判員は必ず明示しなければならない(“スコア!1点!”と明示する)(5.08 (a)[注1])。もし守備側からアピールがあってアピールが認められれば、その得点を取り消す。同様に、走者が本塁を踏み直しに戻れば、実際に本塁に触れたときでタイムプレイを判断し、それがスリーアウト後であれば、審判員は先ほどの判定を変更し、得点を取り消す。

以上のとおり、走者が本塁を空過し、踏み直しに戻った場合、得点は走者が本塁に触れるまで実現しない。一方、走者が本塁を空過し、踏み直しに戻らなかった場合、守備側のアピール権が消滅するまでは得点とはならない。

Category: 12タイムプレイ・アピールプレイ